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九龍組  作者: 大蔵 富造
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第四話 破王のために ~九龍の力~

 前慶(ぜんけい)星明王(せいみょうおう)に謁見した翌日から安然(あんぜん)の計画通りに、壁国(へきこく)から他国で商売する商人達に有権党と九龍九品党発足のチラシともいえる手紙をたくさん配布することが始まった。

 次に有権党はお披露目のために街に出て、大通りまで出てくると何事かと集まった壁国の住人達はいつの間にか千人近くまで集まっていた。異例の時期に西の使者が通ったことで壁国国民がざわついていたところで、明確に西と外国が攻めてくることを有権党によって知らされた。戦争自体を知らない国民達は有権党の話をしっかりと聞いた。さらに九龍九品党もお披露目をすると、あれがあの九龍組の前慶かとざわついた。


 夜、城の一室にて安然と壁国国主(こくしゅ)の野田がいた。

「党首、この後はどうなさるつもりですか? やはり国民は動揺しています」

「国進党の力を削ぐ。有権党しかないとなれば国民も落ち着くはずだ。少々手荒いが…」

「どうやってですか? 国進党のように高山を襲いますか?」

「違う。我々の味方になってもらうのだ」

「まさか説得とか?」

 安然の顔は真剣である。

「そんな、説得だなんて我々では無理ですよ?」

「そう、我々では無理だ。だがやってくれる人達がいる」

「やってくれるって…、まさか九龍組?」

「違うぞ、九龍九品党だ」

 九龍九品党がやる事は他国の国主を服従させ、国進党の力を削いで有権党の力にすることである。九龍組という前職を活かした仕事である。



 翌日、早朝。

 前慶、唐嘉(とうか)正弦(せいげん)と安然、野田は国進党を解散に追い込む作戦会議を始めた。

 安然と野田が言うには、壁端国(へきたんこく)の隣に位置する岩海国(がんかいこく)国主・小篠(こじょう)(二十三歳)は気が弱く、他人の意見に左右されやすいところがあり、狙い目である。

 壁華国(へきかこく)松国(しょうこく)に隣接する緑山国(りょくさんこく)国主・渡場(とば)(五十歳)は理屈屋であり、先を明快にしないと腰を上げない人物だという。

 九龍九品党は小篠に徐江(じょこう)堂紅奉(どうこうほう)を、渡場には唐嘉を向わせた。緑山国にはすでに周泰征(しゅうたいせい)天嵬(てんかい)新豪(しんごう)が暴力団討伐のためすでに入国しているため、唐嘉が合流することになる。

 それと同時に有権党は前慶とともに人材育成に力を入れた。



 前慶から指示を受けてから数日後の夕方。岩海国の城に徐江、堂紅奉が到着した。九龍九品党党員十数人を外に配備させて、二人だけで城に乗り込んだ。

 護衛に話をしても通してもらえないので、二人は力づくで小篠のいる部屋へと進む。その間にも城の警備兵が集まり、二人を取り囲んだ。警備兵は全員、不殺木刀術(ふさつぼくとうじゅつ)の有段者である。手には堅い材木でできた木刀を持っている。

「木刀なんかで、わしを倒せると思ってるのか?」

 堂紅奉は宝石がギラギラと輝く豪華な鞘から太刀を抜いた。徐江は木刀を使うが流派は『殺人木刀術』である。不殺木刀術とは異なり、人を殺すための流派であり、無形文化として伝わっていたのだが現在は弾圧されている流派である。殺し方を知っているので逆に殺さないようにすることができる。


 襲いかかってくる警備兵の木刀を堂紅奉は避け、木刀をスッパリと斬り落とした。警備兵は木刀の柄だけを持ち、恐怖に手が震えている。

「あ~ぁ、もう何もできないッスね。だから不殺流は駄目なんスよ」

 徐江の言う通りで不殺木刀術には柄だけで戦う技法がない。木刀を斬られることなど誰も考えていないからだ。

「あとの奴らも斬られたいか? わしらは小篠の居場所を探している。こんな状況で言うのもなんだが、話しに来ただけじゃ。小篠の所まで案内せい!」

 警備らは戸惑ったが木刀を斬られた兵士が進んで案内した。堂紅奉は宝石がギラギラと輝く豪華な鞘に大げさに納刀してみせた。


 ふすまを勢いよく開けると同時に堂紅奉は大声で叫ぶ。

「国進党を脱退しろぉ! それだけじゃ!」

「な、なんだぁ!」

 読書をしていた小篠は立ち上がり、護衛用の木刀に飛びついて構えた。

「な、なんだ、お前達は!」

 徐江がグイッと出てくる。

「俺たちは九龍九品党の徐江と副党首の堂紅奉だ! あんたは東王国保身派だろ? だから国進党を脱退してもらいたい!」

「小篠、お前はこの国の民を代表しているのだぞ。お前が言った事の全てがこの岩海国の未来を左右する事になる。これは冗談ではないぞ? 今は安全かも知れん。だが、国進党は危険な賭けをしている。保身を選ぶという事は早々に外国に支配されるのだ。わかるか?」

「ば、馬鹿な? そんなことを党首は言っていなかったぞ!」

「党首か…。政治家というのは嘘をつくのがうまいからのぉ。自分の父親を見ていて気が付かなかったのか?」

「父上はそんな政治家じゃなかった。岩海国のために働いていた! 父上を侮辱することは許さん!」

「おいおい、いきなり人が変わった見たいじゃん。父上じゃなくてあんたはどうなんスか? 力強く働いてんの?」

「…働いている」

 堂紅奉が小篠の胸倉に掴みかかる。

「党首に言いくるめられていたくせに良くそんな事が言えたもんじゃ! 父親に恥じない働きをしようとは思わんのか! 国進党の中で一番若かろうがそんなことは関係ない。お前に期待している国民はちゃんと存在する! お前の言う父親のように国民のために国主として働かんか!」

 小篠は言い返すことができない。

「どうやら、国民の意思を見たほうがいいみたいッスね。堂紅奉殿、そいつを連れて来てください」

 徐江は先に部屋を出て、堂紅奉は胸倉を掴んだまま小篠を連れて部屋を出た。警備たちが慌てて後を追いかけていく。



 すでに暗くなった中、徐江達が向ったのは街の酒屋である。酒を買うだけではなく店内では酒を飲める。酔っ払いが多いのでずいぶん賑わっている。

「おい! もしも、西に支配される事を小篠国主が望んでたらどうする!」

 店に入るなり、徐江は大声を上げた。少しの間があったが、すぐに反応があった。一人の酔っぱらいが席を立って叫ぶ。

「そんな国主は殺してやる! 俺の一族も死ぬかも知れねぇが、納得してくれんだろ」

「西に支配されるだとぉ~、国主は何を考えてやがる!」

 次々と国主の悪口を言い始めた。どんどん悪口の波は広がっていく。

「同じ国主でも松山だっけ? あいつは違うな、あいつはやるよ~」

「そういやぁ松山ってのは有権党とかなんかを立ち挙げたって聞いたぜ」

「国進党はどうなんだよ?」

「壁側の三ヶ国も有権党だってな」

「ウチらの国主は入らねぇのか?」

 店全体に悪口の波が広がるにつれて論議の方向がずれてきた。勝手に酒を持ち出している徐江が小篠に聞く。

「これで大体、解ったっスね? 国民は、東王国国民は西を嫌っている。あんたもそうじゃないんスか?」

「お前は国民の声を聞いた事があるか? ここにいる者達はお前の顔を見ても国主と気づいておらんぞ。まぁ、そのおかげであそこにいる奴に殺されないですんどるが」

 堂紅奉は一番最初に発言した酔っぱらいを指差した。小篠は膝を着いた。がっくりしている。


「ぼ、僕は国主じゃないのか…」

「じゃないねぇ。頼りないッスよ」

 徐江の一言に小篠はキレた。

「うるさい! 僕は国主として一生懸命やってきた! 高山の言うとおりにして、それが岩海国のためだと思っていた! それなのに、これか! もう高山の言いなりにはならない! この国は僕の国だ! この国にいる民は僕の民だ! 僕が守ろう! 国民よ、どうして欲しいか、希望を言え! 国主のこの僕に言え!」

 小篠の豹変ぶりには誰もが驚いた。店にいた国民は小篠が国主だったということに気付いてさらに驚いた。

「まさか、国主がこんなところに…。さっきは好き勝手言ったがあんたは若いのに頑張ってるよ」

「頑張ってなんかいない…適当だ。僕より上の言う通りにしていれば危険な目に合わなくてすんだ。国民にもそれでいいと思っていた。でも違った。僕だけが安全だったんだ」

 別の酔っぱらいが発言する。

「若いうちは苦労するもんさ。さっき言ってたね、何を希望するって。…立ち向かえよ、いろんなものに」

「立ち向かう?」

 その時、また別の酔っ払いが小篠に絡んできた。

「おぉ、そうだぞぉ、国主~。立ち向かわずに逃げて生きてくか~? 前国主はそんなとこはなかったぜぇ」

「僕は父上のように…立ち向かう国主になる」

「小篠、有権党は個人の意見を尊重する。…入るか入らないかはお前が決めるんだ。わしは待っているぞ」

 そう言うと堂紅奉は店を出ていった。徐江が後を追う。

「もしかして、もしかしてなんスけど、小篠のオヤジを知ってたんスか?」

「知っている。若い頃からな。前慶もそれ知っていてここに来させたんだろう。もちろん小篠国主が子どもの頃から知っているしな。まぁ、お前が酒屋に連れて行ったのが正解だろう」

 後日、小篠自らが壁国の城に来て有権党に参加する事を誓った。




 一方、徐江達が岩海国に着いた頃。

 唐嘉も緑山国に着いた。周泰征の一派を引き連れて、城の中では渡場と話し合いの最中であった。この部屋に来るのに強行突破だったため、周泰征は太刀を持ったままである。

「で、有権党はそんなに強いかね?」

 渡場と唐嘉はソファーに座っているが、周泰征は唐嘉の後ろに立っている。ソファーは東王国大陸では凄く高価なものとされている。

「強いです。国進党と五分…いや、もうそれ以上でしょう」

 唐嘉は団扇をゆっくりと仰ぎながら答える。

「しかし、こちらには星明王がいる。星明王のためにも国進党は必要だ。我々がいれば、星明王が安泰、すなわち東王国が安泰なのだ」

「国進党だけが安泰なのではないですか?」

 口を出すことは止められていない周泰征の意見に渡場の顔が変わった。

「違う、決してそんなことはない。国進党は国のために身を粉にして働くのだ」

 唐嘉は口元を団扇で隠し、周泰征に発言権を譲った。


「東王国大陸の国民のためですか?」

「国のためとは国民のためでもある! そんなこともわからないで、よく政党を名乗れたものだな!」

「私は政党に属していても、政治家ではありません。私は国民側の立場として発言します。国民は国進党を望んでいません。この緑山国の国民も同様です」

「そんなことはない! 毎日、国民と話しをしている。国進党を誰一人として反対する者はいない」

「特定の国民ではないですか? あなたに媚売っていれば得をし、国進党の得にもなる特定の国民では?」

 渡場には心当たりがあった。わかりやすく顔に出る。

「我々を舐めてもらっては困る。元は九龍組だ。あなたに近づいている国民も暴力団ということはすでにわかっています。今頃、うちの幹部が緑山国の暴力団を一掃している頃でしょう」

 渡場は観念したようにうつむいた。

「…確かに暴力団との関わりはあった。政治が頭なら彼らは腕だ。利用できるものは利用する。それが政治家だよ。私は今のままで良いと思っている。貴殿らがなんと言おうと私は国進党を裏切らない」

 すると二人のやり取りを聞いていた唐嘉がテーブルに団扇を置いた。

「されば、ここで貴殿を殺してこの緑山国を乗っ取るのみです」

 団扇を置いたその手は懐から小刀を取り出した。唐嘉は木刀術全般に対して小刀で戦う流派を得意としているため、常に小刀を所持している。

「な、何を言っている! そんな事をすればどうなるか判っているのか!」

「やめてください、唐嘉殿。九龍にはあなたが必要なんです」

 さすがに周泰征も声を荒げずとも強めに止めにかかる。


「いや、このまま渡場殿と緑山国が手に入らなければ…国は守れない。ならば私と私の一族の命と引き換えにしても、緑山国を手にいれなければならないのだ」

「そんなに私とこの国が必要なのか…。ど、どうしてそこまで命を張れる?」

「この国の未来を左右する一員だからかもしれないですね。東王国大陸と、西と統一するためなら私の命なぞ、大した事はない」

 小刀を鞘から抜いた。

「唐嘉殿…そこまで。ならば私が渡場殿を殺します」

 周泰征は太刀に手をかけた。

「ちょ、ちょっと待て! 待て! い、今、統一と言ったか?」

「そ、その話しには興味がある。い、一体どう言うことだ? 有権党はまだ国進党も倒していない。なのに統一だと? 西と? そんな夢のような話しをしているのではないか?」

「もう少し詳しく話をしましょう。我々は国進党を倒すのではなく、破王を達成しようとしているのだ」

「は、破王?」

「破王とは星明王を打ち破る事。新たな王を立てる事」

「なんだと~!?」

 渡場から今日一番の大声が出た。絶叫に近い。渡場は唾を飲んで聞く。

「い、いつ、王を変えるつもりだ?」

「早くて今年中。それまでには王を変えるのに邪魔な国進党は排除されているでしょう」

「今年中に! 有権党はそんなに力があるのか…。す、少し、考えさせてくれ」

「もちろんです。どうぞ十分にお考えください」

 唐嘉は小刀を鞘に納め、周泰征も太刀から手を離した。

「できることならあなたを斬りたくない。では…」

 唐嘉は礼をすると周泰征も一緒に部屋を出ていった。二人が去った後には唐嘉の団扇がテーブルに残っていた。渡場は団扇を取って見ると今年中の予定が書かれてあった。

「なんと…あの壁が壊されるだと? こ、これが本当であれば、私は…」

 渡場は額の汗をぬぐった。



 城の場外で唐嘉は周泰征一派に囲まれている。

「唐嘉殿、お芝居が上手いですね」

「いや、あれは芝居じゃなく本当に斬るつもりだった。シュウが乗ってきてくれたから真実味が増しただけだ」

「え?」

「唐嘉殿! 暴力団の鎮圧完了いたしました!」

 新豪の使いが来た。

「わかった。で、新豪と天嵬は?」

「ただいま、こちらに向っています!」

「そうか。じゃあ、俺は壁国に戻る。あとは…シュウ、頼んだぞ」

「ちょ、ちょっと待ってください。この後って何をすればいいんですか?」

「緑山国で渡場殿の決意が揺らがないよう九品党の地盤を築いてくれ。それから暴力団から目を話すな。完全な壊滅までは油断出来ない」

「渡場殿はもう決意されたのですか?」

「私の眼にはそう見えた。その時には私の団扇も返してくれるだろう」

 ニヤリと笑った。

「そういう事でしたか、団扇はわざと置いてきたのですね。忘れてると思って持って帰ろうかと思いましたよ、唐嘉殿が大事な団扇を忘れるわけないですから。では、壁国まで送りましょう」

「平気だ。一人の方が襲われにくい。馬を貸してくれ」

 唐嘉は馬に乗ると手を振って壁国に帰った。


 ちょうど天嵬一派が周泰征のところに来た。

「おぉ、シュウよ~、悪ぃんだけどさぁ。谷戸(やと)を逃しちまったぁ」

 谷戸(四十八歳)とは暴力団の総指揮をしている男である。彼は九龍と一人でやりあえるほどの頭脳の持ち主であるため、九龍組の襲撃のたびに姿をくらましていた。

「あとちょっとだったんだけどなぁ! あっ、でも谷戸以外は全員捕まえたぞ!」

 自信満々に胸を張った。

「さすが、天嵬殿。それで、谷戸の逃げた先は?」

「新豪が追っかけてっからそのうちわかると思うぜ。で、この後、俺達はどうすんの? 唐嘉はどこだ?」

「唐嘉殿の指示で緑山国に九品党の地盤を作ることと、それと暴力団壊滅をしろと。なので天嵬殿と新豪殿はここに残っていただきます」

「よし! でぇ…この城に残んのか?」

「この城はまだ国進党のものですから。簡易事務所を作れる場所を探しましょう」

「よし、事務所探しだ!」

 天嵬の指示に数名の部下が街へと探索しに走った。


 後日、唐嘉の予想通りに渡場が壁国の九龍九品党本部に現れた。渡場は唐嘉に団扇を返した。

「この計画、私も力を貸そう。唐嘉殿、そして有権党のために働こう!」

「国主の力、お借りします」

 こうして岩海国と緑山国が有権党に加わった。




 渡場が壁国を訪れていた頃。国進党本部では緊急会議が開かれていた。

 本部の広間には国進党幹部が五人しかいない。高山が話しを切り出す。

「まだ、渡場は来ていないのか。とりあえず会議を進めよう。まずはこれを見てくれ」

 高山がテーブルに置いたのは前慶の太刀である。太刀を抜いてかざしてみる。

「前慶が忘れていったものだ。自分の武器を忘れていくとは馬鹿者よな。まぁ見てわかるように本物の真剣だ。なぜ、奴らはこんな物を持っているのだ? 人を殺せばどうなるか分かっているはずだ」

 一同、黙ってしまうが、しばらくして赤国(せきこく)国主・赤川(あかがわ)(四十歳)が口を開いた。

「真剣でなくとも木刀でも人は殺せます。まずは武器その物を禁じなければなりません。九龍組には殺人木刀術の使い手もいるそうですから」

「あれはもう絶えたのでは?」

 高山が聞くと、赤川が答える。

「流派は断絶しています。ですが、…最後の門下生というか免許皆伝の者がいるそうです。あくまで噂の域ですが…。もしそいつが九龍組で指導を始めたら―――」

 赤川の言葉をさえぎるように広間に党員が走りこんできた。党員は血相をかいている。

「し、失礼します! 緑山国、岩海国が有権党に加入したそうです!」

 そして党員は、安然がばら撒いたチラシを差し出した。

「小篠は予想出来た。私の根回しが足りなかったと後悔しよう。しかし、渡場まで裏切るとは…。とにかく、これ以上奴らの力を増やすわけにはいかんな。この中から裏切り者が出るとは思えんが…有権党をこのままにはできん。こちらからも攻撃して行くぞ」

 高山がジロリと辺りを見回した。

「党首! 武力で制するのは国進党の規則に反します!」

 拓国(たくこく)国主・雄河(おがわ)が反抗した。

「馬鹿者。攻撃と言う言葉だけで武力に結び付けるんじゃない。法律という攻撃だ」

「い、一体、何をするおつもりですか?」

 雄河の質問に高山はしばらく黙る。固唾を飲む一同。

「廃刀令を下す! いいか、読んで字の如く、刀の廃止だ! そして木刀、もしくは太刀を持つことが許されるのは国進党のみだ」

 高山は不敵な笑みを浮かべている。一同が驚く中、堂国(どうこく)国主・堂下(どうもと)(三十二歳)が身を乗り出す。

「そ、そんなことをして許されるのですか!」

「…堂下、鈍いな。私たちは法を定める国進党だ。こちらに有利な法律を作るのが我らの攻撃! 有権党を縛り付ける法律を作ることも何ら問題はない!」

 一同は高山の強行に、ただただ驚く事しか出来なかった。


 後日、廃刀令は本当に実行された。改めて国進党の力を国中に知らしめることとなった。

 国進党以外で木刀を所持していた者は有無を言わさず、国進党が新たに設立した警備組員達によって逮捕されている。そのせいで、九龍九品党の党員が何人か捕まった。

 そんなこともあり、今では暴力団ですら木刀を所持していない。しかし、前慶と唐嘉はそれをチャンスと考え、武力を無くした暴力団の撲滅を続けていた。

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