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九龍組  作者: 大蔵 富造
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第一話 新時代の幕開け ~九龍組と松山~

国新党発足から七十八年後の現代。

 海に囲まれたこの大きな大陸には二十の国がある。近代科学はまだ無く、電気も無ければ火薬も無い。

 この大きな大陸の目玉は二つある。一つは南側にある千丈頂天(せんじょうちょうてん)(ざん)であり、人間が登頂するのは不可能と昔から言われてきた。麓の広大な樹海に入るのも危険である。

 もう一つがこの大きな大陸を東と西に分断する高い壁である。この壁のせいで東西は独自の文化を作り上げている。海を越えて東西を行き来することももちろん禁止されている。



 この大きな大陸の歴史を語る上で、この壁を語らないわけにはいかない。

 大陸の中心に位置した真国(しんこく)によって、周囲の村や領土は統一されていた。

 しかし、真国の指導者である「国王」が何者かに殺害された後、国王から真国の東側に領地を与えられていた東道高位(とうどうこうい)と、真国西側に自治領として存在していた柳国(るこく)国主(こくしゅ)公牧高位(こうぼくこうい)による東西戦争が起こった。戦場になったのは東西の中心、真国であり、戦災に遭った真国は消滅した。


 その後、東の領地は東王国(とうおうこく)、西の領地は柳国と合わせて上西国(じょうせいこく)と名乗り、互いに領土を広げながら数年間、戦争を続けた。

 東西戦争は、東道高位こと東高王(とうこうおう)の息子・洞淳高王(どうじゅんこうおう)が東王国を継いで、東西完全遮断という外交を行ったおかげで終結した。

 完全遮断のために旧・真国を縦半分に割るように東西が力を合わせて壁を作り始めた。


 東王国が作った壁は高さ約三m。幅一m程のレンガ造りである。壁に近づいたり、寄りかかるだけでも捕らえられる危険がある場所となった。

 上西国は木材の骨組みを使った泥壁で同じく三m程の高さがあり、こちらは壁に近づくだけでも死罪となる。両国の壁と壁は密着していない。

 東西の政治的使者だけが往来できるように旧・真国の中心に東西を繋ぐ豪華な門が一箇所だけ作られている。往来する使者も年に一度くらいの事である。


 だが、この壁も大陸の南側にある千丈頂天山まで建てることはできなかった。山の高さは約二千八百m。約千m地点から一気に高くなり、麓も深い樹海に囲まれているため壁は少しだけ樹海に入るように作られた。東西ともにこの壁の端に見張りを立てている。

 旧・真国から北に行けば海に出るが、たどり着くまでには広大な平野が続き、まだ国もない。壁が作られていくにつれて開拓も進み、人の移住も始まった。海にももちろん監視役はいる。東西は競うようにして壁を立てたために壁の完成は思っていたよりも早く正確に一直線となった。

 この壁が出来てから東と西は全く違う独自の文化を作り、現在に至る。


 東王国は洞淳高王の息子・太禅(たいぜん)高王が継ぎ、即位の際に大陸名を東王国とし、旧・東王国を王のいる国として「王国(おうこく)」と改めた。東王国大陸には王国含め十一ヶ国あり、各国の指導者は国主(こくしゅ)と呼ばれる。

 その国主の集まりが「国進党(こくしんとう)」という東王国大陸の政治を仕切る政党であり、王国の国主が国進党党首を務め、国進党は王と共に憲法も作った。



 国進党発足七十八年目の現在、東王国国民の私服はワイシャツやドレスなどであり、外出時はスーツなどの正装もある。ネクタイの着用、またはその色によってその人物の位が区別される。

 職業によってはスーツを着ずに男女ともに普通のTシャツやアロハっぽいのもある。東王国大陸は北でも南でも一年通して過ごしやすい季節のため、このような格好でも比較的過ごすことができる。

 靴は革靴やブーツを履く。髪型は基本的に自由だがオールバックが正装のため、普段の髪形もオールバックをしている人が多い。女性のファッションは決まり事は無く多種多様であり、正装時だけ身なりに気をつけなさいという程度である。



 住居は瓦屋根の木製で引き戸だが、あばら家のようなものではない。室内は洋風でフローリング。椅子に座って生活する。だが、家具などはいわゆる和風なものが多い。

 東西で共通するのは食事であり、主食は米である。だが上西国では三十年程前に海を渡ってきた外国の影響で、パンが流行り始めている。野菜などは生産数に差が出るが、作れる物は大して変わらない。もちろん各国の特産物はある。漁業に関しては取れる魚がそれぞれの場所で全く違う。




 王国に異例といえる時期に上西国から使者が来た。使者は「上西国は外国の大軍を東王国に送り込む」と言い放ち、東王国大陸は大いに揺れた。その宣言に国王は立ち上がることができず、臣下たちもなんと反論していいかもわからず、ひとまず使者を帰すことにした。

 東王国大陸には不思議な風俗があり、国新党が発足した頃から殺人を犯した者とその一族を根絶やしにしてしまう「太禅高王の呪い」がある。そのため、戦争なんかをする士気もなく、生死をかけた戦い方も知らないのである。相手を憎くて殺したいほどの憎悪を持っていても話し合いで解決できるように裁判制度の能力が異常に高いのである。殺人をしてしまうと一族まで呪いが降りかかるので家族間の繋がりも必然と強くなっている。

 だが相手を殺さないようにする手段に長けている者たちもいる。




 上西国の使者が帰ってから数日後、東西を繋ぐ門に見張りを多めに立たせたある日。

 国進党の緊急会議が王国で行われ、十一ヶ国中七ヶ国の国主は戦わずに上西国と外国の支配下になる保身案を議題に上げた。

 しかし、王国に隣接する「松国(しょうこく)松山義仁(まつやまよしひと)(五十歳)」と、壁に沿っている三ヶ国国主(「壁華国(へきかこく)華山(かやま)(三十八歳)」、「壁国(へきこく)の野田(三十歳)」、「壁端国(へきたんこく)真川(まがわ)(四十四歳)」。壁国は松国と隣接している。)は上西国と外国を侵入させない対抗案を挙げた。二つの案は王に直接訴えることにして緊急会議はお開きとなった。



 国進党内で保身案と対抗案が明確になったこの日の夜。

 松国の松山と護衛五人が対抗案を掲げる三ヶ国国主と会談するために松国にある二階建ての「町田屋」と呼ばれる飲食店へ向かっていた。王国からすぐ近くにあり、松山の行きつけの店である。ここで集まるのも意味があった。

 松山は白髪のオールバックで白い口髭を生やしている。そのせいか年齢よりも少々老けて見える。そして体が悪いわけではないが車椅子で移動する。この車椅子は木製で移動用に使われ、位の高い者だけが乗ることになっている。


 松山の前方で二人が行灯で道を照らし、一人が車椅子を押し、後ろにも行灯を持った二人が付いてくる。車椅子を利用する場合、基本的にこのような形になる。人数が増えれば車椅子全体を覆う形となる。

 町田屋までもう少しの所で、四人の不審者が松山達の前に立ちはだかった。前方の護衛二人は木刀を抜く。木刀の材質はとても硬く、相手を殺すこともできるが「太禅高王の呪い」を恐れているため、間違っても殺さないように敵を倒すだけの不殺木刀術(ふさつぼくとうじゅつ)を心得ている。松山を警護しているのはこの木刀術の有段者達である。

 松山の後ろからドサッと音がした。後方の護衛二人が新たに現れた不審者二人に、木刀で殴られて倒れていた。残った護衛三人は固まり、松山を守る。不審者達は松山の前方で集まり、落ちている行灯が照らしている。

 

「何者だ! 名を名乗れ!」

 松山が車椅子から降り、気迫を込めて言うがもちろん答えはない。隙を見て護衛一人が敵に飛びかかると六人に袋叩きにされた。彼は松山も目をかけるほどの木刀の達人であったが、この光景を見た松山は無事に帰れまいと腹をくくった。

 その時、不審者の一人がうずくまった。落ちている行灯が薄暗く照らし、よく見ると後ろから肩に矢が刺さっている。

「おい、松山ぁ俺が引き取るがいいな?」

 不審者達の向こう側からひどく訛りの混ざった声がした。


 訛りと共に三人の不審者が近づいてきた。明かりに照らされると一人は「シルクハットの帽子」を被り、もう一人は「弓矢」を持ち、もう一人は「団扇」を仰いでいた。団扇が必要な季節ではない。全員スーツ姿でネクタイはしていない。

「なんだ貴様ら!」

 先に現れた不審者達の一人が怒鳴った。

「俺らぁな、…なぁ言って平気かな?」

 訛っている帽子の男は団扇の男に聞いた。

「平気だろ。こんな奴らに名乗ってやる必要は無いけどな」

 団扇を仰ぎながら答えた。体型は太っていないが団扇を愛用している様子だ。

「味方ではないようだ、やってしま…ぐっ!」

 言い切る前に足に矢が刺さった。弓矢の男はまた矢を構えている。

 二人が木刀を振りかぶって襲いかかるが、帽子の男が前に出るとなんと太刀を抜刀して二人の木刀を斬った。不審者達は斬られた木刀を見て驚愕した。

「真剣だと…」

「なんで真剣なんか持ってやがる!」

 間違って殺してしまうかもしれない真剣を持った相手がいることに不審者たちの手は震えた。


「ホラホラァ、殺さないでやるからさっさと家に帰れぇ~」

 帽子の男は太刀で指示をした。武器が無くなった二人も、矢が刺さっている二人も逃げ出した。

「おい、逃げるな! くそぉ…殺すことなどできないはずだ。多勢に無勢だ、引かせてもらう」

 不審者たちはいなくなったが、松山たちも真剣を持つ相手に冷や汗をかいていた。

「逃げたかぁ、まったくそれでぇ天下の国進党党員かっての」

 太刀を収めながら笑う。

「国進党だと? ど、どうしてわかるんだ?」

 松山の問いに帽子の男は答えず、弓矢の男が言う。

「私たちはあなたの新党発足の話しを聞くためにここに来ました。できれば話しを聞かせてください」

「ど、どうして新党発足の話しを知っているんだ!」

 護衛の一人が驚きを隠せずに声にしてしまった。帽子の男はチラッと護衛を見た。松山は話しをそらそうと護衛達の前に出る。

「助けてもらったのは有難いが無茶なことを言わないでくれ…」

 帽子の男は松山をじっと見て言う。

「助けた? 分かってねぇな。あんたらぁ俺の手の中にある。話さなくてもいいけどよぉ、そのときぁ分かってるなぁ?」

 その妙な笑顔に、護衛達の顔色が変わった。


「う、うむ。確かに君の言うとおりだ。だが、それなりの礼儀と言うものがあるだろう? 名前を名乗ったらどうだ?」

 松山は緊張のあまり額に汗をかいているものの怖じ気づくことなく聞いた。

「おぉ、さすが肝が据わってるなぁ。俺ぁ、九龍組の前慶(ぜんけい)だぁ」

 前慶(三十四歳)は帽子を取ってみせるとオールバックがキマっている。そしてまた被る。

 続いて弓矢の男が頭を下げて名乗る。

「九龍組の周泰征(しゅうたいせい)です」

 周泰征(二十八歳)の髪型はオールバックにして後ろで束ねられるほど長い。九龍組の中でも外でもイケメンとして有名である。

「私も九龍組の唐嘉(とうか)

 唐嘉(三十三歳)の髪型は常に散切りで、オールバックにはできない。団扇を所持し、トレードマークとなっている。

 九龍組の名を聞いた時点で護衛三人の口はあんぐりと開いていた。

 

 九龍組は賭博で財を成している会社の名称であり、国進党に献金もしている。そして前慶は九龍組組長である。前代の組長が有力な地主であり、ヤクザ業務に励んでいたが賭博・娯楽業に鞍替えし、今の地盤を築いた。前慶が二代目組長として後を継ぎ、国進党に献金を始めた。献金の理由は国のためと、前代の約束のためと本人は言っている。

 この前慶、唐嘉、周泰征のような不思議な名前は九龍組の幹部にだけ与えられる特殊なあだ名である。


「九龍組の前慶とは君の事か…。初めまして」

 松山は会釈した。前慶はあまり表舞台に出ることが無く、顔を知っているものも少ない。

「貴殿は、九龍組は国進党に金を提供してくれているな。その助けもあり、我々国進党は楽な暮らしができている」

「上が潤わなきゃ、下ぁもっと潤わねぇ。そういう世の中なんだぁ。だろ?」

「…新党はその世の中を変えるためのものだ」

「ま、松山殿!」

 護衛が新党の話しを止めようとした。

「いいんだ。九龍組に隠す事は無い。それに九龍組は新党の意味も知っているようだ。いったいこの情報はどこから漏れたのか…。とにかく、上西国が外国の手を借りて東王国に攻めこもうとしている。このままでは東王国は外国の力で滅ぼされるか、外国の支配下になるか、そのどちらかだ。恥ずべきことに…国進党の半数以上は保身のために上西国、外国と手を結ぼうとしている。外国の力は計り知れない。上西国と手を結べば外国の物になってしまう。それどころか東王国自体が外国になってしまうと私は思うのだ。果たして東王国の民は外国の支配を許すだろうか?」

 前慶を見た。

「一国民としてぇ、それぁ許せねぇなぁ」

「そうだろう。だが、もしかしたら外国に支配される事が、この国にもっと良い影響を与えるかもしれないと思うこともある。自分の国に自身が持てないのは情けないことだがな。私はこの大陸に生まれ、この国に生まれ、もう五十年が経つ。この国が好きだ。外国の物にしたくはない。古い考えかもしれんがな。外国の支配を阻止できるのは国民ではなく国進党だけだ。なのに己の保身を考えている者がいるとは…この国は平和過ぎたのだ」

 松山は心から嘆いていた。

「そこで松山殿は新党で国進党を変えようと…対抗しようとしているのですね?」

 周泰征が質問した。

「そうだ。しかし私達には力がない。名ばかりの新党ではただの自己満足だ。…そこで前慶殿! 国進党ではなく我々と手を結ばないかね? 貴殿の力が必要なのだ」

 前慶は腕を組んで考えている。

 

 東王国では目下・年下ならば「殿」を付けずに呼び捨て、・タメ口で構わない。だが尊敬や丁寧語として「殿」を付けることがある。男を呼ぶ時の呼称は「殿」しかない。王だけには例外で「様」を付ける。

「俺ぁあんたと話しがしたくてねぇ。ここで襲われるってぇ聞いたからぁ来たんだ」

 唖然とする松山と護衛三人。

「聞いていた?」

 松山は信じられなかった。国進党である自分が知らなかったのに九龍組は知っていたのだ。

「新党の話しだって…今日考えたものだ、どうして知っているんだ?」

「我々は九龍組だ。東王国で知らないことはない」

 松山の質問に唐嘉が団扇を仰ぎながら自慢げに答えた。

「どぉせ無駄な新党かと思ったが、あんたの口からハッキリ聞けてよかったぜ」

 前慶は手を出して松山に近づき、がっちりと握手した。

「前慶殿、ありがとう」

 松山も前慶も笑っている。

「殿ぁいらねぇぜ」

「そうだ! このまま町田屋に来てくれないか?」

 松山の提案に前慶は唐嘉を見た。

「まだ早い。まずは九龍組を整理しなければ力になれるかも分からない」

「と、ゆうことだぁ。まだ早ぇ。そいじゃ、新党に期待してるぜぇ」

 強く握手した。松山もしっかりと握り返す。

「わかった。また会おう」

 九龍組三人は闇に消えた。松山達は気絶している護衛を起こして、そのまま町田屋に向った。



 町田屋二階の一室。すでに三ヶ国の国主はいた。それぞれ正装のスーツ姿である。

「おぉ、遅かったですな」

 壁華国国主・華山が立ち上がって松山と握手を交わした。

「ここにくるまで、いろいろあってなぁ」

 松山は他の国主と握手を交わした後に襲われた事を説明した。襲撃の危険性もあったために会談は松国内にしたがその予想を超えていた。保守派と対抗派の確執は急速に深くなっていた。さらに九龍組の出現に国主三人は呆気にとられた。

「九龍組が味方になると!」

 壁国国主・野田は勝手に決めつけたが、壁端国国主・真川もそう思い言う。

「これは思わぬ助け。まさか力を貸してくれるとは…」

「もともと説得しようとしていたんだ。手間が省けました」

 九龍組を説得しに行くのは、華山の仕事だった。

「前慶と握手をしたから味方になってくれると思うが…まずは我々が新党を立てない事には始まらない。前慶も九龍組を説得できないだろう」

「では松山殿、その第一歩として新党の名はどうしますか?」

 身を乗り出して野田が聞いた。真川も華山も興味津々である。

「私は【有権党(ゆうけんとう)】という名にしようと思う。月並みな呼び名だが、誰にも権利があるという意味を込めてだ。どうだろう?」

 国主三人は声を上げた。

「有権党か…いい響きですな。では党首は松山殿ということでよろしいですな」

 野田が言うと拍手が起こった。

「うむ…では力不足かもしれんが力の限りやろう」

 また拍手が起こる。この後、有権党の本拠地を東西に通じる門がある壁国に作る事、有権党の発足を王に伝える事を約束して解散した。



 翌日午後、王国の国進党本部に松山が出勤してきた。現在は国主全員が出勤しているが、普段は三十日交代で党首とどこかの国主一人が出勤するだけである。

 「失礼します」

 松山が引き戸を開けると国進党党首・高山(四十六歳)は自慢の党首席に座っていた。ビシッとキメたオールバックに国新党党首を表す「水色」のネクタイをしている。

「松山殿か…いかがした? 顔色が悪い…というよりも機嫌が悪そうだな?」

「昨晩、うちの党員達に捕まりかけた。もしやと思うが…党首の仕業か?」

「おいおい、いきなりなんだ!? 党員が松山殿を襲うだと? 私の指示で? 本気でそう思っているのか?」

 松山はじっと高山を見る。高山は不服そうな顔をしているが、松山は続けた。

「私を襲った党員だ誰だかはわからない。だが探せばわかる。私を襲った者には矢が刺さったからな」

「矢だと? なんと物騒なものを…。すぐに犯人を調べよう。その前に一つ聞くが、なぜ俺を疑った?」

 目には怒気が籠っている。

「国進党内で保身と抵抗の派閥に別れた。敵対する者を潰そうと指示するのは指導者しかいないと思ってな」

「なるほど。確かに筋が通る。だが俺はそんな姑息な真似はせんよ」

「私も党首はそんな人ではないと思っていた。疑って失礼した」

 松山は深々と礼をして部屋を出て行った。高山は椅子にもたれかかる。

「ふぅ……。しくじりおって!!」

 松山を襲わせたのは高山である。

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