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九龍組  作者: 大蔵 富造
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九龍組番外 その後 ~統一のあとに~

 太和(だいわ)国として統一された大きな大陸は、外国の植民地だったカイタタハイラを外国人保護地区として龍下国(たつげこく)を設立した。カイタタハイラを故郷とする外国人やハーフの子どものために故郷を奪うわけにはいかない、過去に植民地として故郷を奪われた連珠州(れんじゅしゅう)や立涼州(りつりょうしゅう)の国民達のような目に会わせたくないという思いもあった。そして外交のために残したという目的もあった。

 故郷を奪われたことに対する報復をするべきという雰囲気もあったが、暴動などは起きていない。それは龍下国の監視を目的に作られた警暴団(けいぼうだん)が、龍下国設立から半年もすると大陸全体を取り締まる警察のような組織に変わり始めたおかげだった。

 しかし、この警暴団とよく衝突していたのは赤坂率いる新龍組(しんりゅうぐみ)である。自警団である新龍組も治安のためにと独自の行動をしていたが、警暴団には解決できない犯罪に対して犯罪を用いて解決するなどの強硬手段を取ることもあったためだ。



 大陸統一直後に行われた周泰征の結婚式から半年経った。それは警暴団が大陸全体に配備され始めた頃でもある。極龍組も警暴団との衝突が目立ち始めてきた。そんなある日、王国の安然(あんぜん)に極龍組組長の前慶(ぜんけい)が呼ばれた。

「最近、極龍組が暴れているらしいな」

「警暴団が厳しくてなぁ」

「大丈夫なのか?」

 そこにいた九品有権党の唐嘉(とうか)も団扇を扇ぎながら心配していた。

「おぉ~、まさか唐嘉から心配されるたぁ思わなかったぜぇ。大丈夫に決まってるだろ? 天嵬(てんかい)が指揮してぇ、程子(ていし)が金ぇ管理してぇ、正弦(せいげん)が馬鹿な組員を消してってるぜぇ」

「消すだと? 殺しているのか?」

 真剣に問う安然。手を振って答える前慶。

「おいおぃ、やめてくれよぉ。組に入れてねぇだけだぁ。そんなことより徐江(じょこう)ぁどこだ? 食事の誘いに来たんだけどよぉ」

「そうか、私も行きたいな」

「おぅ、安然殿も久しぶりにみんなで飲むかぁ? 九龍が集まるんだぜぇ。で、ちょうど唐嘉も呼ぼうとしたらぁ呼び出されたからよぉ」

「私も行きたいが別の用事があってな。また今度だ」

「新豪(しんごう)も来るのか?」

「おぅ、来るぜぇ。町田屋を抜け出してくるとよ」

「あそこの娘と結婚するとはさすがは新豪だよ。あれには私も驚いた。あそこの親父は昔から知っているがなかなか頑固者だったからな」

「結婚で驚いたのは天嵬ですよ。本当に月乃(つきの)と結婚するとは」

「馬鹿な弟ができて大変だなぁ」

 前慶はニヤニヤしている。

「土下座までしてきたからな」

「あの時はここに乗り込んできたから私も驚いたよ。てっきり国主を辞めさせられるかと思った」

 安然は思い返して笑っている。

「それが天嵬ってもんだぁ。そういやぁ水乃(みずの)君ぁどうした?」

「知らんのか? 武古屋のところだ」

 唐嘉は水乃の行動に呆れたように言った。前慶は目を丸くした。

「なっ! 本当かぁ?」

「あぁ、そうだ。武古屋が東に遊びに来た時に…あれだ、一目惚れらしい」

「そうかぁ~、どうりで程子が生き生きしているわけかぁ」

「程子にその気が無かったからよかったが、水乃に好き勝手されて悪い事をしたと思っている。毎日、極龍組に行ってたんだろ?」

「あぁ、毎日なぁ。程子の仕事がはかどらなくてなぁ」

「そういう前慶はどうなんだ?」

 安然の問いが前慶にはわからなかった。

「カイタタハイラ、いや龍下国に残した女性のことだよ?」

「お、おいおぃ何言ってんだよ。お、俺ぁそろそろ戻るぜぇ。夜だからなぁ、ちゃんと来いよ」

 動揺しながら部屋を出ていった。

「フフ、からかいがいがありますね」

「たまには動揺したところを見せてもらわんとな。いつも私達が脅かされてばかりだからな」

 二人は笑った。



 夜、壁国(へきこく)の極龍組本部に元・九龍組の九龍が集まる。部屋に入ってきたのは周泰征(しゅうたいせい)。

「おぉ! シュウ! 久しぶりだなぁ!」

「天嵬殿、お久しぶりです!」

「時期、緑山国(りょくさんこく)の国主殿だ。皆、拍手!」

 堂紅奉(どうこうほう)が率先して拍手すると皆も拍手した。

「やめてくださいよ。まだまだ先の話しです」

「そうでもないッスよ。渡場(とば)殿はもう引退するとか言ってましたよ」

「おっ、さすが九品有権党の党首・徐江! 裏情報だな」

 天嵬が隣に座る徐江の背中を叩いた。

「ぐはっ。い、いやいやそれほどでも…」

「ところで前慶はどうした?」

 唐嘉の問いには正弦(せいげん)が口を開いた。

「それが王国から戻ってきた後に出かけに行ってしまったんです」

「手紙が届いててさ、それを見たら行っちゃったんだよねー」

 程子が補足すると、

「あの手紙ぁ…確か赤坂からだと思ったがぁ」

 天嵬も補足した。

「ま、まさか新龍組に会いに!?」

「さぁそれは分かりませんが笑っていましたから…徐江殿の思うような事はないでしょう」

「ともかく組長が戻らない限り、酒は無しだ」

「おぉい、シュウ! それぁないぜぇ~」

 天嵬は酒の入った瓢箪を掲げている。

「もともと九龍の間ではそうだったろ? 諦めるんだな」

「唐嘉まで…くそぉ~、前慶の野郎はどこ行きやがったぁ!」

「落ち着いて、落ち着いて! ところで月乃は元気にしてますか?」

 新豪が話しを変えた。天嵬の顔は深刻な表情に変わった。

「それがよぉ……」

「月乃になんかあったのか!」

 唐嘉が妹を心配して叫んだ。周りも固唾を呑んでいる。

「…子供ができたんだぁ!」

 一同、驚いた。

「やったな、天嵬! 男か女か?」

「堂紅奉殿ぉ、まだ早ぇぞ~、生まれてねぇから。まだつわりってやつだ。たぶん、10ヵ月後ぐらいにはな」

「それじゃ俺の子はその前に生まれるかもな」

 周泰征の一言に一同、また驚いた。

「え!? シュウにも子どもー!?」

 程子もいつもの笑顔は無くなって驚いている。

「できた。もう腹が目立つ」

「はっはっはっ! これはめでたいなぁ!」

 堂紅奉が隣にいた周泰征と握手した。

「そうかそうか、シュウのとこも子どもができたかぁ~」

 天嵬は拍手している。

「なんだぁだったら、もっと早く知らせてくれもいいじゃないですか~」

「すまないな、徐江、いや、知らせようと思ったんだ。でもこの機会でいいかと思って」

「どのみち集まればその話しになるでしょうからね。あとは新豪のところですね?」

 正弦が新豪を見た。皆も見る。新豪は腕を組んでいる。

「それがもう出来てもいい頃なんだけど…」

「まったくなんでこんなときに組長はいないのー」

 程子が呆れて言うが本部は盛り上がっていた。



前慶が向かった先は?


町田屋…東方の松国にある安然のいきつけの居酒屋。新豪の義父の店。

三池屋…西方の帯壺州にある赤坂のいきつけの居酒屋。滝本も行っていた。


どっちのストーリーもすでに書いてあるから、公開する。

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