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父ちゃんの教え

「では 良いお年を」


「母ちゃん 良いお年を って何だ?」

「今年もそろそろ終わって 新しい年が始まるから その年が良い年でありますようにって事だよ」

「ふ〜〜ん」


明日から 冬休み

「それでは 通知表を渡しますから お家の人に見せるんですよ〜」

「おっ!良い が一つ多いぞ!」

「太郎ちゃんすごいね〜!良いが 三つも…」

晶ちゃん 褒めたのか?ん!褒めたのか?

「へへん!すごいだろ!晶ちゃんは…すっげぇ!全部良いだね」

「俺は もう少しが 五つ あるから俺の勝ちだね!」

小太郎…それを 負け というのだ…


「小太郎…もうちょっと落ちついた学校生活をしましょう って書いてあるよ…」

「俺 落ちついてるぞ!」

「まぁ…それが 小太郎の持ち味だから しょうがないか…」

「母ちゃん 気にすんな!」

「はぁ…」

頭を抱える母ちゃん


次の日の朝

「母ちゃ〜ん!カードないぞ!カード!」

「なんのカード?」

「ラジオ体操のカード!」

「冬休みは ラジオ体操はないんだよ」

「えぇ〜!なんで?」

「冬は寒いからかな?」

「寒いから体操するんだぞ!」

言われてみれば そうかもしれないなぁ…


今日はクリスマス

「母ちゃん 今日 サンタ来んだよな!」

サンタクロースを信じている

「早く 寝る良い子にしか来ないよ」

「んじゃ 俺 寝る!おやすみ!」

「小太郎…まだお昼過ぎたばかりですよ…」


「小太郎 お買い物行くけど 一緒に行く?」

「おぅ!行く!」

街はクリスマス一色

「母ちゃん!サンタだ!」

サンタクロースが 何故か 紙 を配っていた

その紙はチラシ

「母ちゃん サンタ 何してんだ?」

「…お仕事……」

「ふ〜ん サンタも大変なんだなぁ」

子供の 夢 を辛うじて守る 母ちゃん…


「あら こんにちは」

「太郎ちゃん!」

「あっ!晶ちゃんと晶ちゃんの母ちゃん!」

「こんにちは」

晶ちゃん親子もクリスマスの買い出しに来ていたのだ

「晶ちゃん ばあちゃん家にいつ行くの?」

「三十日だよ」

「いいなぁ〜!母ちゃん 俺もどこか行きたい!」

「小太郎 今年はお家で年越しだよ」

「えぇ〜!晶ちゃんも居ないし つまんねぇなぁ」

小太郎と晶ちゃんと母ちゃん二人 でケーキ屋さんに来ていた

「おっ!ケーキの中に もんも 入ってる!」

「もんも?」

「晶ちゃん 桃 のことなの…小太郎は もんも って」

桃はもんも ごぼうはごんぼ 小太郎はそう言ってた

「私も 子供の頃 もんも だったなぁ…」

「晶ちゃんの母ちゃん 話わかるなぁ!」

「奥さん もしかして故郷…」

「そう!なんでわかったの?」

「小太郎の父親が そこで その影響で もんも って…」

「へぇ〜!そうなんだ!」

方言みたいだな

「母ちゃん ちょっとトイレ!」


「小太郎は 父親の話になると いつも あぁ なんです」

「えっ?」

「父親の話になると どこかに行って話を聞かないの」

「旦那さんは今…」

「客船の船長をやっていて…なかなか日本に帰ってこないんです」

「それじゃ 小太郎くん 可哀想ですね」

「だからかもしれない…小太郎が あんなんなのは」

晶ちゃんも黙って話を聞いていた

「母ちゃん!終わった?」

「何が?」

「なんでもない…」

店を出るとさっきのサンタが まだ仕事 をしていた

「晶ちゃん サンタに欲しい物頼みに行こう!」

小太郎は 晶ちゃんの手を引き サンタのところに近寄る

「サンタさん ちょっと耳貸して!」

優しいサンタさんが腰を低くする

「晶ちゃん!先に欲しい物頼んでいいよ!」

「私 さっきお母さんに お洋服買ってもらったから」

大人だな 晶ちゃん…

「そっか!んじゃ!俺ね…俺はね…俺は…父ちゃん…父ちゃんに…会いたい…」

いつもの小太郎じゃない…小さい声で サンタさんにお願いをした

本来 願い事をするのは 七夕

サンタさんは 真っ白な眉 真っ白な口髭の奥で微笑んだように見えた

晶ちゃんはさっきの 母ちゃん二人 の会話を思い出していた


「母ちゃん!俺 寝るよ!早い?」

「まだ 七時だけど…」

「俺寝る!良い子でしょ?」

「はい はい」

結局 八時過ぎまで 寝付けなかった小太郎…


十時にオシッコに起きる小太郎

「母ちゃん!オシッコ…」

「小太郎!」

「なんだ?母ちゃん…声変わったか…」

「小太郎 寝ぼけてるの?」

「そうそう 母ちゃんの声は…父ちゃん!」

茶の間に父ちゃんの姿

「小太郎…何泣いてんだ?」

「泣いてなんか…ないやい!」

「そうか 小太郎は男の子だ!泣くんじゃないぞ!」

「わかってる!俺は泣かない!」


九時頃…

「ただいま!」

「あなた…どうしたの?」

「昨日 こっちに帰って来たんだよ」

「連絡寄越せばいいのに」

「いや!驚かせようと思ってな」

父ちゃんからのサプライズ

いつもなら小太郎は起きてる時間なのだ

「その 驚くのはもう寝てますよ」

「なんだよ〜…」



「小太郎 風呂入るか?」

「おぅ!入るか!」

「よし!行こう!」

「おぅ!」

「小太郎 早く寝ないとサンタさん来ませんよ」

「もう!来た!」

「ん?」

普通の家庭では 父親がサンタ役になるのだろうが 小太郎にとっては 父ちゃんがプレゼントなのだ

その日 小太郎は父ちゃんと一緒に寝た


「今回はいつまで居れるの?」

「ん〜 大晦日には港に行かないと 元旦に出港なんだよ」

「そうですか…また小太郎寂しがりますね」

「すまない…」

「いいえ 小太郎は あれ で少しずつ大人になってますよ」

「そうか…そばに居てやりたいんだが…」

「晶ちゃんってガールフレンドも出来て」

「何!そうなのか!」

母ちゃんは 父ちゃんに 小太郎が 晶ちゃんの記憶を戻した事などを教えた

「そうか 小太郎が…」

我が子の成長に目頭を熱くする


次の日

「母ちゃん!晶ちゃん来たぞ!」

「こんにちは」

「晶ちゃん こんにちは!あなた この子が晶ちゃんですよ」

「おぉ!いつも 小太郎がお世話になってるみたいで ありがとうね」

「晶ちゃん これが 父ちゃんだ!」

「こんにちは 太郎ちゃん良かったね!」

「うん!」

笑顔の小太郎を見て 晶ちゃんも嬉しかった


三十日

「晶ちゃ〜ん!今からばあちゃん家行くの?」

「うん!」

「そっか!気をつけてね!俺は父ちゃんと散歩だ!」

「あら!」

晶ちゃんの母ちゃんが 小太郎の父ちゃんと話をしている

「父ちゃん!晶ちゃんの母ちゃん 知ってるのか?」

「父ちゃんの小学校の友達だ!」

小太郎の父ちゃんの実家と 晶ちゃんの母ちゃんの実家は 同じ田舎だった

小太郎が晶ちゃんと初めて会った あの場所

「えぇ!父ちゃんと晶ちゃんの母ちゃん 友達だったのか!」

「小太郎くんには 晶がたくさんお世話になってね」

「お世話なんかしてないぞ!当たり前の事をしてるだけだ!」

「そうだ!小太郎!それでいいんだ!」

「だろ!そうでも思わないと…俺 晶ちゃんに迷惑かけてる方が多いし…」

父ちゃんと晶ちゃんの母ちゃんが笑った


大晦日

「小太郎 母ちゃんを頼んだぞ!」

「任せろ!」

「小太郎 晶ちゃんと仲良くな」

「おぅ!…」

「なんだ 小太郎泣いてんのか?」

「泣いてなんか…ないやい!」

「そうだ!男は泣いちゃダメだ!でもな小太郎 泣かない男は 成長もしないんだ!泣く 時 が大事なんだぞ!」

「泣く 時 …?」

「そうだ!泣く 時 だ!小太郎は喧嘩して泣くか?」

「俺は 喧嘩しても泣かないやい!」

「大事にしてた もの が居なくなった時は泣くか?」

「……」

「母ちゃんに聞いたぞ!ニャンコ先生の事」


ニャンコ先生とは…

夏休みに 小太郎と晶ちゃんが拾った子猫で 小太郎の家で飼い 晶ちゃんに懐いていたのだ

ある台風の日

晶ちゃんに会うため 暴風雨の中 外に飛び出したニャンコ先生は 小太郎の目の前で車に…

「母ちゃん!ニャンコ先生が…ニャンコ先生が うわぁ〜〜〜〜ん」

そして 台風が過ぎ去り

「太郎ちゃん」

晶ちゃんがやって来た時 小太郎は庭にいた

「太郎ちゃん…」

「晶ちゃん…ごめんね…ニャンコ先生おじちゃんが連れて行っちゃった…そのおじちゃん家は俺ん家より大きいから…ごめんね晶ちゃん…晶ちゃんに黙ってあげちゃって…」

「太郎ちゃん…」

晶ちゃんは小太郎の涙の意味がわかった

庭の片隅に『ニャンコ先生のお墓』と書かれたところに晶ちゃんは手を合わせた

その話を母ちゃんから聞かされていた父ちゃん


「それが その時 だ!わかるか小太郎!そうやって大人になるんだ」

「わかんねぇけど…なんとなく…わかった!」

「そうか!」

父ちゃんは 小太郎の頭を撫でる


「んじゃ 小太郎を頼んだぞ!」

「わかってる あなたも気をつけて」

「あぁ!」

「父ちゃん!」

「何だ 小太郎!」

「良いお年を!」

覚えたての言葉

「おぅ!良いお年を」


「あ〜ぁ 父ちゃん行っちゃったね」

「そうだね でも元気そうだったし」

「おぅ!父ちゃん 俺に似て元気だけが取り柄だ!」

それを言うなら…まぁ よしとしよう…


ジリリリン…

母ちゃんが出る

「小太郎!晶ちゃんから電話だよ!」


「もしもし 晶ちゃんどうした!無事着いたか?」

『うん 今 おばあちゃん家だよ』

「そっか!よかったね」

『太郎ちゃん 何してたかなぁ?って思って』

「今 父ちゃん 見送って 帰って来たとこだ!」

『お父さん お仕事行ったんだ…』

「おぅ!もう行ったぞ!」

『寂しいね…』

「寂しくなんかないぞ!寂しくなんか……」

『…太郎ちゃん』

「……晶ちゃん いつ帰ってくるんだ?」

『三日だよ』

「んじゃ 四日に遊ぼう!」

『いいよ!』

「やったぁ!んじゃ四日にね」

『うん 四日に』

「んじゃね 晶ちゃん!」

『うん 太郎ちゃん』

「あっ!」

『ん?』

「晶ちゃん!良いお年を!」

『うん 太郎ちゃんも 良いお年を』


除夜の鐘が鳴り始めた…


「母ちゃん!あけましておめでとう!」

「はい おめでとう」

今日は一月一日 お正月

小太郎は母ちゃんとたった二人のお正月

「母ちゃん 凧上げするぞ!」

「ちょっと待ってね」

母ちゃんは年賀状を見ていた

「えぇ〜!早くしてよ!」

「小太郎 晶ちゃんから年賀状来てるよ」

「おぉ!さすが晶ちゃん 鳥の絵上手だなぁ!でも なんで鳥の絵なんだ?」

「今年は酉年だからね」

「なんだそれ?」

干支がわからない小太郎

「毎年 干支が変わるんだよ 去年は申年だったから 今年は酉年」

「へぇ〜!猿の次は 鳥なのか…母ちゃん 他には!他には何年があるの?」

「鼠とか牛 兎 馬 猪 犬 蛇 …」

「へぇ〜!後は?」

「虎とか辰 羊」

「辰って何だ?」

「龍かな…」

「カッケー!」

「小太郎は丑年なんだよ」

「えぇ〜!牛なの〜!虎とか龍がいいなぁ…」

男の子の憧れ年…

「小太郎は ちゃんと晶ちゃんに年賀状出したの?」

「出したぞ!怪獣の絵描いて 『こんにちは お元気〜!』って書いて」

「……」


小太郎はお正月が本当は嫌いなのだ…

大好きなじいちゃんが亡くなってから お正月は一人になる

他の友達は 親 の実家へ帰郷してしまう為 遊び相手が居ないのだ

「小太郎 初詣に行きますよ」

「行ってもいいけど…神様言う事聞いてくれないんだよなぁ…」

小太郎は毎年 『来年のお正月は 友達と過ごせますように!』とお願いしていた

毎年 来年のお願いをしている 小太郎

今年も母ちゃんと近所の神社へお参りに出掛ける

参拝するのに並んでいると

「母ちゃん!あの人なんか変だぞ?」

「どの人?」

「あそこに座ってる人」

母ちゃんが駆け寄り

「すいません どうかしましたか?」

声をかける

「お腹が…」

「まさか…小太郎!誰か呼んで来て!」

「おぅ!」

走る 小太郎

戻る 小太郎…

「母ちゃん!どんな人呼べばいい?」

「誰でもいいから!早く!」

そこは 参拝者が並ぶ参道から 離れたベンチ


「母ちゃん!連れて来たぞ!」

「小太郎!大人の人!」

小太郎が連れて来たのは…小太郎と同い年くらいの子供…

「誰でもいいって言ったのに…ブツブツ…」

小太郎が連れて来た人が連絡し 救急車が到着する


「小太郎!母ちゃんこの人に付き添って行くから 先に家に帰ってなさい」

母ちゃんは 小太郎が奮闘してる時に この人から話を聞いていたのだ

この人は 妊婦さんで 今日 無事赤ちゃんが産まれてくるように お参りに

旦那さんは サービス業で 今日も仕事の為 一人ここに来たのだった

そして

予定日はまだ先


「俺も行く!」

「……おとなしくしてるんだよ」

「おぅ!」


病院の待合室で待つ小太郎親子

「母ちゃん あの人大丈夫か?」

「大丈夫!」

その時 あの人の旦那さんらしい人が病院に駆け込んで来た

「すいません!電話くれた…」

「今 奥さんは分娩室です」

「えっ!予定は来月なのに…」

「もう 止められないみたいですよ」

「大丈夫なのか…」

「大丈夫!大丈夫だから!この子も未熟児で産まれたの!だから大丈夫だから!」

母ちゃんは 旦那さんの不安を取り除こうと 嘘を言った

小太郎も この 緊迫した空気を察しておとなしくしている

旦那さんは 落ち着いたのか

「あっ…すいません お礼 遅れました…わざわざ 病院まで ついて来ていただきありがとうございました」

「そんな事 気にしなくていいから 今は無事に産まれる事を」

母ちゃんが微笑んで言った


「母ちゃん!何が産まれるんだ?」

「赤ちゃんだよ」

「えっ!赤ちゃんって腹から出てくるのか?」

「そうだよ 小太郎も母ちゃんのお腹から産まれて来たんだよ」

(粘土で作るんだと思ってた…)


「僕 名前は?」

「俺は 小太郎!七歳だ!」

「そうか 小太郎くんか 今日はごめんな せっかくのお正月なのに」

「そんな事ないぞ!赤ちゃんが産まれんだろ!お正月よりめでたいぞ!」

たまにいい事を言う 小太郎

「おじちゃん産まれたら 俺にも赤ちゃんみせてね!」

「もちろん!ただ…俺まだ 二十七なんだけど…」

夕方になっても赤ちゃんは生まれない

「小太郎 そろそろ帰りますよ」

「まだなの?赤ちゃん」

「そんな簡単には産まれないのよ」

「俺…赤ちゃんみたいなぁ…」

「そんな事言っても…」

「もし良かったら 後で 自分が送り届けますんで…」

「でも…産まれたら その後奥さんについていてやらないと…」

「小太郎くん 赤ちゃんみたいよな!」

「うん!俺みたい!」

「自分も いつ産まれるかわからないのを 一人で待つよりは…」

「……そうですか?じゃあ ちょっとだけ小太郎をお願いします」

「母ちゃん!話わかる〜!」

「小太郎!お利口さんにしてるんですよ!」

「任せろ!」

「すぐ戻りますんで お願いします」

「わかりました!自分もその方が助かります」

母ちゃんは 一旦家に帰った


「おじちゃん!男の子と女の子 どっちだと思う?」

「おじちゃんて… お兄ちゃん は男の子が欲しいなぁ!」

「男の子か!男の子産まれるといいな!」

「まぁ どっちでも 無事産まれてくれれば…」

「おじちゃん 心配か?」

その おじちゃん から伝わる 何か を小太郎は感じ取っていた

「そりゃ 心配さ でも その何倍も あいつ は…」


その時

「オギャ〜!…」

分娩室から か細いながらも 力いっぱい この世に “生を受けたぞ〜!” と主張する声が


「おじちゃん!」

「産まれた…小太郎くん 産まれたんだ!」

「やったなおじちゃん!」

「やったぁ!小太郎くんやったぞ!」

大喜びする小太郎と おじちゃん

「旦那さんですか?元気な 男の子 ですよ」

「おじちゃん! やったな!男の子だぞ!おじちゃん…」

「……ん?おぉ 男の子だ…やったな…」

「おじちゃん…恥ずかしい事じゃないんだぞ!その 時 なんだ!いっぱい泣け!」

おじちゃんが 泣いていた


「よく頑張った!本当によくやった!」

「あの子のおかげですよ あの親子が居なかったらどうなってたか…」

「小太郎くん おいで」

「俺…入ってもいいのか?」

「もちろん 小太郎ちゃんは私と この子 の命の恩人なんだから」

「俺が 命の恩人?」

「そう!小太郎くんが居なかったらどうなっていたか…」

そこへ 母ちゃんが荷物を抱えて戻って来た


「あら 産まれたのね」

「おかげ様で 男の子です!」

「おめでとうございます 良かったですね」

「ありがとうございます!いろいろお世話をなりました ほら!小太郎ちゃん おいで!」

「小太郎!赤ちゃん見せてもらいな」

「うん!」

小太郎が赤ちゃんに近づく


「急だったから何の用意もしてなかったでしょ?これ 私が 小太郎を産む時に使ったお古で悪いんだけど…良かったら使ってください 後 これは 旦那さん お昼も食べてないんじゃないかと思って」

母ちゃん特製特大おにぎりだった

「何から何まですいません…」


「母ちゃん…」

小太郎を見ると 赤ちゃんが 小太郎の指を握ってる

「母ちゃん…可愛いな…」

「可愛いね」

「小太郎ちゃんが守ってくれた 命 なんだよ

この子 小太郎ちゃんに ありがとう って言ってるのかもしれないね」

「俺が 守った 命?」

「そう!小太郎ちゃんと小太郎ちゃんのお母さんが居なかったら…小太郎ちゃん ありがとね」


その日の夜

『もしもし 太郎ちゃん 明けましておめでとう!』

「晶ちゃん おめでとう!」

『今日 初詣行って来たよ〜!』

「俺も母ちゃんと行って来たぞ!そして 命守って来たんだ!」

『何それ?』

「赤ちゃん 産まれたの!」

『太郎ちゃんの兄弟?』

「違うよ!おじちゃんの赤ちゃん!男の子だ!」

『?』

晶ちゃんには 正月早々 謎が沢山残ったのだった…






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