失う覚悟で終幕へと
私達はドラグルートの森の出口付近で止まる
アリシアさんは‥‥お母さんは震えていた
「…本当に、此処から出れるの?」
「はい、信じて下さい、お母さん」
「……そうね、娘になる子を信じないと
妹を失う覚悟で行くんだから‥私なら出来る!」
「俺も居るから大丈夫」
「ありがとうコ‥じゃないハク
本当に似てるのね、"魔"の"術"は凄いわ」
「私やサルビアやアヤメが元に居た世界では
[魔の術]や[魔の技]の事は
よく[魔法]と呼んでたんですよ?」
「……ま、ほう?言いやすくて良いわね」
「はい、良ければ今後は[魔の術]とかは
魔法って呼びましょう」
「そうね、言いやすいし分かりやすいわ
‥本当に"転生者"なのね」
「……はい、ごめんなさい」
「どうして謝るんだリコリス
どんな君でも俺の娘には変わらないんだ」
「‥あなたを父と認めた訳じゃないですけど
まぁ‥ありがとう」
「ふふっ、素直じゃないのね
アイシャも同じだから良く似てるわね‥
‥覚悟はしてるわ‥アイシャの事を
でもね‥私は、戻って良いのかしら?」
「大丈夫です‥ずっと騙してたのは罪です
それに貴女の方が、ずっと国を大切にしてくれます
行きましょう、共に」
そう言って私はアリシアさんの手を握りながら
共に結界のされているドラグルートの森から出た
「……本当に行けた‥夢じゃないわよね?
良かった‥少し複雑だけど‥そうね
全て騙しても私は取り戻さないといけない
国の平和をオリーブの花の意味を
私は、ずっと守りたかった」
「……アリシアさん」
「花言葉って大事でしょ‥
ずっと守りたかったの、その意味も含めて
まさか妹が隣国を潰すとは思わなかったけれど‥
オリーブは国花として有名なの
もちろん、もう一つの国花のシロツメクサもね
スピルートの国花は‥確か‥」
「スピルートは勿忘草
国の皆が仲間であり家族と考えていたからな
意味は[真実の愛]と[私を忘れないで]
あと[思い出]だね」
「ええ、オリーブの花言葉の意味は
[平和]と[知恵]だった
私はオリーブの花言葉を守れてないわ
‥もう1つの国花の花言葉もね」
「シロツメクサは確か‥
[幸運]と[私を思って]だったかしら?」
「凄いねサルビア、覚えてるんだ」
「当たり前でしょ
あと、シロツメクサには
もう2つ意味があるのよ」
「……ええ、[約束]と[復讐]
ずっとドラグルートで居ようと
シロツメクサの花を見ながら思って願った
ドラグルートに居るから‥妹の不幸と
妹に対する復讐心を持たせて欲しいってね」
「……直接、行くのは嫌ですか?」
「いいえ、違うの
別の形で叶ってしまったから幸せなのよ
本当に良いのか、不安になるの
…ハクに背中を押されて
彼を悪役にしてしまうのは辛いけど
私は自分の立場を取り返したいもの」
「……そうですか」
「……ずっと森からドラグルートから
出れないんだと思ってたわ
こうして、出て、また国が見れたのは皆の、お陰ね
凄い嬉しいの、ありがとう皆さん」
「お礼は全て終わってからでいいですよ
ね?みんな?」
「はい、私はアリシア様も
リコリス様も救いたくて来ただけですから」
「そうそう、まだ終わってないもの
ね?アンシャンテ」
「ああ、礼なら終わってからで構わない
それに守るべき人を守るのは
騎士として当たり前だからな」
「‥母さんも彼女も救えるなら
俺は、それで十分だ」
「そうだね、私も2人を救えるなら
協力を惜しまないさ」
「ありがとう、アヤメ、フリージアも」
皆で色々と話しながら
長い長い道を戻っていく
やっと王都の城にと着いたのは
空が黄昏にと染まっていく夕刻であった‥
もう物語は、終わりを告げ始めているのであった‥




