憑姫と私の出会い
ーーアリシア
本来なら、この国の大切な姫
本物の第1王女
亡国となってしまったスピールトと手を取り
魔物を想う国を作るはずだった人
妹を思い自分が犠牲になって
自らが第2王女の名前となり魔物に憑かれた人
優しくて、自分を犠牲にしてしまった人
亡国スピールトとフラルメイリーとの県境にある
魔物の森として呼ばれている誰も近付かないところ
社交界で、討伐の為に
私や私が選んだ人達が訪れる場所
それが此処、[ドラグルート]である
ドラグルートの奥深くには小さな小屋があり
そこにアリシア姫は居る
世間的には魔物に憑かれた憑姫として
アイシャ姫としてドラグルートの奥深くに
存在する小屋で"半魔物"として生きている
実際には魔物の力を抑えながら
半分の時間を人間として過ごしている
元々、魔力が強いアリシアだからこそ出来た事だ
しかし、森には魔物の結界が敷かれていて
半魔物である彼女には住みにくい場所であっても
その結界が、アリシアを苦しめ
外に出られないようになっているのも
そして産んだ子供には
結界が効かないで外に出られいるのも
アリシアにとっては複雑な心境なのだろう
その複雑な心境さえも支えているのは
亡国として消えてしまったスピールトの元王子ハク
本来なら魔物として覚醒してしまった姫に
殺される予定だったという人
これはアイシャ姫の誤差だったのだろう
何故ならアリシア姫は"魔物"となってなかったから
魔物であるという印である"魔印"が
足りなかった影響からか
自我の残っていたアリシア姫の魔力の影響からか
ハクは生きれたしフリージアが誕生できたのだ
自らの魔力が、いつ途絶え
魔物となってしまうのかさえ分からないまま
生きている憑姫のアリシアを私は救いたい
例え、自分を犠牲にしてでも
そう思うのは
いや、そう思ってしまったのは
彼女と出会い、話してしまったからだ
それがゲームにある運命の選択だとは
この時、知らなかったけれど
私は何も知らず選んでいた
彼女と、私を犠牲にしない方法を
運命と言える出会いを




