伝える言葉、告げられた言葉
ハルジオンから呼び出された私達は
放課後に3人で良くティータイムをしている
サロンにとやって来ていた
サロンは食堂とは違い
高い身分を持つ者しか入れないのだけれど
在校中であれば、いつでも使える場所である
小学校時代にはサロンがなかったので
教室を借りていたが今後は、お世話になりそうだ
サロンが使えるのはサルビアとアヤメとハルジオンで
1つの部屋につき最大で6人までなら利用が可能で
多くの貴族達が御用達な場所である
高い身分の人が1人1つ持っているらしく
平民出身でも身分の高い人に誘って貰えれば
サロン部屋の使用が可能である
まぁ現段階で平民である私には
サロンなど無縁であり案内された部屋を見て
凄く興奮して驚いたのだが‥
今回、集まったのはハルジオンの持つサロンである
サロン前でサルビア達と共に
指定された部屋にと入ると
既にハルジオンは来ており
彼女が席に座るように言い席に座ると
サルビアが話し始めた
「‥さて‥と、はじめまして‥よね?
知ってるとは思うけれど
‥あらためて‥私はサルビア、よろしくね」
「はじめまして、美しい方
私はアヤメ、よろしく」
「は、はい、存じております
私はパシリス家のハルジオンと申します
よろしくお願い致します」
「そう怯えないで大丈夫よ
私達も堅苦しいのは苦手なの
彼女に話すように話して欲しいわ」
「えっと、そうですか?
わ、分かりました」
「ゆっくりで良いさ
‥それで‥リコリスや僕らに話したい事って
何か教えてくれるかい?」
「は、はい、‥では‥
貴女達は[輪廻]を信じていますか?」
[輪廻]とは霊魂が,人間,動物
場合によっては植物などが1つ(同じ存在)か
それ以外の存在に次々に生れ変わる事だったはず‥
けど、何故?
「輪廻については‥舞台の上の話では
良く書くから勿論、知っている‥のだけれど」
「…信じてないのですか?」
そう悲しそうな顔で言うハルジオン
いや私達は輪廻を知っているし
信じていない訳ではない
何故なら私達自身が"異世界"から
転生した人間、[輪廻している存在]なのだから
[輪廻]を信じていないかと言えば嘘になる
「…信じていない訳じゃないよ!
良かったら聴かせて欲しいな!
何で、輪廻を信じているかって尋ねるのか
不思議なのよ、サルビアも」
「‥分かりました
私は、何度も、"この世界"を繰り返してます
リコリスさんが、本当は王家の姫君だと言う事も
"繰り返している"から"知って"います」
「‥何故、繰り返しているか‥とか
理由に心あたりはあるのかい?」
「‥いえ、明確な理由は分かりません
‥けれど本物である憑姫の"アリシア様"を救う為に
魔物に憑かれたリコリスさんは必ず死んで‥しまって‥
そして再び何故か"幼少期"まで
繰り返されているのです」
「‥私が死ぬ理由は?分からないの?」
「…はい…私は"繰り返した4度目の世界"で
とある方の力を借りて
リコリスさんと恋仲となれました
勿論、リコリスさんが死なないように
信頼を築き、支えていたのですけれど
けれど、魔物になったアリシア様と出会い
自らの中に魔物を取り込んだ後に
多くの方々を狂ったように殺して‥
最後は自殺されました‥私の目の前で」
「…ハルジオン」
「私は、もう見たくないのです
大好きだった人が目の前で何度も死ぬのを
自殺や他殺で‥貴女を‥リコリスさんを
失うのが怖くて、もうすぐ、もうすぐで
貴女は王家と分かる前に知らせたくて」
ポロポロと泣く彼女は苦しそうな顔をしながらも
私達に、衝撃な告白をする
「…貴女は今のリコリスさんは
今までと少し違いました
だから‥もしかしたら
貴女も私と同じように[輪廻]していて
記憶があるから‥変わったのかと思って‥」
「…話は分かったけれど
何故、私やアヤメまで呼んだの?」
「‥貴女達も私が"繰り返して知る貴女達"とは
少し違う気がしたのです‥ただの私の感ですが‥
だからこそ、確認したくて呼んで聴いたのです
今までの貴女達なら私の知る貴女達なら
きっと輪廻は"知らない"と答えたと思います
何故なら私でも今も
信じて貰えるか不安だったのですから」
「……そうね、私も不安だったわ
けれど貴女が衝撃な告白をしてくれた‥
‥そのお陰で私も貴女に言えるわ
摩訶不思議な事でも[輪廻]に悩んでた貴女なら
正直に受け止めて貰える気がする
だから言うわ、私達は"異世界から来た魂"の
記憶を持つ[転生者]という存在だと言う事を」
「……転生者‥確か別の世界の魂を持っている人
‥そう、ですか、納得しました
だから舞台の物語が、今まで貴女が
演じていた中で、面白かったし
今までと"違った"んですね」
「信じたの?」
「‥信じられませんが
繰り返している私が存在しているのですから
あり得ない話ではないのかと
‥そっか、リコリスさんも‥ですよね」
「えっと、ごめんね
今までの私と少し違って」
「いいえ、リコリスさんは
今までと少し違うなとは思いましたが
それは私が何度も貴女を好きで見ていたからで
今までと同じぐらいに私は大好きです」
「‥そ、そう‥なの?」
「はい、もちろんです
‥けれど、私では[以前の貴女]を
幸せに出来なくて死なせてしまった
その償いと、協力して貰った人にも
恩返しの為にも、私はリコリスさんを
友人として好きで再び
恋仲になりたいとは思わないのです」
「‥そうなのかい?」
「ええ、私は十分な程に
4度目の世界で幸せを頂きましたから」
「さっきから出てくる協力して貰った人は
教えて貰えないのかしら?」
「すいません、その人の約束で
今は私からは話す事は出来ません
私、現段階ではリコリスさんに話すのは
その方の事も考えると
賢明ではないと思っておりますから‥」
「その人には私達の事情を伝えるの?」
「いいえ、私が知りたくて
貴女にと‥確かめたかった‥それだけなんです
ずっと繰り返して死ぬリコリスさんが
今までと何故、違うかったのかを
そしてリコリスさんの周りに居る貴女達が
何故、今までと"違う"のかを‥」
「あの‥1つ確認なのだけど
ハルジオンに協力した人は輪廻してるんだよね?」
「ええ、勿論です
その方も何度も"この世界"を輪廻しております」
「…その人は今後も
私が好きで来てくれるんだよね?」
「ええ、私は約束があって
その人に協力するつもりです
けれど本当の私の望みは
リコリスさんが生きてくれる事です
幸せを感じて笑って生きるリコリスさんを
王家の姫君で大切なリコリスさんを支える
宰相として生きられたらと思ってます」
うっすらと涙腺を残しながらも
‥しっかりと顔を上げて
少しだけ涙を残しながらも
笑みを浮かべて笑う美しい少女は
とても逞しくて
とても綺麗で
私は、絶対に幸せになって
死ぬ事なく生きて
彼女に"幸せ"になって貰えるように
頑張ろうと思うのだった‥‥‥‥‥‥‥




