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メモ(おとちが)  作者: riyo
リコリスと花 編
33/204

俺の望んだ相手 -side アンシャンテ-

季節ネタ-バレンタインの話-

彼女に出逢ってたのは偶然だったのか

必然だったのか、今となっては分からない


最初に俺を恐れずに近付いて来たのが"彼女"だった

ーーそれだけなのだから


"氷の王子様(プリンス)"なんて噂される俺は

見た目から誰も近付いて来ない


人付き合いも苦手だし、会話も上手くないのだから

誤解されやすいのだと思う


だからこそ皆から呼ばれる"氷のプリンス"に怯えず

最初に優しく接してくれた"彼女"には感謝していた


本当は他の奴らみたいに

仲良くなりたいのだけれど不器用な自分に

怯えもせず、ただ見守りながらも支えてくれる人に

"好意"を持たない程、俺は馬鹿じゃない


だからこそ

2月14日という日に

彼女から貰った"チョコレート"は

俺にとっては特別な物だった


もちろん見た目から

俺に近付いて好意を持って渡す"強者"も居るが

フラワーメイリーでは男性から女性にと

送るのが一般的だった


けれど彼女から貰った時には少しだけ驚いた


しかし彼女にだけ、特別に用意した物を

お返しにと渡せるのだから

準備した甲斐はあったのだろう‥


「‥用意していたのか

まさか君に先に渡されるとは思わなかった

だが‥これは俺から君に」


「あ、ありがとう‥渡すのは良いけど

貰うのは恥ずかしいものね

開けても良いのかしら?」


「ああ、構わない」


「じゃ‥遠慮なく

‥‥‥これって‥チョコレートと

色付きのペンと万年筆‥何で?」


「‥君は舞台の脚本を

書いたり演じたりすると言ってたからな

あれば困らないと思って‥だな」


「ふふっ、ありがとう

大切に使うわ!

まさか他の人にも、こんな事を?」


「……いや、君だけだ

色んな人から貰うし御礼も勿論とするが

君のだけは‥その‥特別だ」


「‥‥‥‥‥‥‥///」


「サルビア?どうした?」


側に居た彼女(サルビア)を見れば

顔を真っ赤にして照れているようだった


「……もう……顔が近い!

恥ずかしいわ///‥でも嬉しい‥ありがとう」


「‥これからも

君のチョコレートは俺にくれないか?

勿論、君さえ良ければ‥なんだが」


「当たり前でしょ?

まだまだ貴方の言う

"理想の貴方"では無いはずよ!」


「‥そうだな」


「なら、私は来年も貴方が納得しない限り

理想の貴方に出来るように"演技"を

教えてあげる、そう約束したでしょ!

だから私は貴方に来年も

チョコレートをあげるわよ!」


ーーそうだった


俺が"理想"とする"俺"は


皆からも恐れられるぐらいに

強く気高い"人"となる事だ


演技が上手い彼女なら俺の理想を

側で支えて磨いてくれると


そう言ってくれたのは‥いつだったのだろう


しばらくは彼女が側に居るならば構わない


俺が理想の自分になるまで


きっと理想の自分になったと思っても


俺は彼女を離したりしない


必ず、彼女を振り向かせるという決意を持って


俺は彼女からのチョコレートを

口に入れるのだった‥

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