彼女 -side ????-
ーー繰り返されている
そう気付いたのは最初の"彼女"が
"魔"となって亡くなった後の事だ
僕は"彼女"が好き彼女に選ばれて
悲惨な事態が起こって共に死んだ筈なのに‥
何故、僕は自分の部屋に居るのか?と
不思議で学校に通えば
幼い"彼女"が笑って生きていて
最初は夢なのか?とか疑ってしまうぐらいに
信じられなかったのを今でも覚えている
それも何回も何回も
自分が死ななくても彼女が亡くなった後に
必ず繰り返されてしまう"世界"に
少しだけ希望と絶望感を感じたのだ
何故、繰り返されされてしまうのだろうか、と
彼女は繰り返していく中で
必ず、あのパーティーで選んだ人物と
恋人になって幸せと感じながら
"魔物"を受け入れたはずなのに
なのに何故、彼女は死ぬのだろうか?
自分を選ばずに他の人を好きになって
死ぬ彼女を見るぐらいなら
いっそ、僕を選んでくれたらって思った
それは繰り返されて何度目かの事だ
ほら、また幼い彼女と同じクラスで
関わらないまま何も変わらない"彼女"を見る
次の年では彼女はクロユリと同じクラスになる
そしてクロユリを救うのは
決まっている運命でクロユリの初恋が此処なのを
1番、知っているのは"僕"なのだ
でも今までと少し違う展開になった
クロユリを助けたが
彼女を少し避けている"彼女"は珍しい
何度も繰り返し同じ場面を聴いているが
彼女は必ずクロユリと仲良くなり
良く共に居て僕と仲良く三人で過ごすのに
今回の"彼女"は
クロユリと仲良くするが虐めていた人達も
同席させたりと変わっていた
それに興味を示したから
僕は観察してみれば今までの"彼女"のようで
少し違う"彼女"だった
似ているところは似てるけど
少しだけ違う彼女に近づいて話しかけてみれば
反応も違っていて、最初の初恋よりも
もっともっと彼女が好きになった
中学に上がり僕と同じ学校にと通う彼女は
パーティーで交流するメンバーと知り合うも
今までと違う対応をしていて面白いとも感じた
そうやって彼女を見ていれば
今まで繰り返してた中で"彼女"の側に良くいた
"アイツ"が居ない事に気がついた
そういえば何度か繰り返した世界で
アイツだけは彼女の側にずっと居たのに
今回は側に居ないのが気になって行ってみた
アイツは僕に会うなり
「‥また覚えているんですね」 という
そうだ、コイツも
何度も繰り返している世界を"知っている"んだ
何度目かの世界で彼女は僕に近づいて
僕に協力させて"彼女"と付き合いながらも
"彼女"を殺した憎むべき相手でもある
「‥キミ、まだ諦めてないの?
彼女を殺したくせに‥」
「……私は"殺してない"です
貴方には信じて貰えないかもしれませんけれど‥
‥あれは自殺だった
彼女は"魔"を受け入れる事を躊躇ってたから
‥私を守る為に死んでいく人なのは
貴方も知ってるでしょう?」
「……言い訳かよ
以前の世界での約束、ちゃんと覚えてるよね?」
「‥分かってます
今回の彼女は今までと違うから
少し混乱してて、まだ行けてません
でも私は貴方と"約束"しましたから
キチンと約束は守ります
後は貴方の努力次第‥ですからね」
「‥僕は絶対に彼女を死なせない」
「‥私も、そう考えてました
でも私には出来なかった
彼女を信じさせる事が出来なくて
‥死なせてしまった
お願いします"彼女"を」
「言われなくても分かってる」
僕もコイツも何度も何度も
繰り返して"彼女"の"死"を見ている
コイツは彼女の側に居た事もあり
彼女の"死"を1番、近くで見ているのだ
だから今回こそは
今までと違う"彼女"を‥助けなくてはいけない
そして彼女を僕が選んでくれるならば
僕は必ず彼女を死なせない
もう2度と
クロユリやコイツを泣かせたくないから
だから、ピエロだと言われてもいい
読めない男だと思われてもいいから
僕を
僕を選んでくれ
ーーリコリス




