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部屋から出れずに二年の時を


 だれにも僕の気持ちはわからない。

 怖くて、怖くて、怖くて、怖くて怖くて怖くて怖くて、何もかもが怖くて堪らない、そんな気持ちだ。

 変わることを求めても、変わる道などありはしない。

 辛く厳しいこの気持ち。


 重労働を強いられることよりも、よっぽど辛いことが、どうしてわからないのだろうか。

 仕事をすることよりも、ずっとずっと辛いのだということが、どうしてわからないのだろうか。


 外へと出て行けるなら、その勇気があったなら、僕だってそうしたいに決まっている。

 そう、できることなら……。


 できないんだ。無理なんだよ。

 僕には、無理なんだ。

 僕にはできないんだ。僕には無理なんだよ。

 何度も繰り返されて、頭の中で僕を責める。



 ”お前には、何もできない。お前はだれにも必要とされていない”なんて言葉たち。



 わかっている。そのとおりだ。間違えない。

 だけれども、だからこそ、尚更……僕はどうしようもなかったんだ。

 自分の殻に閉じ籠もって、だれにも傷付けられることがないように、無敵の城砦を築き上げることとなってしまったんだ。

 望んでのことでは、ないんだ。


「惨めだ」

「わかっている」

「情けない」

「わかっている」

「お前はだれにも必要とされていない」

「わかっている」


 あぁ、わかっている。わかっている。わかっているんだ。

 病む。闇の中病んでいく。

 闇に浮かぶ病みは、僕の心を蝕んでいく。


 馬鹿みたいだ。

 こんなことをしたところで、自分の心を守れるはずがないし、孤独が傷付かない唯一の方法だなんて、本気で信じているはずがない。

 そうではないことも、わかっているんだ。


 全部、全部、わかっているんだよ。

 お前らに言われなくたって、僕はわかっているんだ!

 わかっていて、でも、できないんだよ。

 怖くて、怖くて堪らないことを、どうしてだれもわかってくれないんだ。


 僕は理解している。僕は理解を求められている。

 僕は理解されない。僕は理解を求めてはいけない。


 なぜ、どうして。

 多数決の勝者は、そうも偉い存在なのか。

 なぜ、どうして。

 必ずしも多数派が良識派とピッタリ重なり合っているはずがないのに。

 なぜ、どうして。

 少数派はこうも突き放されなくてはならないのか。


 冷たい世間から追い出されて、厚い壁を築いて籠もって、ここが僕の居城だと、ここから動くことはないのだと、籠城戦を決め込んだ。

 こんな脆い壁で籠城ができるだなんて、稲作が始まったばかりの大昔、そうだ、弥生時代くらいのものでなければならないだろうな。

 人の力でそう開くものでもないが、武器でも使えば一発だ。


 本を手に取り、外の世界を断絶して、僕はタイムスリップをした。

 僕の城が城として機能してくれるはずの、弥生時代その場所へ。



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