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勇者と魔王を両成敗!  作者: かたかなきんぐ
2/2

1、どうやら僕は不死身になったようです。

皆さん、おはようございます!

「────て、……きて! 起きてよぉ! リュウオウ!」


ゴンッ!

竜王の頭に衝撃がはしる。


「いったぁ! な、なんだ!? 」


竜王は、飛び起きる。


竜王の目の前に映るのは黒い帽子に黒いワンピース黒いパンプスを着ている僕と同い年くらいの少女だ。

そしてここは、忘れるはずもない。俺が焼かれた場所で仲間が殺され、全てを失った場所だ。


「おはよぉ! いい朝だね? 」


生憎、空は曇天もよう。


「曇ってるじゃねーか! 」


「あはっ、ツッコミ冴えてるね! これなら、無事成功なのかな? どうでした? 初めての死の味は? 」


少女の言葉に竜王は不快な気分がした。


「あ、そういえば、俺。死んだよな? なんで生きてんだ? っておまえ! グリコーゲンとかいう奴か!? あの時、見捨てやがって!!」


竜王は、激怒して掴みかかる。

この、少女に怒りをぶつけるのはお門違いであるのは、間違いだと分かっている。が、簡単に割り切れるものでもないのだ。


「ちょ、ちょっと、名前違うし! 私はグローリア! 間違えないで、それから服が伸びちゃうから引っ張んないでよ! アヌーロ・フォルス!!」


1m程の黒い球体が現れ、竜王の体に当たった。


「ぐぅあぁぁぁぁぁぁぁあっ! は、はぁ、何が……」


竜王の身体に球体が当たった部分が消え去った。竜王はそのまま倒れ込んでしまう。


「ぐ、おまえ! ぐはっ! か、身体を……し、死ぬじゃねぇーか! 」


「うるさいなぁー、ぷんぷんっ! 頭冷えたかな? よく見てー、身体生えてきてるよ? 」


そう、竜王のからだの消えた部分が、ジュクジュクと修復され始めた。


「うげぇ、気持ちわりぃ」


「それ、私からのプレゼントだよ? あなたの能力、不死の身体(デットオアパラダイス)だよん! 」


「どう足掻いても、その文字合わせおかしいよな!? 不死の身体でなんでデットオアパラダイスなんだよ!? 」


「うーん? 何となく?」


「最悪だ……」


「まぁ、ともかく! リュウオウ! 長いから、リュウね! あなたはめでたく! 私の眷属になったのです! 」


「はぁ……そっか、魔王の眷属になったのか」


竜王は、何も感じなかった……。

数分前は、グローリアに掴みかかって激昂していたのに。今は、とても落ち着いている。まるで、賢者タイムのように。


「お! 今、賢者タイムに入ってるね! 1度、逝くと入るんだよねぇ〜」


「って、そのまんまなのかよ! 逝くとか言うな! なんで、俺の故郷のネタ知ってんだよ!? 」


竜王は完全にグローリアのペースにのまれていた。


「むっふっふ〜、なんでかって? 私も転生者だからだよん! 」


「えぇぇぇぇぇッ!? まじでか!? 」


「その反応、やっぱりそうみたいね。私はね、だから、あなたを助けようと思ったの。ふふっ、驚いた? 」


グローリアはその場でくるりと回って、ウインクをリュウオウに飛ばす。


「う……(可愛い)」


そう、可愛いのだグローリアは。


「あはっ、今可愛いとか思ったでしょ? 筒抜けだよん? だって、眷属なんだからね! 」


「お、俺のプライバシー返しやがれ! 」


ぐぅー。


竜王の腹が鳴る。


「「あっ」」


二人揃って声を上げる。

竜王はたちまち顔が茹で上がるのを感じた。


「ぷっ、あっはっは! そうだね! ご飯食べに行こうよ !」


グローリアは、何かを小さな声で呟くと宙に浮かび始めた。


「すげぇ。さっきの魔法もやばかったけど、お前凄いやつなんだな? 」


「まぁ、魔王ですからぁ〜」


「俺もできんのかな? 」


「呪文は『ママごめんなさい』ですよ? 」


「ぜってー違うだろ。おい」


「やってもないのに、決めつけは良くないよん」


確かにその通りだ、と竜王は思った。


「『ママごめんなさい』……」


長い沈黙


「おい! やっぱり嘘じゃねーか! 」


「はい、そうですよ? 」


「こんのやろう! 」


「残念、乙女です! 」


「うるせーっ! 」


そんなくだらない事で争っている2人に脅威が迫っていることに気づきは出来なかった。


「いい獲物だ……女は、飛行魔法を使える。男はただのモブだなァ」


赤のフードを被った者が木の影から2人を見ている。ニタァっと笑い、ピューと口笛を吹く。

流石に、この音には気づく……気づきませんでした。

この口笛は仲間への合図であったらしく、無数のフードを被った連中に二人は囲まれてしまった。


「ふえぇぇ? 」


「え? なになに? 知り合い? 」


グローリアは頭を横に振る。


「そんな訳ないよ。だって、私はずっとひt」「まぁ、いいや! とりあえず、飯持ってない? 」


竜王は、グローリアの言葉を切りつつ、赤フードに聞いた。


「おいおい、見せつけてくれるじゃねぇーカヨォ? てめぇら、状況が分かってんのカァ? 」


赤フードは、イライラした様子で質問を無視して答える。

周りの取り巻きも、イライラしているようだった。


「おいおい、早くやっちまおうぜ? 」

「あの女、可愛いなぁ……」

「ふへへへへ」


取り巻きたちが次々に、口を開いた。

そして、赤フードは


「よし、おめーらやっちまうか! やれ! 」


「「「ヒャッハー! 」」」


まさに世紀末


「うわっ、どうするよ? 」


「リュウ。貴方に任せるわ。 私に仕えるものなら、これくらい倒せないとね? 」


「はいはい。って、この数を相手にって! 無理だろ! 」


「上から見てるからね! 頑張って! 」


「マジか……」


そうしている間にも、取り巻き共が竜王に迫る。


右手には、ウッドアクスという木の斧を装備して竜王に殴りかかった。

竜王は、避けなかった。そのまま、真正面から頭で受けた。


竜王は声もあげずに倒れる。


「なんだァコイツ。 何も出来ないで死にやがったぜェ? 」


ゲタゲタと笑いながら取り巻きの1人が、竜王の頭を踏む。


「おい、女ァ? 良いのか、ダーリンが死んじまったぜぇ? オラオラ」


「誰が死んだって? 」


竜王は、自分の踏んでいる足を握りつぶした。


「ンギャァァァァァァッ!? 」


「そんぐらいで痛がんじゃねーよ。 俺はもっと痛かったわ! 」


赤フードと取り巻きには動揺が走った。


「さっき、死んだんじゃ? 」

「おい、どうすんだよ? 」


「オメェーらビビるなッ! サッサと殺せェェッ! 」


赤フードは、ビビる取り巻きに叫んだ。


「「「ウオオォッ! シネェ! 」」」


竜王は至って落ち着いている。

そう、賢者タイムだ。


「ふっ!」


竜王の目には、ウッドアクスの描く軌跡がハッキリと見えていた。最小限の動きで、全てを躱し切る。

そして、回し蹴りを繰り出した。


「ぐはッ。 こ、コノヤロウッ」


取り巻き共は、竜王の回し蹴りで数メートル吹き飛ばされた。


「――――我、ここに裁きの道を示す。グラビティ・ノイズ」


取り巻き共の周りには、高速で重力が変わる空間が張られる。

高速で、重力が変わるとどうなるか。


A、酔うんじゃね?


「うぎゃァっ! イデェーヨ! ダジでグレぇ! ゴゴガラ! う、ウでギャう……。ウグ……」


加減がなくて酔うこともなく、取り巻きは潰れてしまった。


「あっ! 死んじまった。おい、そこの赤フード。 テメェら、結局何しに来たんだよ? 」


竜王は、赤フードに近づく。

赤フードは、カタカタと震えながら、バケモノを見る目で竜王を見ていた。


「な、何なんだ!? お前は! 」


「え? 俺は、須王竜王だけど。所でさ、飯持ってない? 」


(コイツ、騙せるんじゃねぇーか?)

赤フードはこんなことを考えながら、


「は、はいございます。 こちらに……」

赤フードは、片手に砂を握りしめて竜王が手を差し出した瞬間、砂を投げ、持っていたウッドアクスで頭を殴った。

しかし、


ミシッ……ゴトンッ!


ウッドアクスは音を立てて折れた。


「な、う、嘘だろ……」


赤フードは絶句して、気絶してしまった。


それを見て、竜王は


「なんだよ。大したことねぇな。じゃあな、おやすみ」


竜王は、近くの石を持ち赤フードの頭を砕き割った。


「この力、凄いな」


赤フードをあわせ、30名近くはいた敵を1人で倒してしまった自分の力に驚いていた。


その様子を空から、グローリアは目を丸くして見ていたのであった。

最後までお読みいただきありがとうございます!

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