1-4 漫画のキャラって何であんな簡単に転校できるの?
「で、腕突っ込んだのはいいんだけどこっから何すればいいの?」
「ほんとに燃えないんですね~。あと10秒くらいしたら腕引っこ抜いてください」
おいおいちょっと待て、「ほんとに燃えないんですね~」ってなんだよ!お前俺が燃えてたらどうするつもりだったんだよ。人をモルモットみたいに扱うのやめてね。
よく見るとこの球あるアニメの螺●丸に見えてくるんだけど。
「もうそろそろ大丈夫ですよ~」
天使様からのお声もかかったのでそろそろ引っこ抜くとしますか。
「よいしょっと。っておい!なんだこれは!」
腕が完全に青い球から引っこ抜かれた時、体の周りを様々な色の光が覆った。赤・青・緑・紫・黄・白・黒 俺に数え間違いがなければ全七色だ。まもなくして、その光はすべて俺の体に吸収された。
「光が体内に入っていったけど大丈夫なのかこれ?てかなんでお前はそんな顔してんの?」
「まさか、ほんとに実在するなんて...でもあれは......」
「ちょっとー、俺の話聞いてるー?」
「は、はい!何でしょうか!」
「やっぱ聞いてなかったんだね。まぁいいや、俺ってもう力会得してんの?」
「いえ、まだ会得したわけではありません。力は今あなたの中であなたに最も適した形状に変化しています。」
え?まだなの?俺ってどんな力を会得するんだろうって結構楽しみにしてたのに...ってそんなことはどうでもいい。俺に最も適した形状ってやばいだろ。高二病で意地汚くて自己中な俺に適しちゃったらめっちゃやる気のない武器できちゃうよ。発砲できない銃とか起爆しない爆弾とか錆びまくってる剣とか...なにそれ使い勝手悪すぎでしょ...
「もう空も暗くなってきましたし帰りましょうか」
「それもそうだな、そうしよう」
「それでは、また明日です!」
「おう。また明日な」
ん?また明日ってどういうことだ?自然な流れだったからまた明日って返しちゃったけどよく考えたらおかしいよな。もしかして僕のことストーキングするつもりですかね。もしそうだったらマジで遠慮してくださいお願いします1000円くらいなら捧げるんで
「で、今ものすごく嫌な予感がするんだが」
「いきなりどうしたんだよ覚」
「ちょっと昨日いろいろあってな。さっき先生が言ってた転校生の件だが、俺の予想が当たっていれば俺にとって最悪の事態になる」
「お前なんかの予想が当たるわけないだろ?まぁお前の予想は置いといて、現上高校の禁断の占い師といわれたこの筒山海斗様の予想はだな」
なに現上高校の禁断の占い師って、初めて聞いたぞ。そもそも禁断の占い師ってなんだよ意味わかんねーよ。もしかしてそれってただ的中率が0%の占い師のことじゃないのか?たぶんお前馬鹿にされてるぞー
「水色髪の巨乳美少女が転校してくる!」
「うん、君は現上高校の禁断の占い師だ。たぶんそれであってるぞ」
「マジで!?俺の青春キターーー!」
僕の予想は当たらないんじゃなかったんですか海斗さん?何で俺の言ったことすぐ信じてるんですかね...
「おーいお前ら席につけー」
「やべっ先生来た、それじゃあまた後でな覚」
「今日はこのクラスに転校生が来る。さぁ、入ってきなさい。」
俺は知っている。こういう場合はどういう手続きをしたのかは知らんが絶対あいつが来る。昨日サフィ・ラルエンテと名乗っていたあの天使が。しかも俺の席は一番後ろの窓際で、なぜかは知らんが右隣の席が空いている。ここまでおぜん立てされてるんだ、むしろあいつじゃないほうがおかしい。いやあいつじゃなくても全然おかしくないか。
やはり俺の予想通りというべきか。水色の長髪をゴムで一つにまとめ、ラノベとかでよくある色気全開のニーソを装備して恥ずかしそうに黒板に名前を書いている彼女は
「サフィ・ラルエンテです。このクラスにいる夢島覚君の将来の妻です。皆さんよろしくお願いします!」
うんうん分かってたよ、君が来ることはわかっていた。だから何があっても驚かないぞ。ていうかあいつ夢島覚ってやつの将来の嫁なのか、覚君苦労するだろうな~。ご愁傷さまです。
そんなことを考えながら合掌していると一つ疑問に思ったことがある。夢島なんて名字のやつはこの学校に一人しかいない。ということは彼女の将来の夫さんは必然的にそいつになるわけだ...ちょっ、何で皆こっち見てんの?そういや俺の名前って...
「夢島覚って俺のことじゃねーか!!!」
「はい!不束者ですがよろしくお願いしますね!さ・と・り」
せめてもうちょいましな設定なかったのかよ...もしかしてこれ、もう詰んでる?