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オーシオ空襲

ビスケッティア平原。そこではクッキーを排除しようとするもの、

クッキー以外の菓子を排除しようとするものが争っていた。


「おい、ティン!聞こえるか?!返事をしろ!」

無線から聞こえる怒鳴り声。

しかし、戦場の銃撃音と爆発音によって掻き消されてしまった。

砲撃の音がひっきりなしに聞こえる。弾のクッキーが割れる音がする。

クッキーともいえど威力は凄まじい。

戦闘の苛烈さは増し、南部センベーズは撤退を余儀なくさせられた。



南部センベーズの本拠地はオシオユ山岳地帯のオーシオ山である。

古くから火山活動が活発だったこの地帯は非常に高い山がそびえている。

ここに帰るのは何ヶ月ぶりだろうか。

「ティン!!大丈夫?!怪我はしてない?!」

馴染みのルキアが駆け寄ってきた。

怪我は幸い頭の擦り傷だけで済んでいたが、他は酷いものだった。

クッキーの破片で失明した者、クッキーが腕に当たって骨折した者…

相手もそういう者たちで溢れていることだろう。

「擦り傷だけだから大丈夫だ。」

「そう、良かった…。」

先のビスケッティア要塞攻略作戦は失敗し、こちらに多くの損害が出た。

長らく戦闘にはいかないだろう。

「当分戦闘はないだろうから、安心しろよ。」

「うん…」

俺は地熱で焼いた煎餅を食べに行くことにした。ここの名産品なのだ。

さらに、岩塩もあるし海も近いため醤油味のみならず塩味の煎餅も食べられるのだ。

「うん、やっぱり頂上で食べる煎餅は美味いな。」

俺の趣味は標高9023mのオーシオ山の頂上で煎餅を食べることである。

島にあるクッキーズの本拠地からビスケッティア帝国の城から何まで、

丸見えなのだ。

風は強いがそれが逆に気持ちいい…。

そうしていると、ビスケッティア帝国の飛行場の方から飛行機が来るのが見えた。

爆撃機であった。

俺は急いで降り、イワテ長老に伝えた。

警告のサイレンが鳴り、対空砲が動き始めた。女子供は山の中に退避し、

そこら一帯は臨戦態勢となった。

空襲が始まった。落としているのはビスケットだった。

しかし、それはかなりの速度で落ちてきているため、頭にぶつかったら致命傷である。

対空砲が弾を撃つ。しかし、ビスケットに当たってしまいビスケットは砕けて更に脅威を増した。

破壊力は凄まじい。地面が抉れている。それが何千何万と降り注ぐ。

対空砲の装甲は割れ、中にいる者にダメージを与え始めた。

ビスケットの雨嵐である。

30分後、空爆は止んだ。しかし、真の脅威はビスケットではなかった。

表層がやられてグズグズになった地面である。

この山岳地帯は雨が多く降るため、そのうち雨が降ってくるであろう。

そう、土砂崩れが起こるのである。

動ける者は直ちにけが人を手当てし、女子供を土砂崩れに巻き込まれない場所に誘導した。

ティンは怪我人の救護に当たった。

「おい!大丈夫か?!」

「よう…ティン…俺はもうダメだ…」

「諦めんじゃねぇ!生きろ!!」

「後…は任せ…た…ぞ」

「おい!目ぇ覚ませよ!!おい!!」

今、ティンの戦友が死んだ。

ビスケッティア帝国によってである。


このオーシオ空襲によって5人もの戦友をティンは失った。


ティンは、ビスケッティア帝国に強い恨みを持つこととなった。


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