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一陣の風は危機を退ける

短めです。

「そのまま後ろに下がって右に!」

「りょうかいっ!」


ティアの前に広がった防御魔法による結界に阻まれそこに貼りついた


異形が結界に穴を開けていく。


その間に右後ろから迫っていた虎の形をしたゴーレムがロレイアーナの展開した結界に顔から突っ込みひっくり返る。


ティアは素早くその虎のゴーレムに近付き始末する。


最後の一体を倒して2人で一息つく。


「ふう......だいぶ進んだと思うんだけど」

「そうですね......ちょうど真ん中、一番厳しいところに差し掛かったところでしょうか」


何回か交戦を繰り返し、少しずつだが1回に相手する敵の数が増えてきているのを感じている。

休憩を挟んではいるが、疲労が溜まっていくのを感じざるをえない。

魔法を使うというのは得意な魔法であっても僅かながら体力の消耗を伴う。

さらに後衛として全体を見てティアに指示を与え、防ぐたびに効果を減じる防御魔法を的確に張り直さなくてはならない精神的疲労。


「お腹も空きましたけど、焦ってミスを犯さないようにしましょう」

「そうね......」


肉体的にも精神的にも、疲労は少しずつ積み重なっていく。


やがて再度の交戦。

ここはそれほど強い個体は多くない。だが複数対との交戦、そして連戦。

弱点の核を直接狙わなければ相当強力な攻撃でなければ通らない防御力。


弱点を知り、規格外の魔力量を持つとはいえ、たった2人で切り抜けるには厳しいものがある。


息を整えたら再び進み始める。

あまり休んでいても敵がやってくれば結局体力を消耗するからだ。


「次が来たわ......」

「......はい」


数は6。虎型3に、人型3。

例に洩れず生体的な体で出来ている。

素早い虎型の後ろに続くように人型が迫る。


虎型はタイミングをずらして飛び掛かってくる。

少し前から多少の連携が見えてきたのは、中心に近付いているからか、それとも何か情報が共有されているからなのか。


ロレイアーナは防御魔法で作った結界で3体の虎型を順繰りに弾いていくが、ともに彼女の結界の効果が下がっているのを感じる。


「人型に注意しつつ虎型を!」


ティアは指示通り、虎型を迫る人型の一体と挟むように動き、体勢の崩れた虎型の一体を処理する。

ここで一旦離れて再びロレイアーナが防御魔法を展開するのが今までの流れである。


しかしここで思わぬ事態が起きる。


生体で、つまり生身のゴーレムには若干ながら体液が存在する。

偶然なのか、床に飛び散った体液がちょうど滑らかな地面に飛び散り、そこをティアが蹴る。


人型の1体が襲い掛かってくるのを避けた拍子にティアは体勢を崩してしまった。


「ティアさん!」


叫ぶロレイアーナの方向へ、手を地につけつつ走るティアの元へ、他の1体が襲いかかる。


--どうしても一撃は受けてしまう状況。長い爪がティアの背中に迫る。


Лэа(レア)Сыпю(シレウ)Фозум(フォズン)


直前。ざわっ、と風が吹き、不可視の刃がその爪を逸らした。

その後の追撃も再び展開された防御魔法が防ぐ。

ティアは辛くも危機を脱する。


「っと!危なかった!

なんだ、ちゃんと魔法で攻撃もできるんじゃな......」


ロレイアーナの方を振り返るティアの言葉が途切れる。


「......ぐっ......はあ、はあ......」


脂汗を流し、その絶やさなかった微笑さえ苦しげに歪められ、ロレイアーナは座り込んでいた。

それでも防御を疎かにすることはないのは流石か。


「......っ!ちょっとどうしたのよ!ロレインっ!」

「それより今は敵をっ!早くお願いしますっ!」


その必死な声にティアはハッ、とするとすぐにゴーレムたちに向き合う。


さすがに体力の温存を考えていられる状況ではなかった。

ロレイアーナができるだけ魔法を使わなくていいよう、迅速に戦っていく。


ここに来る前とも、先ほどまでの安全重視の戦い方とも違う動き。

それがさらに戦い方を変えていく。

この状況では遅々ともいえる、しかし常軌を逸した早さで、ティアは成長していく。

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