1,四月
ちょっと重めのお話です。
この話につきあってもらえたら、幸いです。
死を望む少女は思う。
自分とは一体何なのか。
どうして生きているのか。
何故生きることができるのか。
少女は思考し、深くて真っ暗な闇へと落ちてゆく――――――
蒼は自分は滑稽な存在であると思った。
そして同時に自分は虚しくてどうしようもない存在だと考えた。
いらない自分。
存在する必要のない自分。
そんな少女は当然のように、
『死』に魅了されていた。
この物語の主人公である蒼は今年で高校二年生になる。
性別は女、そして帰宅部。
何も部活には属さず、放課後になるとすぐ家に帰る人種。
今、蒼は学校に行くため肩までしかない短い髪を揺らしながら友達と待ち合わせをしている場所へ向かっていた。
蒼は自称、長時間睡眠者である。
どうしても長い間眠ってしまう。
なのでいつも朝家を出る時間が遅くなってしまい、その友達を待たせている。友達はいい人なので蒼が遅れても笑って、いいよいいよーと言ってくれる。しかしそれが毎回となると話は別だ。あまりにもそれは悪すぎる。そんな訳で蒼は懸命に足を動かし、走っていた。
「はぁ・・・・、はぁ・・・」
その場所に着いた途端、蒼は手を膝に置いて腰を曲げる。走り乱れた息を整えるために大きく深呼吸をする。何回か深呼吸してようやく落ち着いたかなと思い、顔を上げた。
「・・・・・・・・。」
いつも友達が待っててくれる場所に、今は誰もいなかった。
おかしい。時間は結構経っているから、いないなんてことはおかしい。蒼は制服であるブレザーのポケットの中に入れていた携帯電話を取りだした。指を動かし、ボタンを押してメールボックスを確認する。すると予想通りにそこには一通のメールが受信されていた。
『蒼、ごめんね。今日は調子悪いから朝は行けないや。でも昼からは行けると思うから、またいつもの場所でね!』
蒼と朝の通学を共にする友からのメールだった。
なるほど。
蒼はそのメールに納得をし、ケータイを閉じて元の場所に戻してからまた歩き出した。今度の目的地は自分の高校である『西宮高校』。今から歩いていって間に合うかはなんとも微妙な時間だが、しかしそんなことに惑わされる蒼ではない。むしろ堂々と遅刻していく気満々で優雅に歩いていた。ま、遅れたら遅れただ。すぱっと割り切ってしまう。これはこれでなんとなくいさぎ良かった。
自分のクラスに向かう蒼の足取りは少し重い。それは本人も自覚済みである。
あぁ、行きたくないなぁ・・・。
憂鬱だった。
蒼にとって学校に行くということは、苦痛以外の何物でもなかった。
楽しくない。
つまらない。
苦しい。
そんな風に思っていても、学校には行かなければならないという矛盾が蒼を苦しめていた。それでも蒼は、歩く歩みを止めない。頭は別のことを考えていたとしても、足だけは自分の登校すべき学校へと向かっている。歩みを止めることなど、できるはずがなかった。そんなの、許せるわけがなかった。
蒼は進む。自分の教室に歩を進める。
自分とは一体何なのか、どうして生きているのかを考えながら―――――