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攻略対象が一人しかいないクソゲーに転生したけど、王子が仕様(バグ)のせいで会話がメタすぎて愛せない

「おめでとう、リリアーヌ。君は今日から、この国の第一王子・エドワードの婚約者だ」


 王様がドヤ顔でそう言った瞬間、私は足をもつれさせそうになった。


 待て待て待て。今なんて? エドワードって、あの性格破綻、ナルシスト、浪費家の三冠王のこと?

 私がその婚約者だなんて、冗談でしょ。


 このゲーム『百花繚乱・プリンセス』は、五人の個性豊かな攻略対象から運命の相手を選べるのが売りじゃなかったっけ?


 私は必死に、記憶にあるゲーム画面を脳内検索した。

 確か、隣国にはクールな騎士がいたはず。教会のミステリアスな聖職者もそうだ。


「……あの、他の候補の方は? 隣国の騎士様とか」

「そんな奴はいない。我が国は鎖国中だ」

「鎖国中!? じゃあ、教会の聖職者様とか」

「この国は無宗教だ」

「王政国家でありながら無神論者!?」


 というか待て。何故普通に会話が成り立っているの?

 私は慌てて周囲を見渡した。


 そこには「モブA」と書かれた札でもぶら下げていそうな、顔のパーツが簡略化されたおじさんたちしかいなかった。

 これを見た私に、電流が走った。


 このエドワードは『百花繚乱・プリンセス』に登場するエドワードではなく、リリース初日に開発が夜逃げした伝説のクソゲー『オンリー・ワン・プリンセス』の方に登場するエドワードだ!


 乙女ゲームを謳っておきながら攻略対象が一人しか実装されてなかった、あの未完成アプリだと理解した私は、その瞬間に理解した事実を拒んだ。


 衝撃の真実に呆然としていると、突然、頭上から甲高い鐘の音が鳴り響いた。


「え、何この音?」

「婚約イベント開始の合図だよ」

「開始合図の音をフラグにしてるのかよ!」


 横から当然のように答えたのは、当のエドワード王子だった。

 金髪がキラッと光った……ように見えたのは気のせいじゃない。なぜなら、光のエフェクトが雑に合成されていたからだ。


「ちょっと待って、今の絶対演出でしょ?」

「さあ、リリアーヌ。僕の後ろに立って」

「無視かよ!」

「この後、君が僕に抱きつく強制イベントが発生するからね」

「強制!? 抱きつく!? 聞いてないんだけど!」

「仕様だから」


 仕様だから、じゃないんだよ。

 というか仕様を理解してる王子ってなんだよ! なんでそこは理解してるんだよ!


 私が慌てて距離を取ろうとした瞬間、足元に謎の光る矢印が出現した。


→ここに立ってください


 うわあああああ!!

 チュートリアルの誘導だこれ!!


「さあ、リリアーヌ。イベントを進めよう」

「進めたくないんだけど! 私の意思は!?」

「ないよ。初期イベントだからね」

「だからそのメタ発言やめぃ!」


 エドワードが爽やかな笑顔で言い切っているが、その台詞は依然として酷い。

 絶対に強制イベントなんかに屈するものかと抗うが、残念ながら私の体は勝手に動いていく。


 そして……。


「ちょっ……ちょっとおおおおお!」


 気づけば私は、王子の胸に抱きついていた。

 いや、正確には抱きつかされていた。


 エドワードは満足げに微笑む。


「うん、好感度+20だ」

「好意を数字化するな!」


 異世界転生って、その世界の中をリアルに生きていくものじゃないの?

 文字通り「ゲーム仕様のまま」の世界に転生するなんて、誰が想像するのよ!


 絶対絶対、何とかしてこの世界から脱出してやるー!!

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