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継母と義妹にいじめられてますが、本屋で出会った男性に大切にされるようです  作者: 冬木ゆあ


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第7話 本屋にて

 アーヴァイン公爵家に移ったリディアは、クレアの支配から解放され、穏やかな日々を過ごしていた。

 午後の温かい日差しの中、ウィルフリッドとリディアが庭を散歩していると、そこへジャックがやってきて、二人に言った。


「リディア嬢のお父様がいらっしゃっています」


 ウィルフリッドはリディアに尋ねた。


「……お会いしますか?」


 リディアは少し緊張した面持ちでうなずいた。


 応接室の扉を開けると、リディアの父親であるフィリップが待っていた。フィリップはリディアの顔を見るなり、駆け寄ってきて抱きしめた。


「リディア、すまなかった……」


 フィリップは涙を流していて、リディアもそれを見て涙を流した。


 ――ああ……。お父様はすべて知ってしまったのね。


「ごめんなさい、お父様。クレア様とレティ―シャと仲良くできなくて……」


 フィリップは首を横に振った。


「リディアが謝ることは何もない。わたしが仕事にかまけて、家庭を顧みなかった。クレアとレティ―シャがリディアにつらく当たっていることに気づいてやれなかった。――すまない、リディア」


 リディアはフィリップの背に手を回し、抱きついた。

 フィリップはリディアの背後にいるウィルフリッドを見上げた。


「リディアを助けていただき、ありがとうございました」


 ウィルフリッドはうなずき、二人の肩に手を置いた。


「お父上はリディア嬢を大切にされていたのですね。安心いたしました」


 ルーシーから父親はリディアを可愛がっていたと、ウィルフリッドは聞いてはいたが、実際にその目で見たことで、心から信じることができた。

 リディアはフィリップから離れると、丁寧にお辞儀をした。


「お父様に愛していただいていたから、耐えることができたのです。ありがとうございました」


 その言葉を聞いて、フィリップは確信した。


「……アーヴァイン公爵様と婚約するんだね」


 リディアはうなずき、ウィルフリッドを見上げた。


「はい」


 ウィルフリッドはその言葉を聞いて、リディアを愛おしそうに見つめながら肩を優しく抱いた。

 二人の仲睦まじい様子を見たフィリップは立ち上がり、ウィルフリッドに深々と頭を下げた。


「……リディアを頼みます」

「はい。大切にさせていただきます」


 フィリップは安堵したような笑みを浮かべた。


 フィリップが乗った馬車の姿が見えなくなるまで二人は見送った。それから、リディアはウィルフリッドを見上げる。


「ウィルフリッド様、私を見つけてくれて、ありがとうございます」


 ウィルフリッドはリディアを抱きしめた。そして、思いついたように言った。


「そうだ。久しぶりに二人であの本屋へ行ってみようか」


 リディアはその提案にうなずいた。


 二人は街の本屋に入店すると、店主がこちらを見て、声をかけてきた。


「ああ、やっぱりそうだと思いましたよ」


 リディアとウィルフリッドはその言葉に不思議そうに顔を見合わせた。店主は笑みを浮かべて、続きを話し出した。


「お二人とも買われる本が似ていたから、きっと相性がいいと思っていました。あの本はわざと一冊しか置いていなかったんですよ。お二人が話すきっかけになればと思ってね」


 まさか店主の思惑にはまっているとは思っていなかった二人は驚いた顔をした。

 ウィルフリッドはリディアに言った。


「どうやら我々はまんまと嵌められたようだよ、リディア」


 リディアは嬉しそうに微笑んだ。


「この本屋には一生頭が上がらないですね」


 そうして、しばらく三人は談笑していた。



 それから一年後。

 二人は正式に結婚し、三か月後には式を挙げる。

 リディアはソファーに座り、実家のフィッツロイ家からの招待状の返信を見て、少しだけ表情を暗くした。そこへ仕事を終えたウィルフリッドが顔を出した。


「リディア、どうしたんだい? 暗い顔をしているよ」

「ウィル」


 リディアはウィルフリッドに手紙を差し出した。それを読んだウィルフリッドは納得したようにうなずいた。


「お父上は来られるようだからよかったじゃないか。あの二人は義理で招待したが、俺は来なくてほっとしているよ。それに噂のせいで来られないだろう」


 リディアとウィルフリッドが婚約を発表した後、社交界ではクレアとレティ―シャがリディアを虐げていたことがどこかから漏れて噂が流れていた。そのせいで二人は社交界で肩身が狭い思いをしているらしいとリディアも風の噂で聞いていた。

 一度だけ、パーティで二人の姿を見かけたが、クレアもレティ―シャもリディアに気がつくと何も言わずに去っていった。

 ウィルフリッドはリディアの隣に座り、慰めるように頭を撫でた。それから頬に優しく口づけをする。


「……最高の結婚式にしよう」


 リディアはくすぐったそうに瞳を細め、幸せそうにうなずいた。


「ええ、ウィル。愛しているわ」


 リディアはそう言いながら甘えるようにウィルフリッドに抱きついた。ウィルフリッドもそれに答えるようにリディアを抱きしめた。


「俺もリディアを愛しているよ」


 二人はキスを交わし、微笑みを浮かべた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

そして、ブックマーク、評価していただいたみなさま、本当にありがとうございました。

執筆の励みになりました。

次回作もどうぞよろしくお願いいたします。

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