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第一話
日常茶飯事だと言った柾人さんが背中を軽く叩かれるのを見て、きっといつもこんな感じなんだろうなと僕はぼんやり考えた。
社務所の畳は日に焼けていたけれど、い草のいい香りがする。人の気配を感じて目をうつすと、サナが絵馬やお守りをながめていた。
やはり僕以外には見えないらしい。見えていたなら、柾人さんかあずささんが参拝客として対応するだろう。
「次は《THE EMPEROR》、皇帝のカードだから、私の記憶を吸わせておこう」
あずささんはそう言うと、タロットカードを手に取る。
「吸い取らせる記憶に心当たりがあるというのも、困ったものだね」
参拝客がいるのだろう、拝殿から鈴の鳴る音が聞こえる。もしかしたらサナがお参りをしているのかもしれないなと、僕は思った。




