72おじいちゃん本当のことを言って
私とネイト様、シュナウト殿下は王宮に急いだ。
セダ神官が辺境伯に連絡をして入れていたので執務室にはすでに東のシャルトル辺境伯と南のユーロウ辺境伯。そしてラドール様もいた。
「それでどうなんだ?」シャルトル辺境伯が緊迫した表情で聞く。
ネイト様は神官から聞いた情報を話した。
「大変なことになるぞ。どうすればいい?」ユーロウ辺境伯も狼狽える。
「とにかくブルトに話をする。王位をドーナン殿下に譲らせる。セダ神官。この事をドーナン殿下に伝えてもらえますか?返事を聞いたらすぐに帰って来て下さい」ネイト様が指示を飛ばす。
「わかりました。すぐに行ってきます」セダ神官。
「そうだ。シャルトル。ブルトの金の流れはわかったか?それと貴族の動きはどうだ?」
「ああ、金の流れは追っている。大半の貴族は俺達がドーナン殿下に着くと決めた事で流れが変わった。半数以上の貴族がドーナン殿下の王位継承に賛成だ。それでブルトとの関係を清算するつもりだろう」
「ここにドーナン殿下を国王に承認すると言う署名が揃っています」ラドール様が書類の束を見せた。
「ラドールありがとう。だが、まったくいい気なもんだ。糸の切れたタコみたいだな。まあ、今はそれで仕方がないがこれが終わったらきちんとするつもりだ。みんなそれでいいか?」
「「「ああ、もちろん!」」」
*~*~*
その流れでみんなで国王代理執務室に押し掛ける。
「「「「「失礼します!」」」」」
「なんですか。こんなにたくさんで押し掛けるなんて‥」側近が驚く。
「おい、何だ?面会の予定は入ってないぞ!」おじいちゃんも驚いて声を荒げる。
「そんな事言っている場合ではないんです!4辺境領の神宿石に異変が起きています。それに天候もおかしくなり各地で大雨や地震、熱波、神宿石の倒壊など、このままでは国中が被害を受けます。これもすべてあなたのせいだ。神あなたにはお怒りだ。すぐに国王代理の座を下りてもらいましょう!」
ネイト様は高らかに宣言する。
「何を馬鹿な事を。それはお前たちの管理がなってないせいだ。それを私の責任に押し付けるとは!」
「いいえ、事は一刻の猶予もないんです。どうか国王代理。最後の引き際はきれいにして下さい!」シャルトル辺境伯。
「シャルトルまで。なにを言ってるんだ。お前の領地には神宿石は必要なんだろう。そうだ、お前の所には特別にすぐに用意しよう。おい、ベナン商会の物を呼べ」
おじいちゃんは側近に命令する。
「国王代理それは無理です。ベナン様が亡くなられて今、商会はぐちゃぐちゃです」
おじいちゃんの顔色が変わる。そりゃそうだろう。
「ブルト。神宿石をすぐに準備できるのか?だったらすぐに手配しろ!4辺境伯分すべてだ。どこにある?神宿石はどこにあるんだ?」ネイト様が詰め寄る。
「そんな事知るわけがない。私は指示を出すだけだ」おじいちゃんの顔色が青くなって行く。
ネイト様、シャルトル様。ユーロウ様3人がおじいちゃんをぐるりと取り囲む。
「この期に及んでそんな話聞くか!いいから言え!」
3人の目は血走っている。
シュナウト殿下も「そうですよ。国王代理。もうそんな事は言っていられない状況なんですから、神が怒ってるんですよ。まじ、やばいんですから!知っていることを早く言った方がいいです。それにもう魂胆もわかってますから、薄汚いあんたの事だ。どうせリンローズと俺を結婚させてその子供を王にでもしようと企んでいたんでしょう。まったく、いい加減にしたらどうですか?」
必死の説得だが何しろ言葉使いがめちゃくちゃだ。
えっ?シュナウト殿下もおじいちゃんの考えをわかってる。何時からそんな一を聞いて十を知るみたいな人間になった?
私はシュナウト殿下を見るが彼はこう見えていたって真面目らしい。
「私は知らん!そんな事は下の奴らがやる事だ。どこにあるかまで知るか!それにリンローズとシュナウトは王家の血を引くもの。その子を国王にしてなにが悪い!」
もう、あきらめようよ。おじいちゃん。
「あなたにはもうそんな事を言う権利はない。クッソ!‥そんな事より知っている事を話せ!そうだ。リンローズこいつの考えてることが分かるんじゃないのか?言ってることが本当かどうかわかるだろう?」
ネイト様が私が考えが分かることを思い出したらしい。
ど、どうしよう。
「ネイト様‥それが、神の話を聞いてからあの力なくなったみたいで‥わからないんです。ご、ごめんなさい」
「そうか。いいんだ。あんな大事なことを知らせてくれただけでも助かったんだ」
ああ、こんな時に役に立てないなんて…私はぎゅっと拳を握りしめた。
もしかしてシュナウト殿下はわかるんじゃ?
「シュナウト殿下!あなた人の考えが分かるんじゃないんですか?」
「はっ?そんな事わかるわけないだろ!わかるなら苦労してない!」
ハハハ。やっぱり。




