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4王宮に出向く


 私は王宮に着くと真っ直ぐ殿下の執務室を目指した。

 ちなみに今までの私なら露出の激しいドレス姿だったのだが、もちろんこれからはそんな事もやめる。

 (私ったら少しでも彼に振り向いて欲しかったによね~)

 今日のドレスはシンプルなブルーのドレス。首までレースで覆われているものだ。

 それに今日が魔力制御を行う日でもあったのでちょうど良かった。

 「失礼します」

 側近のラドール様が扉を開けた。

 「もぉぉぉ、殿下ったらいやですわぁ」

 黄色い声が部屋に響いた。

 ちらりとソファーに視線を向ける。

 そこにはアシュリーがいて殿下が身体をぴたりとつけて隣に座っている。ドレスが超露出の激しいもので胸元から胸が零れんばかりの…

 あれが一応血を分けた異母妹とは…はぁぁぁぁ。

 シュナウト殿下と目が合う。

 途端に紺碧色の瞳が眇められる。

 「チッ!なんだ。リンローズか。どうして勝手に入る?」苛立った声色。

 と思ったらラドール様が補足してくれた。

 「殿下今日は魔力の。リンローズ様は約束の時間ですのでいらしただけです」

 シュナウトは美しい(かんばせ)を少し歪ませ金色の髪をさっと掻き上げた。

 「もうそんな時間か…アシュリー後でまた」

 アシュリーはさっと立ち上がると胸元を引き上げた。

 「ええ、シュナウト殿下。あら、義理姉様ご苦労様。彼をお願いするわね」

 胡乱気な瞳で私を見下すような視線を向ける。

 (まあ、よくもそんな偉そうな!いけない。いけない。私には関係のない事。シュナウトとはもうすぐお別れですもの。どうぞこれからは好きにしてちょうだい)

 心の中でそんな事をつぶやくと私は顔を反らした。

 アシュリーはまるで自分が婚約者だと言いたいようでつんと顔を上げると部屋を出て行った。


 「すみませんリンローズ様。殿下差し出がましいようですが一応、婚約者はリンローズ様ですので‥」

 まあ、ラドール様の顔もリンローズを庇うためではなく一応礼儀として言ったまでですと顔に書いてあるが。

 「わかっている。でも、幼いころ代理が勝手に決めた婚約だ。ふん!こんな婚約」

 リンローズはいつもならここで文句の一つも言うが今日は違う。

 チャンス!

 待ってましたとばかりに顔がほころんだ。

 「はい、その通りですわ殿下。殿下には今まで大変な苦痛を与えてしまい申し訳ございませんでした。実は私、婚約を解消しようと思っているんです。ああ、でも魔力制御をどうするか。御心配には及びません。神殿に頼んで聖女に魔力制御のやり方を教えるつもりです。聖女が魔力制御を行えるようになればもう殿下も心配ないはず」

 「そんな勝手な事を…」殿下が口をはさむ。

 「いいえ、簡単です。癒しの魔法が使えるなら殿下のお力になれるはずですもの。ただ、殿下の秘密が知れるのでそれはご勘弁下さい。だって私と婚約解消したいのは殿下の方ですから、いいですよね?」

 口早にそうまくし立てた。

 「はっ、誰が?」

 シュナウトの瞳は光を吸い込み碧色だけを映し出す湖水の色をしたような紺碧色。その瞳がこちらを向く。

 ラドール様はきょとんとした顔でこちらを見ている。


 「こ、これは夢か?」シュナウトが頬を抓る。

 「いたっ!夢じゃない。まさかお前がそんな事を言う日が来るとは…熱でもあるのか?」

 「まあ、失礼ですわ。でも、お父様にまだ話ができておりませんが数日のうちには陛下に父が話しを持って伺うと思いますのでその時はよろしくお願いします。殿下。婚約は破棄ではなく解消ということでいいですね」

 「…いや、それはだめだ!俺の魔力に問題があると知られるのはまずい。いいかリンローズお前は今まで通り俺の魔力制御をやるんだ…」彼はこれ以上ないって言うほど真面目な顔で言う。


 「そんな。では婚約解消は了解頂けますよね?」

 「だめだ!これは国王代理からの直々の命令だ。逆らうわけにいくか!そんな事言われなくたってわかってるだろ。ったく」

 彼は忌々しそうな顔で言葉を荒げた。

 「すみません」

 私はこれ以上は逆効果かも知れないとその場は口をつぐんだ。


 







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