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こんな仕打ち許せるわけありません。死に戻り令嬢は婚約破棄を所望する  作者: はるくうきなこ


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43神宿石は


 翌朝ラセッタ辺境伯と辺境伯騎士隊と王都から来た騎士隊でもう一度見回りをする事になった。

 私はあまり眠れなかった。わだかまりを抱えたまま集合場所に向かうと、ラセッタ辺境伯からコリー領からの支援のお礼を言われた。思った通り食糧も役になったようだ安心した。


 【リンローズ君は最高だ】


 これってラセッタ辺境伯の声?何だか気分が良くなった。

 すでに皆、神殿の前に集合していた。

 今はそんな事は言っていられない結界をきちんと修復することに集中しなければ。

 ラセッタ辺境伯と目が合うと彼がガッツポーズをしてふっと笑ってみせた。

 私の気持ちはすぅっと落ち着いた。


*~*~*


 「「「こ、これは‥‥」」」

 すると神宿石の輝きが失われていた。私達が来た最初の時と同じようになっていた。

 王都から来た騎士隊はわからなかったが一昨日の事を知っている人たちは言葉を失った。

 「何があった?」ホクス隊長が聞く。

 「実は一昨日シュナウト殿下とリンローズがこの石に魔力を込めたのです。すると輝きを失っていた石が光り輝いてそれは見事に蘇ったのです。やはりこの石は取り換えるしかなさそうです。一刻も早く神宿石を手に入れなくては。そうだ王都の騎士隊長ならばこの石の事を知っているのではないのですか?何度も申請は出しているが王直轄領でこの石がまだ出土していないとの返事なのだが」

 ラセッタ辺境伯はホクス隊長に聞く。

 「そんな話は初めて聞きました。結界が薄れているとは聞いていましたがそのような問題があったとは、私も急ぎ調べてみます」


 私はまさかホクス様がと疑念を持った。彼に意識を集中させると脳内にホクス様の声が聞こえた。

 【そんな事が起きていたとは知らなかった。これは一刻を要することだ。この任務が終わったら王領に出向いてでも確かめてみなければ】

 やっぱり。私は人の考えが読めるのかも。

 でも、ホクス様はこの件とは関係ないって事はわかった。それに協力しようとしている事も。良かった。


 「ああ、頼む。さあ、みんな気を落とさず別れて見回りをしよう。聖女様には魔石に魔力の補充をお願します。みんな一刻も早く結界を張れるよう頑張ろう。では、別れて出発してくれ!」

 ラセッタ辺境伯はそう言うと私のそばに駆け寄った。

 「聖女様方はすまんが神宿石に少し魔力を補充してもらえないか?その後見回りが終わったら近くの魔石を回ろうと思う」

 「はい、わかりました」ヒルダ様が言う。

 「ああ、頼む。それからリンローズどうだ?昨日は素晴らしかったよ。シュナウト殿下の具合も良さそうで良かった」

 「えっ?お見舞いに行かれたんですか?」

 「ああ、昨晩ラドールと一緒にな。元気そうだったぞ」

 「そうですか。ありがとうございます。殿下がご迷惑をおかけして申し訳ありません。ラセッタ「そんな堅苦しい呼び方はやめてほしいな。ネイトと呼んでくれ」‥ネ、イト様…」

 「ああ、それでいい。それに彼に迷惑はかけられていないから安心してくれ。寧ろこちらの不手際で怪我を負わせたんだからな」

 「そんな。とにかく私達頑張りますから、ねっ、ヒルダ様」

 ラセッタ辺境伯から名前呼びしろと言われて戸惑う。もう、ヒルダ様ったら笑ってないで助けて下さいよ~

 ヒルダ様は元は平民だったらしい。だから貴族には緊張するのだろうか。こんな優良物件を前にしても顔色一つ変えずに線引きした態度を崩さない。

 そんなこんなでネイト様の考えを読み取ることは出来なかった。


 騎士隊はそれぞれ分かれて出発した。

 私達も神宿石に近づく 

 「リンローズ様、シュナウト殿下はどんな風にしたのです?」

 「はい、石に手を当てて魔力を込めたと思います。ですがあの時はほとんどの魔力を吸い取られそうなほどの勢いで石が橙色に輝いて殿下も手を離せなくなってとにかくすべて吸い取られるみたいな感じでした。私はヒルダ様に教わったように魔力を広げるような気持でした」

 「そうですか。今日はそこまでは出来ませんね。まだ魔石に魔力も込めなくてはなりませんし‥では、取りあえず少しだけこの石に魔力を込めてみましょうか」

 ふたりで石に手を当てて魔力を込める。

 神宿石は光り輝いてその光を吸収するように光が石の中に取り込まれて行く。

 だが、一昨日のような輝きはない。それに吸いつくされるような感覚にもならない。

 「この辺りで一度やめましょう」ヒルダ様が手を離す。私も同じように手を離した。

 神宿石は少し輝いていた。

 「やはり魔力を蓄えておく力が足りないようですね。仕方がありません。後は魔石にたっぷり魔力を補充するのがいいかも知れません」

 「ええ、魔石に魔力がたくさんあれば結界もきっとうまく張れますよね」

 「ええ、均等な力が保てればこの石がそこまで力がなくても何とかなると思います」

 「ヒルダ様、少し時間があるようなら診療所に行ってみますか?」

 「そうね。お手伝いでもしましょうか」

 私達は診療所に行って病人や怪我人の世話を手伝った。診療所の仕事は治癒だけではない。病人の世話や洗濯、掃除などやることはたくさんある。


 シュナウト殿下の様子を見に行くと彼はすっかり元気になっていた。    

 「リンローズ。まだ寝てなきゃだめか?俺もう元気になったと思うが?」 

 彼は満面笑顔で私を見た。ギクッ。

 「ど、どうでしょう?」

 私は昨日のあの卑猥な言葉が頭に浮かんで彼に近づくのがためらわれた。それにキスした事もあったし。     

 「どれどれ?」察したようにヒルダ様が額に手を当てる。

 「殿下。まだ微熱があるようです。明日までは起き上げることは出来ません。他のものに迷惑のないよう静かにお休み下さい」

 「ヒルダ。俺はリンローズに‥」

 【ヒルダは引っ込んでろ。俺はリンローズに触りたいんだ】

 ムムム。やはり私をそんな目で!

 「シュナウト殿下。ヒルダ様は筆頭聖女ですよ。その方の言う事は聞かなければいけません!」

 「お前ら覚えてろ。それで結界はどうなった?」

 「神宿石は元に戻っていました。やはり取り換えるしかなさそうです「だったら俺が‥」無理は出来ません。殿下は大切なお方なのです。それをわきまえて頂かないと!」

 シュナウト殿下はヒルダの容赦ない言葉に子犬のようにしゅんとなった。

 まあ仕方がないだろう。あれでも次期国王かもなのだから。

 

 それにしても私、どうして人の考えがわかるようになったんだろう。ここの神宿石は月の神セレネーンを祀っていると言われていたわ。セレネーンは真意の神とも言われているって聞いた。

 真意って本当の事って言う意味?

 あっ、もしかしてシュナウト殿下と石に触れた時に?

 でも、今日には石は元に戻っている。私の力は偶然なのかも

 とにかくこんな事は誰にも言えないわ。




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