42ー1騎士隊が到着
その夜王都から騎士隊が辺境伯邸に着いた。ヒルダ様も馬に乗って一緒だったので驚いた。
そしてラドール様も一緒だ。彼は騎士隊の服に身を包んでいた。
ああ、そうだった。彼は学園でもかなりの腕前だった。だからこそシュナウト殿下の側近か‥当然の事とはいえいつもの見慣れた服装と違う雰囲気に圧倒された。
「リンローズ様、お疲れ様です」
「いいえ、ラドール様もお疲れさまでした。ラドール様って騎士でもあるんですね」
「まあ、一応辺境伯に生まれましたので幼いころから訓練は必須だったもので‥それでシュナウト殿下はいかがです?」
「ああ‥実は今日見回りに同行して魔物に襲われて‥いえ、怪我はもう治癒魔法でほとんど。今は意識も戻って神殿の診療所でお休みです」
「はぁぁぁ、あれほど油断しないで下さいと言っておいたのに‥でもリンローズ様がご一緒で良かったですよ。後で俺からも一言釘をさしておきますから」
「いえ、殿下もこれで少しはお分かりになったと思います。まだ、ショックが大きいでしょうからお手柔らかにお願いします」
自分でも驚く。どうしてあんな奴にそんな同情をする必要がある?と湧く疑問。
「えっ?やけに優しいですね。何かあったんですか?」
「はっ?とんでもありません。怪我人には優しくするものです。では、ラドール様もゆっくり休んで下さい」
「はい、俺は我が家なので遠慮はありませんから」
「ああ、そうでしたね。ラセッタ辺境伯はお兄様でしたか。どうりでお優しいはずですね」
「兄と?」ラドール様の顔が強張る。
「兄は‥その女性にはひどく冷たい人でして、リンローズ様嫌な思いをされませんでしたか?」
「とんでもありません。ここに来た時お兄様は怪我をされていて危険な状態でした。でも他の聖女様の力添えも会ってうまく治癒出来ました。もう、すっかりお元気で。さすが辺境伯様です」
「そうですか‥兄がけがを‥‥結界はかなり危険な状態という事ですね」
「ええ、ですがシュナウト殿下が神宿石に力を注いでかなり良い状態になったと聞きました。まだ油断は出来ませんがやはり殿下の力はすごいのではと思います」
ラドール様は驚きの表情を受かべる。
まあそうだろう。
「殿下がですか?あの殿下が?」
「はい、殿下も辺境伯のお怪我を見てかなり深刻だと思われたのではないでしょうか」
「そうですか。少し殿下を見直しました。リンローズ様もそうなんでしょう?」
「いえ、私の気持ちは変わりません。殿下とは婚約を解消します。ラドール様もそのおつもりでいて下さい。むやみに私達が婚約者だと言わないようにして下さいよ」
「それは無理ですよ。誰もが知っているんですから‥」
「‥‥‥では、失礼します」
私は逃げるようにラドール様と離れた。するとヒルダ様が見えた。急いでヒルダ様に駆け寄る。
「ヒルダ様来て下さってありがとうございます。さぞお疲れでしょう」
「いいえ、馬での移動は慣れているんです。騎士隊の皆さんも親切でしたし」
「そうですか。ちょうど良かった。私タルトを作ったんです。後で騎士隊の皆さんも召し上がって下さい」
私は笑顔でそう言った。騎士隊の方が驚いている。
「「「聖女様の手作りですか?」うわ、すげぇ」ありがとうございます」
反応がすごくてうれしいが困った。
視界にラドール様はラセッタ辺境伯の所に去って行くのが見えた。
ふたりは仲がよさそうだ。もう、話が弾んでいた。




