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3やるべきこと


 こうなったらこんな小説の通りになんかさせないわ。

 どうにかして断罪を回避しなきゃ。って言うより私がシナリオを書き換えてやるわ。

 大まかなストーリーはわかっているんだから何とかできるはずよ。

 強気に行きたいがあのシーンが脳裏をかすめると身体がぶるりと震える。

 恐い。でも何とかしなきゃこのままじゃ…

 そうよ。アシュリーは媚薬を使ってシュナウトを虜にしてるってわかってるんだしいっそのこと殿下にそれをばらして…いやそれは無理。

 彼女にはこのままシュナウトを虜にしてもらわなくては。

 だったらアシュリーを躍らせておけばいい。

 それにシュナウトの魔力制御は別の聖女にでも押し付ければよかったのよ。

 この国には魔法を使える人間は少ないが数人だが癒しや結界魔法を使える聖女だっているんだし。

 

 素の私は本当は孤独で独りぼっちの寂しい人生だったのよ。

 せっかくこの世界に来たんだもの今回こそ幸せになってもいいはずよね。

 それに今までは父やミシェル、アシュリーの言いなりだった。

 でも、今回はもう我慢なんかしないから。今に見てなさい!


 幸せは向こうからはやって来ない。私が努力してこそ幸せはつかめるもの。

 今度こそ幸せになりたい。

 処刑の日まであと半年。さあ、やるしかない!


 

 私はゆっくり起き上がるとまずやることをノート書き始めた。

 まずはシュナウトとの婚約を破棄する。これが一番やるべきことだ。

 あんなつんけんした態度だったシュナウトが私を嫌っていることはとっくにわかっていたんだから。

 そうよ、アシュリーにこのまま媚薬を使わせて婚約解消すればいいんじゃない。

 それに殿下に非がある解消となれば賠償金だって貰えるはず。母が婚約を結んだときに誓約書を書かせてあったはずだから…

 

 まあ、読んだ話なので展開はほぼわかっている。

 だからこそリンローズには余計に苛立ったし怒ってもいたのだから。

 アシュリーには脅してでも大人しくなってもらう。シュナウトと婚約出来ればもう文句はないはずよ。

 そうすればアシュリーにもシュナウトにも関わらなくて済む。

 アシュリーがシュナウトと結婚すれば純粋な王家の血筋を引いた子供が生まれる。そうなればもう父も納得するはずだろう。

 ほんと。いいでしょう?

 ミシェルにも娘が可愛ければおかしな行動を慎むようにさせて…そうよそうよ。

 ただ、困った事に全員私とはすっかり仲が悪くて話を聞いてくれるかわからないけど…

 もう我慢はやめる。言いたいことを言ってやりたいことをする。

 取りあえずあんな父親だが婚約を解消する事を話さなくては、そして今日は殿下の魔力制御を行うため王宮に出向かなくてはならない日だ。



 私はうんざりするような気分のまま侍女のスーザンを呼んだ。

 彼女は私の乳母の娘で信頼している侍女だ。

 「スーザン。お父様に話があると伝えて頂戴」

 「はいすぐに。でも旦那様はお出かけですが」

 「そう、ではバーナードにこれを書斎の机に置いておくよう伝えて、私は王宮に行くわ。殿下にお話があるの」

 バーナードは子供の頃から我が家に使えてくれている執事だ。母が生きていた頃は彼は本当に優しくていい人だと思っていた。

 でも、ミシェルが来てこの家の主導権を握ると私へのひどい態度に苦言を呈してもいたが言えばそれが私の身に降りかかるとわかってからはそのうち口を慎むようになった。

 何しろ父が私には冷たいのだから義理母やアシュリーが私に冷たく当たるのも無理はない話だ。

(あのくそ親父の奴が一番悪いって事よね)

 それでも私が頼んだことはきちんとやってくれるしいつだって私の事を気にしてくれてもいる。

 父はまあ、予想通り仕事は兄に任せっきりで遊び歩いている。今日もどこかの女とでも会っているのだろう。そんな父にヒステリックになるミシェルにも頭が痛いけど。あなた達お似合いの夫婦よ。

 「はぁぁぁ…」

 でもやるしかない。






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