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第031話 新しい社会学の夜明け


第031話 新しい社会学の夜明け


 先日のリーディング研究所の件で、物理学の近衛教授にお礼がてら訪問した結果を報告しに研究室の部屋へ行くことにした。

 近衛教授は興味深く私の話を聞いた後で、しばらく考えてから答えた。

 「そうですか、そうですか。

  リーディングも参考になったのなら良かったです。

  八幡所長以外にも、滅多にお会い出来ないような方々からもお話を聞けたのは、とても貴重でしたな。

  思い切って一緒に出かけて行って良かったですわ。


  ところで、次はウチの大学内の社会学の特別講演会を受講したらどうでしょうかな。

  人気が高いので織田教授に内々で推薦しときますよ。

  私も聴きたいので今週末に一緒に受講しましょうか。

  ちょっと変わった教授でしてな。

  最近はやけにスピリチュアルに傾倒されてまして、授業の内容も偏っているんですよ。

  その影響か、スピリチュアル界隈のSNSで話題になって人気が出とるようですな。

  私も気にはなっとりました」


 私は快諾して、近衛教授と一緒に今週の土曜日に開催される特別講演会を受講することにした。

 この特別講演会は、スピリチュアル界隈では有名な社会学の教授の一般公開されている社会人向け授業だ。


 社会学の織田教授が教室の演台に登壇されてご挨拶された。

 「ようこそご来校いただきました。

  この特別講演会も10回目ですが、おかげさまで段々と参加希望者が増えています。

  この大学で最大の講堂なのですが、それでも抽選になってしまって恐縮です。

  次回はオンラインでの受講も出来るように見直しをしていきたいと思います」


 そんなに人気の授業なんだ。

 大学に通っているのに知らなかった。

 時代的にスピリチュアルや都市伝説の人気が高まっているからかもしれない。



 織田教授は、さっそく授業を始めた。

 「それでは始めましょう。

  少し漠然とした話が多いかもしれませんが、ご容赦ください。


  地中海の古代の神々のお話を読んだことがあるでしょうか。

  読むとビックリするぐらい人間的で、とてもエゴに溢れた話だと思うことでしょう。

  このエゴと対をなす愛というのは社会学や歴史を研究する上での非常に重要なテーマです。

  エゴの構造を理解しなければ、対極にある愛の理解も難しいのです。

  こんな学者のおじさんが愛を語るのも、いかがなものかと思うかもしれませんが、しばらくお付き合いください。


  愛とエゴを簡単に説明すると次の通りです。


  ・愛・・・陰、他人との大調和を目指す、サポート寄り、受動的、調和的、フラット組織構造、個人が一体的


  ・エゴ・・・陽、自分自身の欲望を実現する、アグレッシブ、主体的、競争的、ピラミッド組織構造、個人が分離的


  エゴとは、この3次元の物質世界に生まれて最も体験したかった重要な要素ではないでしょうか。

  真の神と一体的にワンネスの世界にいると極端に愛に偏ります。

  つまり、それではエゴが体験が出来ません。

  この3次元の物質世界に全ての累魂の記憶を忘れて生まれてくるからこそ、魂の本来の性質や特徴を左脳のエゴが引き出すのです。

  そうして自分自身をより深く理解し、累魂の霊性がさらに高まるのです。

  輪廻転生をする際に、過去の累魂の記憶を忘れて生まれてくる事は、地球上で肉体をもって色々な体験をするシステムとしては中核の機能と言えるでしょう。

  ここまでは社会学と言うよりは宗教に近い話です。


  これまでの歴史を振り返ってみると問題は、愛よりもエゴが強く、エゴがほとんどの局面で勝利に近づいてしまったことでしょうか。

  どうしても愛に偏る者は、相手を競争で倒すことが出来ません。

  したがって社会の組織構造の中で争うと敗北は必然とも言えましょう。

  ワンネスの世界であれば勝ち目もありますが、個人が意図的に分離されて個人単位になると、エゴの集団組織に抵抗するのは困難です。

  ピラミッド型の組織構造が完成するとエゴが強い者が、組織の上に配属され、エゴの弱い者は組織の下層に追いやられます。

  3次元の物質世界の地球は現代では、おおよそ勝敗は決し、自力での逆転は困難になったと言えるでしょう。


  光のポジティブとは他人に奉仕することを優先する者です。

  他人に奉仕する者は、他人とは調和的であり、ワンネスで一定的です。

  光のポジティブは自己の欲望が弱く、ゆったりとした動きになります。

  肉食を避け、植物食を好み、肉体的なエネルギーよりも霊的エネルギーに関心が強い傾向があります。

  性欲は弱く人口は減少傾向になります。


  闇のネガティブとは自己に奉仕することを優先する者です。

  自己に奉仕する者は、他人にも自分に奉仕するように要求します。

  そのため自己と他人がワンネスとして一体的になることは拒否します。

  つまり極めて自己と他人を分離する思想を持ちます。

  エゴによるエリート思想は、他人に対して自分への隷属を要求します。

  闇のネガティブは自己の欲望が強く、アグレッシブで活動的です。

  肉食や飲酒を好み、肉体的なエネルギーも強い傾向があります。

  性欲も強く人口も増加傾向になります。


  まずは、ここまでを確りと理解しておいてください」


 いやいや。

 いきなりワンネスとか物質世界とか累魂とか言っているし。

 たしかに普通の社会学ではないわ。


 隣で近衛教授が苦笑いしている。



 織田教授は、ペットボトルのお茶を飲んでから話を続けた。

 「それではエゴによる世界の支配は、どういう構造なのか追っていきましょうか。

  まずは、ピラミッド組織化、組織ルールと信賞必罰、通貨制度、情報管理、インフラ管理がベーシックな基盤になります。

  この基盤を徹底的に普及させることで、組織単位ごとの人々の上下関係を明確化し、支配する者と支配される者に主従関係が生み出されます。


  ピラミッド組織の初期段階では内部でエゴの競争が発生し、権力争いが激しくなります。

  ピラミッド組織の内部でも、仲間内で派閥を形成して、さらに小規模なピラミッドが多数組織されます。

  後継者争いや派閥争いでは、エゴの強度により陰謀や暗殺なども普通に発生するでしょう。

  ピラミッド組織の内部での役職や階級のポジショニングが落ち着くと次の段階になります。

  一定のピラミッド組織が複数誕生すると、今度は隣の組織間でのエゴの競争が発生します。

  ピラミッド組織間の競争は戦争にまで広がることもあります。

  ピラミッド組織も連合や併合、対等合併、分割統合、廃止など色々な形で変遷していきます。

  ピラミッド組織に貢献した者に対しては恩賞は不可欠です。

  組織からの恩賞と、他人からの賞賛は、ピラミッド組織に対する不満を打ち消すどころか、むしろピラミッド組織への貢献を促進します。

  ピラミッド組織に対する貢献をサボるような行為は、周囲の雰囲気により自責の念すら起こさせてしまうのです。

  さらにピラミッド組織から逃げ出し、組織ルールを破る者には容赦せず、懲罰を与え不安と恐怖により支配を強化します。


  次に通貨制度です。

  通貨制度と土地の売買もピラミッド組織に参加せざるを得なくするための重要な要素です。

  通貨を入手するには、社会との係わりから逃れられません。

  土地の問題は、自分が安住していた場所すら奪うのです。


  次に情報管理です。

  情報管理も重要な要素ですが、過去の世界大戦を踏まえれば明らかでしょう。

  ピラミッド組織の安定化と継続とは、支配され搾取される者たちが、ピラミッド組織に疑問を抱かずに盲目的に階層ごとの平均値に安住することこそが重要な要素です。

  情報管理によりピラミッド組織の階層ごとに常識が形成されます。

  例えば土地は本来は地球のものであって、誰のものでもないはずですが、常識でそれすらも判断が出来なくなっているのです。

  仕事も上司から命令されて与えられるものではなく、自分で今日は何をするのか自由に決めるべきものだったはずです。

  また、次世代の教育や育成も、常識を形成するための情報管理面で重要な競争です。

  個人をより細かいレベルまで分離して互いに競争させ嫉妬させ忙殺させ疲弊させることが、盲目化を促進します。

  男性と女性を男女平等の下に競わせ、同学年の友人と学校の偏差値やスポーツで競わせ、同期と出世争いで競わせ、隣の部署と業績評価で競わせ、隣の派閥と役員ポストで競わせ、隣の企業と売上シェアで競わせ、他の業界と買収で競わせ、他の国とも競わせるのです。

  情報管理の競争で敗れると世論が新しい方向に偏り、結果としてピラミッド組織を崩壊に導きます。

  これが情報戦争とも言われる理由でしょう。

  選挙なども情報の扱い方と組織票をどう集めるかが重要な要素です。

  組織票は特定の組織の便宜を図ることで集めることは可能ですが、情報の扱いは少しの判断ミスでも致命的になります。

  現在はコンプライアンスやハラスメントなども多岐に渡りますので、陰謀にも対処するには常に全方位へ神経を配らせる必要があるのです。

  その結果、より狭い範囲の専門分野に特化した専門家の組織が増えているのではないでしょうか。

  情報管理面での大事な要素の一つに霊的な覚醒による神々や外宇宙の存在とのチャネリングもあります。

  こうした外部の突出した存在からの情報はピラミッド組織の維持に極めて深刻な問題を引き起こします。

  霊的な覚醒を防ぐために、過去の時代から膨大な量の対策が全方位で実施されていたのは、極めて当然の行為だと言えるでしょう。


  次にインフラ管理です。

  インフラ管理とは道路や水道光熱もそうですし、食料、医療、軍隊なども含めた管理です。

  インフラ管理は都市部での生活の利便性や安全性を提供しますが、結果としてピラミッド組織との関係性を強化されるのです。

  インフラの恩恵を都市部に偏らせ、人口密度を上昇させ、他人の顔を見えなくすることでエゴと競争は強化されます」


 なんだかこういう話をされると当たり前のことが怖くなってきた。

 相手の常識は非常識なんて言葉があるけど、たしかに別の視点で見ると必ずしも常識には見えないのかもしれない。



 織田教授は少し変わった話を始めた。

 「それでは少し話が外れますが、悪代官やブラック企業の経営者のような悪名高いトップの特徴についてお話をさせていただきましょう。

  悪名高いトップには次のような特徴があります。


  ・無限に貪欲で、大胆で野望に満ち、疑い深くあらゆる怒りに満ち、勝利した自分こそが神の如き正義だと信じている。


  ・人としての礼儀は高級ブランドの服装による身だしなみだと考え、他人の価値を富の量と権力の強さで定義し、利用する価値が高い相手に近寄るが、本気で友達として交際する気は無く、相手が失墜すると興味を失って離れる。


  ・傲慢で自分で作ったルールを他人に強制し、他人が守らないと激怒するが、自分はルールを守らず、自分の都合で勝手にルールを改定する。


  ・罪深く、暴力が禁止されても、許される範囲で言葉の暴力などを振るい、自己の行動に対して責任意識が希薄。


  ・利用価値がある相手に対しては、感受性豊かで魅力的で、愛に満ちて共感し、敬虔に後悔しているかのように振舞うが、本意ではなく、利用価値が下がれば演技をやめて本性をあらわす。


  ・貪欲で意地悪く不誠実で、悪い取引や、悪い収入でも気にせず、相手にわずかに残った資産すらも根こそぎ奪おうとする。


  ・道徳的に悪くても富や権力に貢献するかどうかで判断し、悪い教育や悪い思想を植え付け、忖度する仲間を増やし、虚偽でも論争に勝利を収める。


  ・あらゆる恐れが無く偽宗教的であり無神論者であって、自分自身は特別で全てが許されると考え、風呂に入れば浄化されると思っている。


  ・人として部下などに愛想を尽かされると、昇進昇格や褒章金や飲食会などで強引に他人を自分に引き付けようとする。


  ・組織が本質的な問題に無関心や無為となり、成果結果主義に偏っても良い傾向だと気にならない。


  ・異常な欲望に偏り、異性には美と快楽と世間体を求め、他人に人としての尊厳を感じていない。


  どうでしょうか面白かったでしょうか?

  身近な方に、こういった方はいますでしょうか。

  人として本質的にとてもいい人が、このような者を下手に信用して近づくと、確実に心を病み、心が折れるのも無理が無いでしょう。

  相手の射程距離に入って下手に仕返しなどしても逆効果で、相手が嬉々として反撃してきます。

  挑発されても乗らずに放置して、距離を置いて視界に入りさえしなければ、こうした集団は勝手に内部で争って崩壊します。

  特に強度が強ければ強いほど、内部が崩壊する速度も非常に早い特徴があります。

  内部で抗争が進むと派閥関係や利害関係も変わりますので、逆に甘い声で派閥の仲間になってと言ってくるかもしれません。

  まぁこういうのには近寄らないに越したことはないですし、早く立ち去って足の裏の汚れを払うべきでしょうね。

  あとは自分自身のことも、つい同じような事をやってしまっていないか振り返ってみると良いでしょう」


 ちょっと嫌な話を聞いちゃった。

 たしかに嫌な先生とかにあるあるだけど、自分も他人の事をあれこれ言えるか微妙だわ。



 織田教授は、善悪について話を続けた。

 「罪とは何でしょうか?

  罪とは殺人や窃盗やルール違反なども当然ですが、本当にそれだけでしょうか?

  罪とは、低次元のエゴの欲求によって支配され、その低い「波動」のエネルギーを他人に対して放出することだと整理します。

  低次元のエゴの欲求とは、表の感情である怒り、批判、侮辱、傲慢と、裏の感情である恐怖、拒否、疑問、偏見などのことです。

  罪が積み重なると社会や人間関係に分離を生み出し、混乱と争いを起こします。

  そして悪とは、罪に加え、絶望、悲しみ、無情、孤独、虚偽、不履行などを加えます。


  一方で愛とは何でしょうか?

  愛とは他人を喜ばせるプレゼントを与えることだけでしょうか?

  愛とは、高次元の愛の欲求によって支配され、その高い「波動」のエネルギーを他人に放出することだと整理します。

  低次元の愛の欲求とは、信頼、共感、受容、同情、憐み、赦し、崇敬などのことです。

  愛が積み重なると社会や人間関係に調和を生み出し、秩序と平和をもたらします。

  そして善とは、愛に加え、希望、喜び、至福、安寧、真実、誠実などを加えます。


  人間の脳は、課題である葛藤、混乱、衝撃、苦悩などで活性化し、課題を乗り越えることで、理解、感謝、喜び、調和を学びます。

  個人に合った人生の周期の中で、善悪を交互に体験し、螺旋状の渦巻のように上昇していくことになります。



  それでは、ここからは無意識の間に現代社会を蝕む悪魔的な手法を、しっかりと認識して理解し、新しい社会を切り開くために少し深堀りしていきます。


  現代社会を蝕む典型的な悪魔的な手法は次の通りです。


  ・目には目を歯には歯を当たり前と考え、怒りと憎しみと妬みに任せた報復的な思想を当然だと思わせるように仕向ける。

   本当にそうでしょうか?

   あなたは何かを本当に失ったのでしょうか?

   高い「波動」の人生を歩むためにも、復讐する以外の愛と赦しの思想は必要ないのでしょうか?


  ・このままではこのような恐怖が訪れ後悔するが、こうすれば安心して満足感を得られるから大丈夫だと思わせるように仕向ける。

   本当にそうでしょうか?

   例えば膨大な数の添加物を食品に入れて毎日たくさん食べた方が、本当に安心で満足なのでしょうか?

   高い「波動」の人生を歩むためにも、そのような甘い誘導に従うことは本当に必要でしょうか?


  ・人間は生きるために金が必要であり、疑問を感じる時間の余裕を一切与えす、金を稼ぐために日の出から日の入りまで労働をするのは当然だと思わせるように仕向ける。

   本当にそうでしょうか?

   高い「波動」の人生を歩むためにも、金を稼ぐこと以外の何か人生の目的はないのでしょうか?


  ・愚かな人間を導くためにピラミッド型の社会組織は必要不可欠であり、組織の頂点にいる権力者は聖人の賢者であって、尊敬と税を集めるのは当然だと思わせるように仕向ける。

   本当にそうでしょうか?

   あなたは権力者に本当に依存しているのでしょうか、それとも権力者があなたに依存しているのでしょうか?

   高い「波動」の人生を歩むためにも、使役され搾取されることが前提のピラミッド型の社会組織以外の組織はないのでしょうか?


  ・権力者は愚かな人間を養っている偉大な聖人であり、自分を尊敬し、自分を褒めたたえ、自分の意向に逆らうと不幸が訪れるように仕向ける。

   本当にそうでしょうか?

   あなたの口から出る愚痴と恨みの根源は何ですか?

   高い「波動」の人生を歩むためにも、そのような権力者に無意識に従って認められることは本当に必要でしょうか?


  ・権力者の組織に、人生の全てを捧げ、多くの苦難を背負って貢献した者には、餌となる栄光が与えられると思わせるように仕向ける。

   本当にそうでしょうか?

   高所から冷静に眺めて組織の本当の目的は何か理解しているのでしょうか?

   高い「波動」の人生を歩むためにも、そのような権力者に貢献して、同僚を出し抜いて出世するすることは本当に必要でしょうか?


  ・神の予言のような権力者の言葉に、希望を絶望へ変える言葉、恥ずべき罪悪感を受け付ける言葉、後悔させ価値が無いと萎えさせる言葉を入れて、恐れを抱かせるように仕向ける。

   本当にそうでしょうか?

   あなたは真実の眼で視て、本当に哀しみ失望するようなことをし続けていたのでしょうか?

   高い「波動」の人生を歩むためにも、そのような虚偽の言葉を信じて恐れ続ける以外の人生の道はないのでしょうか?


  典型的な悪魔的な手法は、人間の心の闇と隙間に侵入し、本人の意識を乗っ取るのです。

  個人で出来る対策としては、相手の手法を認識して毅然とした態度をとり、自分自身に心の隙間を作らないことが重要です。

  現代人には膨大な量の施策が投下されていますので、全てに抵抗することは難易度が高いですが、徐々に目覚めなければならない時期ではないかと感じます」


 なんだか考えさせられる難しい話だわ。



 織田教授は、正面のプロジェクターに縄文時代の風景を投影してから再開した。

 「皆さんは日本の縄文時代のことをご存じでしょうか。

  学校の授業でも、ほとんど説明が無いので住居や貝塚、土器、埴輪ぐらいしか教わらないのではないでしょうか。

  縄文時代は、数千年の期間においてほとんど戦争が無かったと言われています。

  また、発掘された骨の傷跡から見ても、犯罪すらほとんど痕跡がみつから無かったというのが驚きです。

  この驚くべき大調和社会の縄文の文明を少し紐解いてみましょう。


  まず世界の文明の中でも特殊だった理由の一つは、縄文の人々が古代文明の南東の大陸から血脈を受け継いでいることでしょうか。

  この南東の大陸の人々は極めて霊性が高い素養がありました。

  次に縄文の文化の最大の特徴は所有という概念が無かったことです。

  これは環太平洋の島々の南東の大陸の流れを受け継ぐ古い文化にも共通します。

  この南東の大陸は、現在の学説では完全に否定されていますので、あまり大学の中では大きな声では言えません。

  ただし、南東の大陸を頭から否定しては、環太平洋の島々の古い文化の共通性を説明するのが困難なのです。

  大陸から木を削った丸太を並べただけの船で太平洋の荒波を移動して移住したとの説が言われています。

  あなたそんなの本当に出来るならやってみてくださいよと言いたいですな。

  無人島を脱出するような企画でも、すぐに丸太の船なんか壊れて崩壊するし、隣の島すらロクに行けないんじゃなですかね。

  日本人と見た目がそっくりな人々が、環太平洋上の北中米や南アジアの標高がやけに高い地帯に散らばっているのを不思議に思ったことは無いでしょうか。


  次に縄文の文化について掘り下げてみましょうか。

  所有が無いとはどういうことか。

  土地は大地からの借り物であって、特定の土地に拘束されたり争奪する必要はありません。

  当然ながら土地の所有権に由来する上下関係など生まれません。

  所有が無いため通貨もありません。

  収穫物は得意分野ごとに異なる物を持ち寄り配分します。

  交換するという概念は所有が生み出します。

  大地からいただいた恵みに感謝して皆に配分するだけです。

  狩猟や農耕もあったようですが不必要な分まで強欲に所有する発想はありません。

  したがって他の動植物とも調和して循環していたはずです。

  所有の富裕の差による上下関係など生まれません。

  上下関係が無ければ競争も限定されます。

  人心も穏やかでストレスも少ない社会だったはずです。


  結婚という概念も希薄だったようです。

  結婚、世襲、相続は所有という概念が前提として存在します。

  子供は村全体で育て、教育します。


  この縄文の人々は大陸から弥生の人々が流入し、土地を追われ、北と南の果てに逃げ延びます。

  また、一部の縄文の人々は弥生の人々と融合して飲み込まれていきます。

  弥生の人々は、大陸から所有の概念を持ち込みました。

  そして先ほどのピラミッド組織を日本に持ち込み、激しい戦争が続く時代を生み出しました。

  弥生の人々と縄文の人々の融合により、徐々に霊性の高さも失っていきます。

  ただし技術的には霊媒師などに受けつかれていきますので消失はしませんでした。


  似たような歴史で江戸時代もあります。

  江戸時代は縄文の文化の良さを改めて取り入れた調和された社会でした。

  この調和された社会を維持するために前提条件であった政策が、鎖国だったというのは、判断としては難しい問題だったのではないでしょうか」


 以前にも似たような話を聞いたけど、縄文時代ってこれはこれで極端よね。

 一昔前の指相撲みたいに人の頭の踏み付け合いしながらお金に群がる守銭奴みたいな時代もどうかと思うけど。

 どっちもどっちだわ。

 白黒というか陰陽をそこまでハッキリさせる必要ってあるのかしら。

 もっと中間って言うか、中庸って発想無いのかしら、どっちも極端過ぎるのよ。

 人類って何億年もいったい何してるのかしら。

 本当にバカは死んでも治らないって言うけど、あと何百回も輪廻転生しなきゃ治らないのかしらね。



 織田教授の話は続いた。

 「エゴは競争、破壊、支配を永遠に繰り返します。

  他人との相対的な不満や怒り、飽くなき欲望、生死に影響する恐怖は、競争を激化させ科学技術を発展させます。

  こうして飽くなき欲望のままに都市が膨張し、自然は破壊され、抑圧されたダークサイドな重い「波動」が蔓延しているのです。

  重く低い「波動」を続けると疲弊してエネルギー不足を生み、さらに他人のエネルギーを奪う必要に迫られます。

  逆に楽しいことは時間が過ぎるのが早く疲れないのです。


  片側で、こうしたピラミッド組織に抵抗する者は、表立っての抵抗では勝ち目が無く反乱分子として逮捕され迫害を受けますので、分散して地下に潜伏し、より発見が難しくなります。

  過去に存在した地下の抵抗組織は、既存の組織とは情報管理面での競争が大半だったとも言えるでしょう。


  エゴによるピラミッド組織の競争から脱出するには、どうすれば良いのか。

  これは歴史の中から結論を見出すのは難しいかもしれません。

  重く低い「波動」で既存のピラミッド組織に抵抗して戦っても、より重く低い「波動」にエゴで勝つのは困難でしょう。

  特定のスポーツの世界チャンピオンに勝つには、異種格闘技戦と同じでルールを変えるしかありません。

  例えば、走りに勝つには泳ぎで勝負し、船に勝つには飛行機で勝負し、銃に勝つにはペンで勝負するのです。

  つまり重く低い「波動」に勝つには、軽く高い「波動」で勝負すれば負けないということです。

  ピラミッド組織での労働や、物質と通貨の所有が好きな者に勝つには、家族友人との余暇による精神文化の体験で勝負すれば負けません。

  個人レベルで何に比重を置くのか、ルールチェンジをすることで、勝負の概念が嚙み合わなくなります。

  エゴとエゴで真正面から同じルールで競争するから勝ち負けが生まれますが、噛み合わなければ競争にもなりません。

  個人の精神的なワークライフバランスが変わり、個人の生活の中心がオタク文化に代表される趣味に変われば、自然に軽く高い「波動」へと変わっていくでしょう。

  ただし、オタク文化の中にもエゴの競争を起こしマウントをとろうとする者は後を絶ちません。

  しかし、そういったエゴの競争に疲弊した者たちは、マウントをとろうとする者に対しアレルギー的に弾劾する風潮があるのではないでしょうか。

  これこそが新しい時代のルールチェンジの在り方ではないでしょうか。

  波長同通の法則により「波動」が合わない者たちは、互いにすれ違います。

  軽く高い「波動」の社会では純粋な愛により人生を楽しむことが重要です。

  したがってエゴによる競争は「波動」の高さが合わないのです。

  大衆文化が優位な時代では自分の推しのアーティストや作品をランキングの上位に押し上げることも大事でしたが、SNS時代では集団の粒度が日増しに細分化されています。

  その結果、純粋な愛が強まり推しと一緒に過程を自由に楽しみ、エゴの競争による支配や恐怖は希薄化しているのではないでしょうか。

  他人への奉仕に等価の見返りを求める行為は通貨制度に長期間どっぷり浸かった影響です。

  難しく考えずに、純粋な愛でお互いに当たり前のように笑い楽しむことこそが大事な行動変化だと言えるでしょう。

  そして自分自身をピラミッド組織のエゴの競争から脱落することを赦して愛し、強く握りしめていたものを手放すことでしょうか。

  霊的な覚醒をした軽く高い「波動」のアーティストや作品と同調することは、自分自身の「波動」も変化します。

  そして高い「波動」は霊的な覚醒を促し、霊道を開き、そして新しいインスピレーションを得て、常識すらも変えるのです。

  インスピレーションは直感ちょっかんとも言いますが、昔は直神ちょっかんとも書いたようです。

  結果としてエゴから愛へ個人の中の比重が変わり、自然環境の破壊なども自ずと収束していきます」


 たしかに最近は世の中のルールが大きく変わってきているかも。

 昭和だとスターを全員で崇める感じだけど、もっと共存関係になってきて、はっきりした上下関係じゃない感じよね。



 織田教授は情報統制について話を始めた。

 「さて少し話が脱線しますが、情報統制についても話を触れておきましょう。

  過去に宇宙からの小型探査船が墜落したと言ったような都市伝説がありました。

  ところが、最近の小型探査船は反重力の技術を基礎として動いているため、墜落などという概念がそもそも無いとも言われています。

  小型探査船が墜落したという都市伝説は、その情報を流した者たちの意図を疑うべきでしょうか。


  また宇宙からの小型探査船が、特定の国でしかも夜間のみ目撃されたという情報だけが公開されていますが、何か違和感を感じないでしょうか。

  他の国では情報統制が堅固で、政府の公式見解で小型探査船の存在は全否定されています。

  世界の全てのパイロットには情報管理に関する厳しいルールが課されているとの話もあります。


  陰謀論と言うのは、権力者たちが困る肝心の中核部分に注目されないように、意図的に焦点をズラした情報を、自己顕示欲と正義感が強いアンチ達に流すことで、大衆を歪んだ流れに扇動して誘導することで成立させます。

  その後はアンチ達が動いた後で、偽装したキャリアを持つ権威的な専門家に支持する発言をさせると、大衆は盲目的に信じる傾向があります。

  当然ですが、こうした権力者に都合の良い権威的な専門家は、権力者たちから相応の金銭的な支援を受けています。

  そのため収入源が不透明なのに、不可解なほどの情報発信力を持っている権威的な専門家が存在すると思ったことはないでしょうか。

  しかもそれらの専門家は、討論をしても一切の妥協が無く、極端に偏った発言を機械のように繰り返します。

  専門家と言いながら、やけに発言の専門性が浅く、とても相応の学歴を持つような知性を感じさせない者も多いのではないでしょうか。


  こうした手法は、従来の大衆メディアからSNSの時代に変わっても一定期間は通用しますが、ダムに空いた穴は、徐々にコントロールを失い、いつか決壊することになります。

  理由は情報をコントロールするための実働部隊が意外と少なく、時間の経過により他の案件も増えて、徐々に古い案件に手が回らなくなるからです。

  また実働部隊の中にすらも在籍する噂話が好きな人々の、全ての口を亡くなるまで塞ぎ続けようとしても無理があるのです。

  ただし歪んだ共通の顕在意識は、同じ認識を持つ人数が増えて、期間も長期間に及ぶほど、共振して未来を創造してしまう懸念があるため、いつまでも悠長に放置は出来ません。

  適切なタイミングで介入して、世論を正しい認識に誘導する必要もあることでしょう」


 たしかに意味不明な権威の専門家がメディアに出て、めっちゃ偏った話をしているのって見たことあるわ。



 織田教授は政治体制について話を始めた。

 「それでは次に政治体制の違いについてお話をさせてもらいましょうか。

  今日は古い時代の仕切りの考え方だけではなく、新しい仕切りの考え方をご説明しましょう。


  1つ目の社会政治体制は次の通りです。


  ・旧時代の概念・・・王制政治と政党政治


  ・新時代の概念・・・階層世襲主義と階層自由主義


  旧時代の概念では王や貴族などが政治を担うのか、選挙で選ばれた政党が政治を担うのかという概念でした。

  しかし政党や大企業の経営者も今となっては世襲により王族や貴族と実態が変わらない状況です。

  新時代の概念では階層の代表者を親族の世襲主義で担うのか、所有をリセットして自由主義と実力で担うのかという概念に変化するでしょう。

  親族の世襲主義は、国や企業を問わず、必ず地球の周期の影響を受けて衰退期が到来します。

  この衰退期は社会全体を閉塞化させ旧体制を滅ぼすのです。

  新時代の概念では所有をリセット&リスタートすることで新たな周期を生み出し、活気ある組織が次々と生まれるのです。


  2つ目の社会経済体制は次の通りです。


  ・旧時代の概念・・・資本主義と共産主義、分離主義と共和主義、帝国主義と王国主義


  ・新時代の概念・・・競争主義と調和主義


  旧時代の概念では企業が自由に競争するのか、政府が主導して計画的に生産して配分するのかという概念でした。

  もう1つの概念としては、個別の企業に分離した組織で運営するのか、政府を中心に統合された組織で運営するのかという概念があります。

  しかし資本主義も今となってが資本の集約と複雑な出資関係により一部の企業グループに経営権が集中し過ぎています。

  もはや資本主義の方が共産主義に近いのではないでしょうか。

  新時代の概念では、競争主義で進めるのか、所有をリセットして調和主義で進めるのかという概念に変化するでしょう。


  よりアグレッシブな陽の人材を活かすには階層世襲主義と競争主義でなければ破綻します。

  アグレッシブで貪欲に所有を求め続け、蓄積した資産と権力を世襲で引き継ごうとする性質をどうすべきなのか。

  こうした陽の人材はアグレッシブに活動が阻害されなければポジティブです。

  しかし阻害される要因があると、恐ろしく敵対的でネガティブな行動をします。


  逆に調和的で相互扶助を重んじる陰の人材を活かすには階層自由主義と調和主義でなければ破綻します。

  世襲で縛られ適正が高い人材が自由に代表者に推薦されなければ調和主義は継続が不可能です。

  そもそも調和的な陰の人材は、アグレッシブさが無く、貪欲に代表者のポストを奪いにいきません。

  階層が世襲で支配され自由に調和的な活動が出来ないと、ネガティブで厭世的になり、世間から距離をとり隠遁生活をする者もいます。

  周囲の人々が尊敬する人材を推薦して、無理にでも代表者のポストに就任してもらう必要があるのです。  

  逆に所有という概念を放棄して全てを陰の調和主義に偏らせると社会全体の活気ある発展を阻害し安定に堕落します。


  陽と陰の性質が違う人材を社会の中でどうやって共存共栄させるのかが、まさに人類全体の課題です。

  新しい時代では、陽と陰の大調和、西洋と東洋の大調和がテーマです。

  昔から人材活用についての重要なヒントはありますが、それは適材適所と言う言葉に収斂するでしょう。

  つまり人材の適正に応じて、もっとも活躍が出来る場所へ配置するということです。

  まずは社会全体で、人材の陰陽ごとの性質を確りと明文化して認識する必要があります。

  そして社会全体で、人材の陰陽ごとの適材適所の在り方を高度な知見で整理していかなければなりません。


  さてさて、何か皆さんの人生のヒントになりましたでしょうか」



 こうして社会学の特別公演は終わった。

 スピリチュアルな話と社会学が混在した不思議な話だった。

 それにしても常識の認識が変わって色々と考えさせられることも多い授業だった気がする。


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