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X線って骨だけじゃなくて人生までも写すのか#2

作者: ぶろきしまる

2次放射線:増感紙


(はぁ〜今年も独身でこの日を迎えたか…

私、大角六津子[ダイカク ムツコ]は港区でバリバリ働くキャリアウーマン。今年も年に一度の身体のメンテナンスで人間ドックに来ている。)


アテンド『大角様、次はレントゲン検査です。こちらでお掛けになってお待ち下さい。』


(年々人間ドックの数値が悪くなっていくのを見るのは憂鬱なのよね…)


男技師A『大角様、胸部の撮影をします。こちらへどうぞ。』


大角『はい!お願いします。』


男技師A『•••お願いします。千両リツと言います。』


(あぁ…今年はハズレか。去年は爽やかイケメン君だったけど、今年は無愛想君か。でも、声は渋くて良いわね!)


リツ『こちらの台に胸をつけて下さい。』


(身体の芯がうずく声だわ。)


リツ『少し顎をあげますね。』

グイッ


(えぇっ⁉︎いきなり顎クイ⁉︎これが噂の⁉︎)


リツ『それでは手の甲を腰につけて肩を前に出して下さい。』


(この体勢…腕を後ろで固定されて、胸を台に押し付けられて…まるで…まるで…)


リツ『大角様、お上手ですね。』


(お上手⁉︎彼は今どんな気持ちで私の無防備な後ろ姿を見ているの⁉︎)


リツ『大きく息を吸って…止めて下さい。

ピーッ。楽にして下さい。

続いては横向きで撮影します。私の方を向いて下さい。』


(あら、この子よく見ると切れ長の鋭い目をしてるのね。)

パチッ

(いやん、そんな鋭い目で見つめないでぇ!)


リツ『それではこちらに捕まって、お顔は真っ直ぐ向いたまま腰を後ろに引いてください。』


(何よこの格好!さっきよりも恥ずかしい格好じゃない!お尻まで突き出させて…まるで…まるで…)


リツ『大きく息を吸って…止めて下さい。

ピーッ。楽にしてください。

お疲れ様でした。椅子にお掛けになってお待ち下さい。』


(もう終わり⁉︎もう少しあの声で責められたかったのに…でもまぁ悪くなかったわね。)


アテンド『大角様、次はバリウム検査です。あちらでお掛けになってお待ち下さい。』


(はぁー次はバリウムか…苦手なのよねー。便秘にもなるし…)


男技師B『大角様、こちらへどうぞ。よろしくお願いします。千両ケイと言います。』


(あら、今度の子は可愛い顔してるわね!結構タイプだわ!…ん?)

大角『…千両?』


ケイ『あっ、先程レントゲンを担当したリツとは双子なんですよ!似てないですよね!二卵性です。』


大角『そうなんですね!同じ職業で同じ職場なんて仲良しなのね!』


ケイ『たまたまというか…気づいたらずっと一緒でした!』テヘッ


(あぁ…ケイ君は仔犬みたいでたまらない!この笑顔だけでご飯3杯はイケるわ!)


ケイ『すみません、余計な話を。検査始めますね!まずは発泡剤を飲んでいただきます。』


大角『…これね…』


ケイ『あっ、発泡剤苦手ですか?喉の奥に入れて飲むと良いですよ!』ニコッ


(喉の奥に入れてですって⁉︎可愛い顔して強引なのね…いただきます!)

ゴクッ


ケイ『大角様!上手く飲めましたね!』ニコッ


(この子わざと言ってるのかしら?私の受け取り方がおかしいの?)


ケイ『次はバリウムを飲んでいただきます。まずは一口飲んで下さい。』


ゴクッ

(これも苦手だわ〜独特の臭いと喉越しが…)


ケイ『大角様、味わうと美味しくないので、一気に飲みきっちゃいましょう!』


(可愛い顔して強引に飲ませるのね…いただきます!)

ゴクゴクゴクゴクッ


ケイ『大角様、全部キレイに飲んでいただきありがとうございます!そちらにティッシュがあるのでお口を拭いてください。』ニコッ


(………ダメだわ、全部いやらしくしか聞こえない…欲求不満ね。)


ケイ『今度は台を倒して胃の撮影をします。』


(大角六津子、無心になるのよ!元素記号を頭に思い浮かべるのよ!H、He、Li、Be、、、、)


ケイ『…それでは最後にこの棒でお腹を押して撮影します。痛みがあったら教えて下さい。』


(ケイ君の棒…ケイ君が棒でお腹を押す⁉︎強く押すの⁉︎優しくしてー!)


ケイ『大角様、お疲れ様でした!今日はたくさん水分摂ってバリウムが固まらないように気をつけて下さい!』


(可愛い顔に強引にされるギャップに悶えていたら、あっという間に終わったわ。)


[退室]

ケイ『あちらの待合でお掛けになってお待ちくだ…あっ!リツ』


(えっ⁉︎さっきのリツ君⁉︎双子君揃っちゃったの⁉︎)


リツ『あっ、大角様。うちのケイが失礼なことしませんでしたか?』


(失礼なことなんて…むしろ私が失礼な妄想を…)


ケイ『リツ、変なこと言うなよ!大角様は発泡剤もバリウムも飲むの上手で、スムーズに検査出来たんだから!ねっ、大角様?』


大角『そうね、リツ君も上手だったわよ!』


ケイ『ほらみろっ!リツはすぐ…』

リツ『ケイ、もう行くぞ!』


リツ•ケイ『大角様、本日はお疲れ様でした!』ニコッ


(今年も独身で迎えた人間ドック。

そこで出会った双子の千両兄弟。

最後にはまさかの2人揃って可愛いやり取り…

独身貴族でも良いじゃない!

欲求不満だって言われたって良い!!

今日もご飯がすすみます!!!

ごちそうさまでしたっ!!!!)

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