92/132
92
不安で眠れない夜を何回過ごしてきただろう。
体を冷やさぬように、上着を羽織り、キッチンに立つ。
ミルクパンに牛乳を注ぎ、ブランデーを一滴し。その時々で砂糖やハチミツを入れる。
ほかほかと立つ湯気は、眠れぬ事を咎めず、ただ受け入れてくれているかのように思えた。
マグカップにホットミルクを注ぎ、ふぅっと息を吹きかけて冷ましてから、時間を掛けてそれを飲み干した。
程よく温まったのは体だけではなく、心もなのだろう。
少し軽くなった心を胸に、布団に潜り込んだ。
眠れずとも、ただただゆっくりと時間が過ぎるのを感じ、朝を待つ。
今日もそうして朝を迎えた。