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ふわふわと甘く溶けるような物語は、あまりにも現実を見ていないようで、幸せしか存在しないと思い込んでいるような夢に見えてしまう。
チクチクと刺さるような物語は、現実のように見えて、それでも現実からほど遠くて、本当を見ていないような、悪夢のように見えてしまう。
現実は、物語のようには終わらない。主人公なんていない。誰かの世界なんかじゃない。
誰かが見る夢でも、誰かが見せる夢でもない。
分かってる。分かっているけど、私の人生は私のもので、私が主人公で、私の物語だ。
時には甘く、時には痛く、時には優しく、時には悲しく、時には美しく、時には醜い。
それでも、誰かが綴る物語じゃない、唯一無二の人生だ。