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しんしんと降る雪は怖いくらいに白い。
その白さは全てを無に帰すんじゃないかって思う程だった。
いつまで降り続けるか分からない雪に怯えて過ごす夜は無限に思える程に長い。
長くて長くて、一刻も早い終わりを願ってしまう。
雪は私にとっての恐怖だというのに、人によっては綺麗なものだと思うようだ。
雪にはしゃげる人は雪の怖さを知らないんだろう。
それが人の命を奪うことがある事をきっと知らないんだろう。
事実を目の当たりにすれば、きっと怯えることだろう。
知らないというのは幸せなのかもしれない。




