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雪は音も吸い込んでしまうらしい。
そこには何もなくて、真っ白で、きっと私も消えてなくなる。
最初こそ、寒さも感じていたのに、今じゃもう、何も感じないの。
誰も助けてくれやしない。
奪われていくだけ。
私のか細い声なんか、雪が飲み込んでいく。
そこは真っ白な地獄だ。
その地獄は、私から声も、体温も、気力も、何もかもを奪っていく。
吹雪けば吹雪く程、私から奪っていく。
奪われつくしたら、私はきっと終わりなんだろう。
その真っ白なものは、本当に雪なのだろうか。もしかすると、ただの白い悪魔なのかもしれない。