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ぼーん、ぼーんと、あの大きな時計台が音を鳴らす。
毎日同じように音で時間を知らせるその時計台は休んだことがない。
けど、その時計台の時間は正確ではない。
それに人々は気付かず、当たり前のように過ごしている。
少しずつ狂いだした時間は誰にも戻せない。
だって、気付いていないのだもの。戻せるはずがない。
忙しなく働く人も、のんびりと過ごす人も同じ時間を過ごしていながら、時計台の狂いには気付かない。
気付かないって幸せね。信じているものが正しいと思うものね。
いいわね、本当に。
気付いてしまったら、色んなものが崩れてしまうの。
だから、時間が狂っているはずなのに、私が狂っているような扱いをされるのよ。
この狂いを止められる人は誰もいない。
さあ、気付いたのなら、あなたもこちら側の存在よ。一緒に狂った扱いを受けましょう。




