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麗しの君。
あなたは気高くて、清廉潔白で、真っ直ぐで、豪胆で、俺の持っていないものを持っていました。
だからこそ、あなたに魅かれたのです。
けど、あなたにとっては、あなたの持っていないものを持っている俺は憎くてたまらないでしょう。
あなたが手にしたくても、一生手にする事の出来ないものばかりを持っているからこそ余計なのでしょう。
鋭い目が俺を射抜く度に思うのです。
ああ、この目は俺の心も射抜いてくる、と。
そこに愛はいりません。
憎悪で構いません。俺の事を忘れないでいてくれたら、それで構いません。
だからこそ、こちらの想いを伝えましょう。「愛しております」と。




