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私は、雪のように白い肌も、黒檀のように黒い髪も、血のように赤い唇も持っていない。
だからこそ、それを持つ彼に魅かれたのかもしれない。
それでもこの想いを伝えるつもりなんてなっかった。
きっとこの想いは迷惑で、実る事はなくって、なかった事にしてしまわなければいけないものだった。
なのに、あの女は彼をまるで自分のもののように扱っていた。
あの女は私の持っていないものを全て持っているような気がした。
白磁の肌も、豊かな髪も、桜のような唇も、ちっとも羨ましくなんかなかったはずなのに、それを持つ貴女は何でも手に入れていた。
ずるいと思ってしまう。
そこから生まれた嫉妬心はあまりにも醜くて、伝えるつもりもない気持ちを吐き出してしまいそうになる。
お願いだから、私を狂わせないで!