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声を、聞きたいと思いました。
今まで、貴女の事は気にしていませんでした。
それなのに、ある時を境に、貴女を目で追うようになっていました。
その度に、貴女は言葉を噛み殺すように唇を噛み締めていました。
それが痛ましくて、悲しくて、だからこそ、貴女の声が聞きたくなりました。
貴女の言葉で貴女の心が知りたいのです。
けど、その願いが届く事はないでしょう。
今はこうやって顔を合わせる事もできる。けど、それもこの一瞬だけ。
これから先は交わる事のない運命。
だからこそ、僕の心は貴女に伝える事はできないのです。




