123/158
123
私によく似た少女が、私の愛する人に「パパ」と言って、駆け寄って抱き着く。
その様子は本当は微笑ましい光景なのだろう。
けど、胸の奥がざわつく。
その人は私のものよ、触らないで!
思わず叫んでしまいそうになる。
それを悟られないように、完璧なまでに自然な笑みを浮かべて二人を見つめる。
胸の奥では業火のように嫉妬心が燃え盛っている。
どうか、貴方もその子に微笑まないで。触れられることを許さないで。
そんな気持ちに気付かないで。
私はきっとおかしいんだわ。
貴方との間にできた大切で、愛おしいはずの子が憎くてたまらないの。
どうか、二人とも、そんな私の心に気付かないで。




