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あれだけ焦がれていた夢の中で過ごす事が出来たのに、目が醒めてしまったの。
そしたら、また次の夢の中に浸っていた。
それを繰り返すうちに、私は現実を捨ててしまったの。
ねぇ、現実はどう?
綺麗で優しい音楽に溢れているのかしら?
優しい言葉で溢れているのかしら?
いいえ、そんな事はないでしょう?
だって、私は夢に逃げてしまったんだもの。
辛くて、悲しくて、苦しかった。
夢の中で追い続けた夢もそうだった。
それでも、現実は夢の中以上に何も叶わなかった。
だから、告げたの。『現実のみなさま、ごきげんよう』と。