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私のよりずっと大きな手が私の頭に触れている。
温かくて、優しくて、ずっとこの時間に触れていたくなる。
けど、そんな甘えはきっと許されない。
眠ったふりをし続ければ、貴方はずっと私の頭を撫でてくれるでしょう?
普段、甘える事が許されない私が唯一甘えられる時間を奪わないで。
そう願うけれど、そんな願いは一瞬で奪われてしまう。
現実は甘くない。
私がそっと目を開けると、貴方は何もなかったかのように私から離れてしまう。
ああ、私の愛おしくて、憎い人。一生、呪いのように言葉を吐いてあげるわ。「愛してる」と。