12/132
12
一夜を共にした彼は穏やかな寝息を立ててベッドの中にいた。
私は彼が眠っている横で、彼が下品だと嫌う真っ赤なルージュを唇に引いた。
そして、厭味ったらしく彼の額に口付けた。
落ちたルージュは塗り直し、彼の嫌うはねたアイラインを引き、濃いめのアイシャドウで飾った。
そんな私の姿を鏡で見て、ニヤリと笑った。
貴方の嫌う派手な服に身を包んで、最後に置手紙をベッドサイドに残して、私はその場を去った。
『さようなら この世で最も嫌いなクソ野郎 ×××』
ああ、あの手紙を見た時の貴方の反応が楽しみで仕方がない。
それでも連絡を寄こされるのはこの上なく腹立たしいから、あなたの連絡先は決しておくわ。