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吐く息が白くなる。
こんな寒い日は暖かい家の中でのんびり過ごす方がいいに決まっている。
それなのに、君はどんよりと暗い灰色の空を見て嬉しそうに「雪が降りそうね」と言った。
雪なんて冷たいだけだし、何が嬉しいのか分からなかった。
だから、黙って頷くだけにした。
夜になると、ぐっと冷えて、君が望むように雪が降り始めた。
それを暖かな家の中で眺めていた。
君は雪が降っていることに気付くと、「雪~!!」と言って、はしゃぎだした。
何が楽しいのかよく分からない。
けど、こちらを見て、綺麗に微笑む君が「綺麗ね!」と言う姿は確かに綺麗だ。
だけど、雪より君の方が綺麗なんて歯の浮くような台詞が言えるわけもなく、黙って頷いた。
すると、君は突然抱きついてきた。
驚いていると、君は「外で降ってきてくれたら、外でもあなたにくっつけたのに」と言った。
その台詞に耳まで赤くなるのを感じた。
君がそれに気付かないはずもなく、君は楽しそうに笑いながら、より強く抱きしめてきた。