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風の唸り声が聞こえると、体が勝手に震えてしまう。
あの寒く、恐ろしい嵐を思い出してしまう。
あなたは覚えているかしら?
多くを奪ったあの激しく、強く、悍ましいあの嵐を。
どれだけの犠牲を払ったのかしら?
今だって救いを求める程のものだというのに、どうして平然としていられるのかしら?
もう、奪われるなんてまっぴらだし、あの悪夢は見たくない。
それでも強くない私はあの日の事を何度も夢に見るの。
長い長いあの悪夢からは未だに覚めていない。
だから、どうか私を目覚めさせて。