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澄み切った星空に手を伸ばしても星を捕る事はできない。
それでも君は空に手を伸ばす。
星空なんかより、その様子に目を奪われる。
純粋な目で星を眺めながら手を伸ばす様子なんて、本当は馬鹿らしいはずなのに、どうしてだろう? 君のことだけは微笑ましく思える。
他人の為に何かをするなんて馬鹿らしいと思うのに、君の為なら労力を割く事も厭わない。
ここに君を連れてきたのだって、君が来たいと言ったからだ。
別にお願いされたわけでもなく、君がぽつりと行きたいと零したからだ。
他の人が同じように言っても素知らぬ顔をしただろう。
なのに、どうしてだろう?
君の言葉だけは拾ってしまう。
そんな自分が一番馬鹿なのかもしれない。




