婚約破棄を破棄したい(注:王子談)
大聖堂の鐘がリンゴンと鳴り響いたとき、エリノアは絶望した。
初めて聞く音色なのに何度も聞いた覚えのある鐘の音。
たった今、大聖堂の鐘がギアロッド王国王太子アレックス・ギアロッドとクレスウェル帝国の皇女エリノア・クレスウェルの婚約が無事に成立したことを告げたのだ。
(ああ、これで私は……殺されてしまうんだわ……)
ベール越しにエリノアは隣に立つアレックスをちらりと見た。
エリノアの命運を握っているというのに、アレックスは冷めた表情で前を向いている。
意志が強そうな端整な顔立ちは目を引かれるが、きっと表情と同じように冷たい人なのだろう。
(以前の私は三度も夫に殺されたわ。これで結婚は四度目。今度こそ……今までの最悪な人生を思い出した今度こそ、夫に殺される人生は回避したい!)
十歳のときに毒を盛られて寝込んでいる間に思い出した過去の人生。
それからは部屋に籠って、できる限り殺されることのないよう対策を練ってきた。
周囲には信じてもらえなかったが、一人で頑張ってきたのだ。
エリノアは逃げ出したい気持ちを抑えて司祭の指示に従い、アレックスと向かい合った。
いよいよ、式も終盤である。
エリノアのベールで隠されていた顔がアレックスの手によってあらわになったとき、その場にいた皆は息をのんだ。
〝クレスウェルの至宝〟と呼ばれているエリノアの噂は真実だったと、皆が理解した瞬間だった。
腰までまっすぐ流れる髪は月の光のように銀色に輝き、深い湖のようなアイスブルーの瞳は繊細で、美しい顔立ちの中でひときわ目を惹きつけられる。
父であるクレスウェル帝国皇帝だけでなく、兄たちからも溺愛され、めったに人前に姿を現すことなく、皇宮の奥深くに隠されていたというのも納得だった。
その至宝を妻に――正確にはあと二年待たねばならないが――できるのだから、これほど喜ばしく誇らしいことはないだろう。
だがやはりアレックスの顔には喜びもなく、冷ややかな表情で正面へと向き直った。
そして二人は昼餐会が行われる王宮へと移動するために馬車に乗り込んだ。
馬車にはカーテンが引かれ、それぞれ侍従と侍女を伴っていたが、二人が口を開くことはなく、車内は沈黙が垂れ込めていた。
「――エリノア皇女、言うまでもないがこの婚約は政略だ。我が国が昨年の災害で食糧不足に陥らなければ、帝国に援助を乞うこともなく、この縁談もなかった」
「……はい」
ようやく沈黙を破ったアレックスが無情にも言い切ると、エリノアはしおらしく頷いた。
だがエリノアの侍女はアレックスの言葉にショックを受けているらしい。
それにはかまわず、アレックスは続ける。
「よって、私に過度な期待をしないでもらいたい」
「期待、とは?」
「あなたの我が儘を受け入れるつもりはない。もちろん贅沢をさせるつもりもない。何より、あなたには将来のこの国の王妃として、しっかり義務を果たしてもらうつもりだ」
悲鳴のような声を漏らして口を押さえたのは、やはりエリノアではなく侍女だった。
さすがに冷たいと思ったのか、アレックスの侍従も驚いている。
そんな重い空気の中でエリノアは口を開いた。
「期待なんて……するはずもありません。このたびの相次ぐ災害がなければ、援助の代償にと王太子殿下が私のような醜い娘と婚約することもなかったのは十分に承知しております」
「……ん?」
「もちろん、男性が一人の女性に縛られるのを好まないことも存じております。ですが、帝国に逆らえず私のような者と二年の猶予があるとはいえ、結婚の約束をしてしまわなければならなかったなど、王太子殿下にとっては苦渋の選択だったでしょう。しかも、このように大々的な婚約式を執り行うことになるなんて、さぞ屈辱であったはずです。ですがどうかそのお怒りは私にだけお向けください。すべて私が受け止めますので、私に仕えてくれている者たちへの暴力や叱責などは何卒お控えくださいませ」
「……は?」
「このユーラをはじめとして、皆に罪はありません。悪いのはすべて強欲な父と愚かな私なのです。ですからどうかご容赦くださいませ……」
エリノアは声を絞り出すように言い、うつむき震えている。
いったい何を言っているのかわからずに、アレックスがエリノアの隣へ問うように見ると、頭痛を抑えるように額に手を当てていた侍女がその視線に気づいた。
王太子と目を合わせるなど不敬であり、すぐに目を伏せようとした侍女を、アレックスは無言で押しとどめる。
それを察してか、エリノアはためらいがちに口を開きかけた侍女を――ユーラを庇うように抱きしめた。
「お願いです。どうかユーラを罪に問わないでください。私がこのような無礼な口をきいてしまったのは私だけの罪です。私以外の者には何の罪もありませんから、罰を与えるなら私だけだと、今この場でお約束くださいませ!」
「それは……」
どうすればいいのかとアレックスが口ごもりながらユーラを再び見ると、「とりあえず頷いてください!」と目で伝えてきていた。
普通は使用人が主人の罪をかぶるものであるが――もちろんアレックスには罰を与えるつもりなどないが――このおかしな皇女を前に動揺しつつも頷いた。
「――わかった。約束する」
「ありがとうございます!」
嬉しそうに礼を言ったエリノアは初めて笑顔を見せた。
それは慈悲深い女神の微笑みかと思えるほどに眩くも美しい。
その笑顔のまま、エリノアは続けた。
「それでは、私もお約束します。必ずこの婚約は破棄させてみると!」
「……え?」
「大丈夫です! この二年で結婚を阻止しましょう! 殿下が私などと結婚せずに、私のような愚かな者が王妃の位に就かぬよう力を尽くしますので、ご安心くださいませ!」
エリノアの言葉にアレックスは目を見開いた。
アレックスの侍従は口をぽかんと開け、エリノアの侍女は祈るように天を仰いだ。
エリノアは言うべきことを言えたといった様子でほっとしている。
冷静になるために、アレックスは心の中でゆっくり三まで数え、どうにか言葉を紡ぎ出した。
「……もちろん、我が国――ギアロッド王国はこの度の借りはきちんと返すつもりだ。しかし……私と結婚せず、あなたはどうするつもりなんだ? 帝国に戻って……」
「はい。帝国に戻れば役立たずと誹られるでしょう。また、すぐにでも別の方との政略結婚が待っていると思います。ですから、私はこの二年の間に逃げ出す準備をします」
「逃げ出す……?」
「あ、ご心配なさらなくても、殿下やこの国に迷惑をかけるような逃げ出し方はしません。戦を仕掛ける理由にならないよう、重々注意いたします」
アレックスにはエリノアの頭の中がいったいどうなっているのかさっぱりわからなかった。
からかわれているのかとも思ったが、エリノアはいたって真剣に見える。
どう答えるべきか迷い、三度エリノアの侍女に視線を向けると、彼女はまた「とりあえず頷いてください!」というように目で訴えていた。
「……心配はしていない」
「それでは、約束は守っていただけますね?」
「――ああ」
先ほど以上に満面の笑みを浮かべたエリノアは、噂どおり至宝と呼ぶべき美しさだった。
しかし、エリノアについての噂は容姿だけではない。
早くに母を亡くしたエリノアは、その美しさも相まって、父親である皇帝や兄皇子たちに溺愛され甘やかされて我が儘放題に育っている、と。
公式行事にも出席せず、部屋に引きこもっては贅沢三昧、数多く寄せられた縁談も嫌がり、周囲の者たちも困っていると聞いていたのだ。
しかも、この王宮に到着して早々、疲れているからとろくに挨拶もせず(これについては仕方ないが)、その後も部屋からいっさい出てくることはなかった。
そのため、アレックスでさえ式で初めてその顔を見ることになったのだから噂を真実だと思うには十分だった。
おそらく、結婚までの婚約期間を二年も設けて一緒に過ごすという異例の援助条件は、アレックスたち王国側に対する帝国の配慮なのだ。
二年もあれば、このたびの援助への返礼の目処も付くだろう。
どうしても我が儘なエリノアを受け入れられなければ婚約破棄してくれてもかまわない。
それでも、あわよくばこの面倒な皇女の嫁ぎ先が決まればいい、といった考えなのではないかとアレックスたちは考えていた。
だが生真面目なアレックスは、帝国への恩返しにと、婚約破棄などするつもりはなかった。
だからこそ、エリノアの我が儘を許すつもりはなく、この二年で少しでも王太子妃としての自覚を持つように少々厳しく宣言したのだ。
(言い方が悪かったのか……? 甘やかされて育ったために、私の言い方が恐ろしく、怯えさせてしまったのか? それで逃げ出すなどと言い出したのかもしれないな……)
アレックスがあれこれと考えているうちに、馬車は王宮に到着した。
うつむくエリノアに手を貸して馬車から降ろすと、侍女のユーラがちらりとアレックスを見る。
その顔は怒り半分、落胆半分といった様子だった。
隣を歩くエリノアは笑顔も消え、顔色悪く表情も暗い。
やはり酷い態度だったのではないかと、アレックスは後悔しつつ離れた。
昼餐会までわずかに時間があるため、それぞれ部屋で休むためだ。
そしてエリノアと隣り合う部屋へと入ったアレックスは、うろうろと室内を歩き回った。
ひと息つくべきなのだろうが、どうしても先ほどのエリノアの態度が気にかかる。
そのとき、来客を告げるノックの音が響き、侍従が対応に出れば侍女のユーラが立っていた。
「ユーラだったか……? エリノア皇女の傍にいなくていいのか?」
「はい。他の者に任せてまいりましたので……」
「そうか。ならあまり時間もないことだし、本題に入ってくれ」
「畏れながら、その前に一つ伺いたいことがございます」
ユーラがわざわざやってきたのは、先ほどのエリノアの言動についてだろうと、細かい挨拶は抜きに本題へ促した。
しかし、ユーラには質問があるらしい。
「何だ?」
「王太子殿下は、我がクレスウェル皇帝陛下より、エリノア様について何かお聞きになっておられるでしょうか?」
「……何か、とは?」
「その、取り扱い的な?」
「は?」
「あ、いえ。えっと、エリノア様のご性格と申しましょうか……」
「いや……。ああ、確か……『少々変わっているところがある』とおっしゃっていたな」
「あのクソジジイ……」
「何だって?」
「いえ! いえいえ、何でもございません」
ユーラは「おほほ」笑って誤魔化しているが、アレックスにはちゃんと聞こえていた。
ただその言葉が信じられなくて聞き返しただけなのだ。
皇帝からの手紙に『変わっているところがある』とあったのも、我が儘な性格を婉曲に伝えているのだろうとアレックスは思っていた。
だが大きな勘違いだったらしい。
「ユーラ、エリノア皇女は何か秘密があるのか? まさか命を狙われているとか? それで今まで公の場に出なかったのか?」
「いいえ。今のところ、そのような事実はございません」
「では、皇帝陛下に虐げられているのか?」
「いいえ。皇帝陛下も兄君の皆様にも、とても可愛がられていらっしゃいます」
「では、なぜ?」
エリノアがあのような不可思議な発言をしたのか知りたかった。
部屋に唯一控えている侍従も、馬車に同乗していたので気になるらしい。
ユーラの返答を固唾をのんで待っていた。
「……殿下は、エリノア様のお噂をお聞きになり、あのような発言をなされたのでしょうか?」
「それは……ああ。そのとおりだ」
よく知りもしないのに噂だけで決めつけてあのように冷たいことを言ってしまった自分を、アレックスは恥じた。
ユーラは特に感情を見せず、納得したように頷いた。
「エリノア様が公式行事にご出席されないのは事実です。それを怠慢だとされるのなら、我が儘なのでしょう。また多くの縁談を断っていらっしゃったのも事実です。しかし、贅沢は好まれません」
「先ほどの発言は失礼だったと思っている。できれば、エリノア皇女に謝罪したい」
「その必要があるかどうかは……」
ユーラはためらい、それから決意したように顔を上げた。
それでもわずかにアレックスの顔から目を逸らしているのは、礼儀だからだ。
「エリノア様はとても……驚くほどの超マイナス思考なのです」
「……は?」
「それが原因なのか、それとも逆なのか、とにかくかなりの男性不信でもあります」
「……ん?」
まったくもって予想外の言葉に、アレックスはまた間抜けな声を出した。
侍従もわけがわからないといった顔をしている。
「原因は定かではありませんが、エリノア様は男性をまったく信用なさっておりません。父君であられる陛下にも嫌われていると思っていらっしゃいますし、兄君も同様です。そのため、どんな良縁も今まで怖いと断っていらっしゃったのです。またご自分のことを醜いと思っていらっしゃるので――これは、慰問に出かけたときにあまりの美しさに民の何人かが顔や目を覆ったせいなのですが、男性はもちろん、私たちからの賛美も慰めだとお思いになっておられます。ですから、人前に出られることを好まれず、公式行事にもご出席されないのです」
「……では、この婚約は?」
「殿下の素晴らしいお噂は私でも耳にしております。陛下ならばさらにお詳しいでしょう。そこで、援助を理由にこの縁談を考えられたのではないかと思っております。おそらく、エリノア様にはそれらしいことをおっしゃってお断りできないようになされたのではないかと……」
「ああ、それで……」
強欲だとか、逃げ出すなどと言っていたのかと、アレックスは理解した。
皇帝がわざわざ二年の婚約期間を設けた理由もわかった。
エリノアに少しでも自信を持たせられればと、帝国以外の男に任せることにしたのだろう。
「だが、私はさっそく失敗したようだ。エリノア皇女を脅してしまったのだから」
「それが……エリノア様は安堵していらっしゃいました」
「なぜだ?」
「殿下は正直な方だと。お世辞などの嘘もなく、愛人を持つつもりだとおっしゃってくださった、と」
「いや、言ってないぞ」
「はい。聞いていません」
「では、どこから愛人などと出てきたんだ?」
「将来の王妃として義務を果たせ、というのがおそらく……」
「いや、どこが?」
「予想でしかありませんが、お世継ぎさえお産みになれば、あとは用なし的な……?」
「違う!」
「ですよね」
そんなつもりで言ったわけでは絶対になく、激しく否定すれば、ユーラは小さく呟いて頷いた。
そのときふとアレックスは、クレスウェル皇帝が何人かの愛妾を持っているという話を思い出した。
さらには皇太子殿下もすでに愛妾との間に子をもうけていることも。
ギアロッド王国の王族が愛妾を持つことは過去になかったとは言えないが、ここ数代前までは公にはない。
当然、アレックスも持つつもりはなく、さらにはエリノアと生涯にわたって結婚生活を送るつもりだった。
だからこそ、最初が肝心とばかりにきつく言い聞かせたのだ。
「では、罰がどうとか、暴力云々というのは?」
「その件に関しましては、私どももまったく原因が掴めず……。もちろん、エリノア様の周囲で暴力的なことは一度も起こっておりません。ですがなぜか……。エリノア様は十歳の頃に高熱を出され何日も寝込まれたことがございました。そして目を覚まされたときには、なぜかご自分は毒を盛られたのだと思い込まれ……当然、厳しい調査が行われましたが、その痕跡はいっさいありませんでした。ただそれ以来、エリノア様のマイナス思考が顕著になり、男性不信に……というよりも人間不信になってしまわれたのです」
ユーラの話を聞いたアレックスは眉間を親指で揉んだ。
難しい問題に当たるとしてしまう癖だった。
この難題は本人ときちんと話をすることもせず、噂だけで決めつけてしまった自分への罰なのだろう。
とはいえ、エリノア皇女とは生涯を共にすると、条件を受け入れたときに誓ったのだ。
さらには先ほど神へと誓ったばかりなのだから、婚約を破棄するなど考えられなかった。
「――だが、エリノア皇女とも約束してしまった……」
わけもわからないまま勢いに押され、エリノア皇女と婚約破棄すると約束してしまったのだ。
その後にエリノアは逃げ出すつもりでいるらしい。
そんな危険なことをさせられるわけがない。
「そのお約束は破るのではなく、やり直せばよいのです」
「やり直す?」
「はい。条約を改正し新たに締結することもありますでしょう? 同じことではないでしょうか?」
「確かにそうだが、それでエリノア皇女は納得されるだろうか?」
「納得されるように努めてくださればよいのです。殿下に対するエリノア様の印象はよいのですから」
「いや、よくないだろ」
アレックスが愛人を持つつもりだと誤解をされたままである。
それで正直者だと好印象を抱かれても不本意でしかなかった。
しかし、アレックスが思わず突っ込んでもユーラは気にした様子はなく、話はこれで終わりとばかりに深々と頭を下げた。
「それでは、この後の昼餐会より何卒よろしくお願いいたします。……大変でしょうが」
最後にぼそりと本音を漏らし、ユーラは下がってしまった。
その場に残されたアレックスと侍従――ネイトは顔を見合わせる。
「……なさるのですか?」
「やるしかないだろう」
ネイトに問われ、アレックスはやけくそで答えた。
今まで様々な問題を解決してきたのだから、今回もできないはずはない。……たぶん。
そう自分に言い聞かせているアレックスを見て、ネイトはこっそりため息を吐いた。
アレックスは眉目秀麗なだけでなく、頭脳明晰で決断力も指導力もあり、さらには寛大で為政者として申し分ない。
ただ生真面目すぎ、優しすぎるところがネイトは臣下として心配でもあった。
きっとクレスウェル皇帝はそんなアレックスの性格を見越して、今回の縁談を条件にしたのだろう。
「それでは、そろそろ昼餐会のご支度をお願いいたします」
「ああ、そうだな」
ネイトが呼び鈴を鳴らせば、控えていた他の使用人たちが昼餐会用の衣装を持って現れる。
アレックスは着替えながらも何かを思い出したようにネイトを見た。
「昼餐会の席の並びはどうなっている?」
「それは当然、殿下とエリノア皇女様が主催者となりますので……」
「一番遠くの席になるじゃないか」
「さようでございますね」
主催者となるアレックスとエリノアでは長いテーブルを挟んで座ることになる。
会話ができないどころか、男性不信であるらしいエリノアは見知らぬ男たちに囲まれることになってしまう。
「今からでも席次を変えることは――」
「無理ですね」
幼馴染でもある侍従のネイトの無情な返答にアレックスは頭を抱えたくなった。
昼餐会の後は場所を庭へと移してお茶会である。
これもまた席は別々なのだ。
「せめて茶会では――」
「変更はできません」
「ネイト……」
「ですが、少ししてから庭園を案内されてはどうですか?」
「その手があったか」
ネイトの提案にアレックスは頷いた。
この後、婚約破棄を目指すエリノアと婚約破棄を破棄したいアレックスの攻防は続くことになる。
だが次々と襲いくるエリノアの予想外の言動にアレックスは悩まされ、苦労することになるのだった。