鑑定式と満月の夜に①
朝日の出から一刻過ぎたあたりか。
ウルトと2人で早朝から日課である修行をこなしていた。
「随分と早かったな、リナリー」
「どうしちゃったんだよー、こんなに早くに」
「当たり前でしょ?今日という日をどれだけ待ち侘びたのか分からないわ」
「この日の為に私たち沢山修行したんじゃないの」
この状況を説明すると、今日は鑑定式なのだ。この世界では6歳になると基礎能力やスキルなど鑑定する決まり(法律のようなもの)がある。日本で言う憲法のようなものだ。わざわざ王都から『鑑定士』さんが来てくれるそうだ。
なぜこのような法律があるかは、正確なところは分からない。
ロゼ婆によれば、
人間の天敵である魔物が世界中に多くいるらしく、そいつらと戦う為に、その適正を鑑定式で測るそうだ。ちなみに父母の言う蜥蜴も魔物に当たるらしい。
また、スキルにもレア度があり、【鑑定】はその上位にあたるユニークスキルに該当するとの事だ。ユニークスキル自体相当珍しいらしいが、さらに『鑑定士』の持つスキル【鑑定】はその中でもレアスキルらしい。もちろん俺は【鑑定】持ちなので、言われる前から俺ら3人のステータスは知っていた。内緒にしてるけどね!対照的にウルトとリナリーは色々と納得がいったそうで、ふむふむと頷いていた。
【鑑定】スキルを持っている事は言わないでおこうっと。
それはさておき、もうじきに『鑑定士』さんが来るらしいので、お互い修行をやめて仲良く待ってるのであった。
父母はというと、重大な案件があるとのお達しが届き、3日前から王都モンテリアへ旅立った。もう到着した頃かな?父母の足で2日と少しって言ってたから結構遠いいはず。ハバ村は最南の村だから、北に行ったのかな?だぶんね。
ってか、やっぱり貴族なのか!?冒険者だったり?なんか今日だけで情報量が多くて疲れてきたぜ。まだ鑑定式の前なんだけど…。
昼下がり。
ここハバ村に『鑑定士』のキースさんが到着した。少し休んで鑑定式をやるらしい。
作戦はこうだ。実際の実力を鑑定されるとおそらく色々とややこしい事になる。だから敢えて弱く【偽装】する。ただし【鑑定】のレベルが俺の【偽装】レベルを超えていた場合はバレるけどね!もうそれはしょーがない!諦めよう。
となると、どのレベルまでステータスを落とすか問題に直面する。初期ステータスはどうかな?ちなみにこうだ。
↓↓↓ ※不要なものは省いてます。
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
名 前:アルト・アズベルト
適正属性:なし
ユニーク属性:無・幻
レベル:1
体 力:1(+10%)
筋 力:1 (+10%)
防御力:1 (+10%)
素早さ:0 (+10%)
魔 力:100/100 (+10%)
愾 :100/100 (+10%)
称 号:
【転生者】転生後にスキルを0〜5個獲得(Lvはランダム)
加 護:
【■■■の加護Lv1】
【創造神の加護Lv1】
全ステータス補正後に(+10%)
スキル:
なし
ユニークスキル:
【偽装Lv5】
スペシャルスキル:
【■■■の■■】
【限界越破】
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
名 前:ウルト・アズベルト
適正属性:火・無
ユニーク属性:影・覇
〈基礎能力値〉
レベル:1
体 力:50
筋 力:10
防御力:1
素早さ:0
魔 力:50
愾 :70
称 号:
【転生者の弟】スキルを1〜3個獲得
(Lvはランダム)
加 護:
【■■■の加護Lv1】
スキル:なし
ユニークスキル:
【限界突破】
【成長増進】
【空間魔法Lv3】
スペシャルスキル:
【■■■の■■】
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
名 前:リナリー・ラウガ
適正属性:水・風・無
ユニーク属性:氷・聖・魔
〈基礎能力値〉
レベル:1
体 力:150
筋 力:18
防御力:50
素早さ:10
魔 力:80/80
愾 :56/56
称 号:なし
※称号はONとOFFいずれかを選択可
加 護:ON 《水神の加護》
・《水神の加護》水魔法、それに関連する全ての魔法が覚え易く、威力が高まる。【成長増進】と同等の効果をもたらす。一部分選択可。
※加護はONとOFFいずれかを選択可
スキル:
【水魔法】
ユニークスキル:
【限界突破】
【効果増大】
【テイム】
スペシャルスキル:
【■■■■】
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
あれだな、初期値リナリーが強過ぎるな。でもリナリーと初めて会ったのは6ヶ月目だもんな。にしても才能の塊だな。
とりあえず、適正属性と〈基礎能力値〉とスキルはそのまま見せるとして、他は見せない方が良いよな?スローライフを送る為にもね。前の〈基礎能力値〉は今の値とはかけ離れてるしいいよね!
「えー、それでは鑑定式を始める。順番に村長の家に入ってきてくれ」
「まずはアルトくん」
もう呼ばれてしまったか。
「はい!」
まずは元気よく挨拶をする。あわよくばキースさんを【鑑定】しようとするが、ロゼ婆の家に入ろうとした時に目隠しされてしまった。これでは見れない。
何かされている気がするが、すぐに終わってしまった。
その後ウルトとリナリーと呼ばれ、順々に流れるようにして終わった。拍子抜けとはこのことだ。最後村長宅の中でロゼ婆にステータスが記載されている羊皮紙を渡して帰っていった。結局姿ひとつ見る事が出来なかったのである。それだけ【鑑定】持ちは重宝されるってことなのかな?ま、いっか!
では早速見てみよう!とは言ったものの、【偽装】で変えた通りのステータスで何の面白みもなかった。ちなみに俺は魔力以外平均以下の値でした。落ちこぼれだな。反対にウルト、とりわけリナリーは平均を大幅に上回る値らしくみんなからは凄いね、良かったねと褒めちぎられていた。分かってはいたけどちょいと辛かったぜ〜(泣)。
「あれ?おかしくない?何で兄さんのステータスがこんなに低いの?」
「そーだよ、アルの方が絶対高いと思ってたのに!」
ウルトとリナリーの素直な感想が大人達に向けられるが、対して気にしてなさそう。俺のことをカバーしてくれるのは嬉しいけど(本人たちは無意識)、正直俺は落ちこぼれキャラの方が楽だよね。モブキャラとしてスローライフを満喫したいし!
そいえば2人には俺が【鑑定】持ちで、随ステータスの報告はしてなかった気がする。本当のステータス知ったら喜ぶんだろうなぁ。にっしっしっ。
これから修行がんばろーね!
時は過ぎて、日は沈む。夏虫がさえずる中、望月が自宅後ろにある池で揺らぎ泳いでいた。そして2階の窓に模されて見える望月はなんだか不気味であった。
今の状況はというと、俺ん家でリナリーとウルトに挟まれる形で寝ている。暑苦しいぜ〜。2人とも寝坊が悪りぃでごぜーます。
少し時は遡る。
この1週間は両親が王都におり不在のため、鑑定式前日までリナリー宅に泊まっていた。
式後、俺は落ち込んでいると思われたらしく、元気づけるため3人で遊んでくれたみたい。ウルトもリナリーも優しいなぁ。
リナリーの両親も気遣ってくれて、今日は3人でお泊まり会しなよとアズベルト家(自宅)で子供達だけで泊まることになったのであった。
急にトイレに行きたくなり、慌てて起きて用を足す。丑三つ時だろうか。2階の窓から見える村はいつもより何かが違った。否、違和感がある。なんだろうか。静か過ぎるのだ。
ドッカーン!!!!ボン!!ボン!!
!?!?!?!?
濃密な魔力の塊が建物にぶつかって爆発したような音がした。要は強大な魔法をぶち込まれただけなんだけどね。
ん?待てよ。この方角はリナリー宅じやないか!?!?
しかもこの威圧感はあの蜥蜴さん達を遥かに超えるし、控えめに言ってヤバいやつだな。
ちなみに前に鑑定した蜥蜴のステータスはこちら
↓↓↓↓
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
名 前:なし
性 別:なし
年 齢:不明
種 族:亜竜族
職 業:なし
状 態:
適正属性:土
ユニーク属性:樹
〈基礎能力値〉
レベル:128
体 力:5,940
筋 力:3,090
防御力:1,960
素早さ:1,100
魔 力:500/500
愾 :0/0
称 号:なし
加 護:なし
スキル:
【テイルバーストLv4】
【ストーンアタックLv2】
ユニークスキル:
【アースクエイクLv2】
スペシャルスキル:なし
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
俺は急いでウルトとリナリーを起こして逃げる準備、いや迎え撃つ準備をする。今のステータスなら多少はやれる気がする。とは言ってもまずは敵を確認しないとな。一体何者なんだ。
襲撃者視点
「なんでこんな村を壊滅されなきゃいけないんだよ、めんどせー。あいつらだけでいいじゃんか。20も数いるか?」
「やめておけ、私語は慎め。これは完遂すべき命令だ。」
「はいよっと、もっいっちょかましますか」
「広範囲型、ヘル・フレア!」
強大な魔法は、残酷にも村の建物中を焼き尽くす。一部を除いて。それは村長家とアズベルト家である。村長宅はロゼ婆が最も簡単に獄炎をかき消し、アズベルト家はアルトの魔法障壁によって守られ【偽装】によって焼き尽くされたの如く見えるようされていた。
アルト視点
まずは防げる魔法でよかった。ふぅ。
にしてもアイツらは盗賊なの??寝込みを襲いやがって。数は20くらいかな。特に強い反応が5人か。しかもロゼ婆に一直線に向かってるな。残りの15はスリーマンセルになって行動してるな。統率が取れてる。
ロゼ婆はおそらく相当強い。通常の俺なら手も足も出ないだろう。だから大丈夫。問題は残りのジュピター家、シー家、ロック家、リナリー家族だろうな。ただみんな強かったし心配は要らないと思うんだけど……。あれ、ブックおじさんの反応が無いぞ。死んだか?
とりあえず、15を先に倒してロゼ婆の加勢がいっかな。【身体強化】発動!それと『魔装』っと。身体中を魔力で囲むことを便宜的に『魔装』呼んでいる。
そして囲む魔力にも各段階があって、
①普通の魔力
②強化魔力
③ 愾力追加
④強化愾力追加
⑤融合した魔愾
ぶっちゃけ⑤番目はめちゃめちゃ疲れるから極力やりたくない。
「アル!私もう準備バッチリよ!」
「兄さん俺も準備万端だよ!」
俺は一瞬迷ってしまった。ウルトとリナリーは強くなってはいるが、まだ実践的ではない。まだ俺の実力には到底及ばないので、正直逃げてもらいたい。せめて俺といい勝負が出来ていたら。たらればの話で緊急時に考えても仕方ないか。俺と一緒に行動してれば今のところは問題ないかな。うん。
「よしっ準備は出来たか!俺らのスローライフを邪魔する盗賊なんて撃退してやるぞー!!」
「おう!」✖︎ 2
「まずは『魔装』しろ、レベル②まで上げたら、【身体強化】して行くぞ!」
『魔装』レベル②とは強化魔力で身体を囲む事である。
「わかった!」
「よし、魔装速度も申し分ないな。リナリーの家がが1番心配だから行こうか。2人とも父さんから貰った剣と盾を持って着いて来い。」
「後から付いてきてくれ!」
基礎能力値の素早さは俺が1番低いが、身体強化、魔装状態だと圧倒的に早くなるため先に行くことにした。
土をえぐりながら走ること30秒。
リナリー宅の前に到着した。
幸いにも魔法による攻撃から3分ほどしか経過していなく、リナリーの父母が魔力障壁とは違うが、それに似たようなもので盗賊の攻撃をギリギリで防いでいるのが確認出来た。
なんだろうあの魔法障壁もどきは?かなり気になったが、リナリーの父母を守る事を優先した。
【魔法障壁】と心の中で念じ、2人を囲んで保護した。これならあの程度の攻撃、あの獄炎でも防げるだろう。何故か2人はかなり驚いている。そして味方の援護だと分かるとホッとしてその場に崩れ落ちていた。
あの盗賊の正体を知るべく【鑑定】した。
!?!?!?
盗賊ではなく、“魔人族”!!!???
種族が人間じゃないだと?
一瞬戸惑うが、あのスリーマンセルを無力化すべく、縮地で1人の足元に移動して、次の目標を定めつつ後向きで腹に思いっきり裏拳。魔人族の腹と背中から魔装鎧が勢いよく剥がれる。まだ若干の意識があった為、縮地で背中に移動し殴る。腕が背中を貫き絶命した。
敵はこの一連の流れを理解できずに混乱している。隙を見てもう1人の敵の後ろに移動して、ルーク(父)から貰った剣を右手で抜き、敵の右背中から左胴にかけて一刀両断した。剣技習っといてよかったぜ〜。
最後の1人は、逃げたところにウルトとリナリーがおり、ふたりの縮地→剣技にて三分割され絶命した。
俺も含め敵との実戦は初めてであった為、無事に終わったとの安堵感の方が多かった。3人とも手は震えているが、これは恐怖からなのか、武者震いなのか、それ後者だろうな。よし、次行こうか。
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