プロローグ:言葉を探す旅
タイトルは完結後変える予定です。
タイトルが思い付かないほど言葉を忘れました。
もう書けない。
もう言葉が見つからない。
原因は何だろう。タバコをやめたことだろうか。
原稿ノートの頁を上から下に捲れば、書いている途中の、完成していない話が十、二十とある。
今はもう、ノートを開き鉛筆を持っても書き出せない。まるで、ノートが文字を書かれることを、汚されることを拒んでいるようだ。
前まで色々な話を書いていたのが嘘のようだ。思いついたことが全て言葉になった。それらを並べて文章になった。
書きたい気持ちはその頃から変わらない。そして、頭の中で書きたいと思っている話や情景はいくつもある。
しかし、それらに合う言葉が見つからない。知っている言葉の少なさを改めて知り、学の無さにがっかりする。
毎日、興味のない純文学や新聞を読み、使いたい言葉を探す。
もっと言葉を、見ている景色に似ている言葉を、想像する世界に合う言葉を。
しかし、どこにもない。電車や駅のホームにある広告、毎週買っている漫画雑誌や、毎日聴いている曲の歌詞にも、求めている言葉はない。
もうこれ以上書けない。書ける言葉がない。彼に掛ける言葉もない。
だから、言葉を探す旅に出た。いつも見ている景色から少し離れた所なら、探し求めている言葉が見つかるかもしれない。
必要な言葉を探し求めて、町を駆ける。




