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記憶に咲いた一輪  作者: たわとと
8/11

ダテメガネ

『ままとぱぱがね まっかなんだ』



三階の地図には棒人間が追加されており、女性の棒人間と、男性の棒人間が横になっているように描かれていて、赤いクレヨンで2人の周りは真っ赤に塗り潰されている。


「ねぇこれ…もしかして…」

「…殺人が起きた、当日に描かれたもの…でしょうね…」


さぁっと血の気が引いていくような感覚がする。

体の奥底が凍りついたような、全身が冷えて指先が(かじか)むような、そんな感覚だ。


「…当日、この地図を書いた子供は殺されずに済んだ…のか…?」

「でしたら、警察が彼を保護しているはずです」

「それもそうか…」


三階の地図をまじまじと見つめながら、ペラ…と乾いた音を立てて、裏面を見てみる。


裏面には何も書いていない。


「でも、これ3階さぁ…屋根裏部屋っぽくない?」


地図を見る限り他に部屋や区切りはなく、一室のずっと奥の方に星のマークが印されていた。


「確かにね。でも、3階に上がるための手段がなぁ…階段みたいなのは見つからなかったし…」


そう。一番の問題はそれだ。

たからのちずは見つけたものの、今度は三階に上がる手段がないのだ。


俺が唸りながら考え込んでいると、凛斗がごほん、と咳払いをした。


「僕、見つけましたよ」

「ほんとに?」

「はい。見間違いでなければ廊下の奥にありました」

「……奥…?」



▽▽▽▽▽



「なるほどね…そりゃ見つからないわけだ」


ゆらゆらと俺たちの目の前で踊るように揺れる縄ばしごは、汚れのせいで黄ばんでいる。

廊下の奥の隙間から入れる小さな部屋に、この縄ばしごがかけてあったのだ。


「よく見つけたねぇ凛斗くん…」

「まぁ、僕目はいいので」


へぇ〜…と頷きかけて、ん?と後ろを振り返る。

目がいいのに黒縁メガネ…?


「あ〜、凛斗のこれね、ダテ」

「そうなの?」

「そーなの!凛斗って顔いいでしょ?だから、女子からのアプローチが酷くて困ってたんだよ。そん時僕がお硬そうに見えるようにメガネしてみたらーって言ったら、ほんとにしちゃって」


「単純だよね」と笑う瑠宇の横腹を小さくつつくと、彼は恥ずかしそうに俯いた。


「逆効果でしたけどね」

「顔良プラスメガネとかそりゃ逆効果でしょ。でもメガネは取らないんだ?」

「気に入りましたので」

「なるほどね」


カチャ、とメガネの位置を直すその様は完璧だ。インテリ男子って言うんだっけ、こういうの。


まぁそれは置いとくとして、風も吹いていないのに揺らりと踊り続ける縄ばしごを手に取り、一番下の縄に足を引っかける。


「俺が先に行くね」

「えっ、ちょ」


縄ばしごの強度を確かめるように、1回体重を預けてみる。

…特に縄が切れることも無く、ぶらんとぶら下がれたのでそのまま上に登ることにした。


1番上まで登りきって、彼らに視線を投げると、心配そうな顔をした瑠宇が声をかけてきた。


「どーお?」

「大丈夫。みんなも早く上がってき……て…」


言いながら正面を向くと、目の前に広がる光景を見て目を見開いた。


三階の部屋…屋根裏部屋の中心には、たくさんのネズミの死骸と何かの骨、乾いた血の跡がくろぐろと床に染み付いていた。


ギシ、と瑠宇が縄ばしごに足をかけてそちらに向き直る。


「来るな!!」


見せてはダメだ。

彼らにこの光景を見せたらダメだ。


俺が出した怒鳴り声に、え…?と3人は困惑した様子でこちらを見上げてくる。


「どうした翠さん」

「何かあったんですか…?」


2人の問いにもう一度正面を向きながら、ゆっくりと、時間をかけて答えた。


「……固まった血と…ネズミの死骸…あと、よく分からない骨がある。だから君たちは来ちゃダメだ」


そうして立ち上がると、彼らに微笑みかけて、


「この階は俺だけで探索するよ」


と呟いた。



今回はサブタイ忘れませんでしたよっ。

さて、次回は翠のソロ回でございます。


追記:なんでサブタイぃぃぃぃアァァァァァァ

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