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記憶に咲いた一輪  作者: たわとと
7/11

見つけたもの

「見つからないね…」


あれからもう一回2階の部屋全てを回ってたからのちずを探したのだが、どこにもそれらしき紙は見つからなかった。


階段付近の床で円になって座って、今は作戦会議を行っている。


「翠さん、ぶっちゃけ三階の地図なくても探索は出来るぞ」

「うん、そうなんだけど…なんか気になるじゃん?」


生憎、俺は一度気になるものが出来たら最後まで調べ通し、諦めろと言われても諦められないタイプの人間なので、今回もこれは譲れそうにない。


「じゃあ、もっかいさっきの地図確認してみよ。もしかしたら見逃しがあるかもよっ?」


瑠宇はそう言って、俺のポケットからたからのちずを出すように促した。


「見逃しって言ってもなぁ…」


フリースジャケットのポケットから紙を取り出すと、表面に書いてある地図と文字、そして裏面に書いてある字やシミまでを念入りにチェックする。


「……ダメだ、よく分かんない」


膝に肘をついて眉をひそめる。

もしかして、前にここを訪れた人物が持ち去ってしまったのだろうか。


「翠さんて、案外好奇心旺盛なんスね」

「そう見える?」

「見えます。危なっかしい」


柘榴は見た目に反してちょっぴり怖がりなところがあるようで、さっきも少し物音がしただけでもものすごい顔で構えのポーズをとっていて思わず和んでしまった。世間はこれをギャップ萌えというのだろう。


「でも、見つからないんじゃ探索は埒が明かないし、無いものを探しているなら尚更だよね」


そう言って立ち上がろうとした時、フラッとよろめいて一歩後ずさってしまった。


立ちくらみだろうか。


「…っ…」


いいや、違う。


激しい頭痛と共に襲ってきた耳鳴りは、しだいにザザ…と不快なノイズ音と、うめき声のような音声に変化していった。


「翠さん…?」


3人が心配してこちらを見上げてくる。


彼らにこのことを言ってしまえば、不安に駆られてしまうことだろう。


なんでもないよ、と声を出そうとした時、ノイズ音やうめき声が一瞬だけ晴れて、


『床の下』


と、誰かの声が聞こえた。


「えっ?」


思わず廊下の奥を見つめる。


今確かに誰かが床の下、と言った。

はっきりと、そう聞こえた。


耳鳴りは止み、不快な声や音も聞こえなくなった。だけど、今度は胸の中をなんとも言えない悲しい気持ちが蝕んでいく。


これは、孤独であることの寂しさだろうか。


誰かに見て欲しいと主張しても、誰もこちらを見てくれない、もどかしさだろうか。


「翠さん!」

「っ…あ…」


瑠宇に袖を握られ、我に返った。


あれは一体なんだったのだろうか。


「……ねぇ…今、声聞こえなかった?」

「こ…声、ですか…?」


俺の問いに、凛斗は眉を下げて困ったような表情を浮かべる。


「あ、いや、ごめん。やっぱ気にしないで」

「翠さん…もしかしてなんか聞いたの…?」

「ううん、多分気の所為だから。あはは…」


誤魔化しはしたものの、彼らは意味ありげに視線を交わしあうと、何かを察したようにもう一度こちらを見上げる。


「翠さんてさ…霊感あるタイプ?」


聞かれると思った。


どう答えようかと考えたが、やはり正直に言った方がいいだろう。


「いやぁ…友達が霊感強かったんだけど、一緒にいるうちにうつった…かな。でも見えたりはしないんだよね」


聞こえる程度で、それも極たまに。


凛斗が「なるほど…」と顎に指を添えて考え込む。


「僕達は声らしき声は聞き取れませんでした。翠さん、その声はどんなものでしたか?」

「えっと…どんなって…」


高いようで低く、幼いようで大人びた声。

目に見えない相手からの声は、聞き取るよりも感じ取るようなものなので、声自体はよく分からず首をひねった。


「声はどんな感じか曖昧だけど、言葉ははっきり聞こえたよ」


興味深そうに息を飲んだ凛斗。


「床の下、って言ってたよ」



▽▽▽▽▽



中心の部屋に再び戻ると、今度は床を徹底的に調べて、たからのちずを探す。


三度目の正直だ。今度こそ見つかってくれ。


謎の声に従って床の隙間や、床下になにか挟まっていないか確かめる。


すると、あっ、と声を上げた柘榴がちょいちょい、と手招きをした。


「この床外れるぞ」

「でかした!」


ギシ…と音を立てて外れた床板。その下には薄汚れた一枚の紙が隠されていた。


その紙こそ、俺たちが探していた三階のたからのちずである。

手にグローブをはめて、その紙を拾うと、黒いクレヨンで書かれた文字が目に入ってきた。

そして、三階の地図は…


「…赤いクレヨンも使われてる…あ、それじゃ読むね」


パサ、と紙を広げる。


『たからものはね さんかいにあるよ』


『ぼくがいちばん だいじにしてるものなんだ』


『それとね ままとぱぱがね』



()()()()()()



背筋を嫌な汗が伝う感覚。


だんだんと嫌な音を立てる心臓。


「…真っ赤って…」


…まさか…。






はい!!地図探し編は完結しました!!

ジワジワと翠たちに迫っていく恐怖ですが、どうなるんでしょうね。

イラストを描きながら毎日投稿って難しいですね…一日よ、伸びろ。


という訳で、また次回お会い致しましょう!

おやすみなさいっ


追記:サブタイ変更し忘れてました…w

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