お見通し
2階の探索をしていても、たからのちずは見つからなかった。
中心の部屋で4人で話をしていたら、僕がちょっとネガティブなことを言っちゃって。
普段なら柘榴と凛斗が呆れちゃって、よしよしってされてハイおしまい。それなのに、翠さんは僕を守るって笑いかけてくれた。
嬉しかった。
すごくすごく嬉しかった。
「えへへ…翠さん、そういうこと軽率に言っちゃ僕惚れちゃうよ〜?」
からかったつもりで、ほんのちょっと意地悪したつもりで言っただけ。
聞き流せばいいだけの僕の言葉。
なのに、翠さんたら顔を真っ赤にして慌て出すから、可愛いって思っちゃったよね。
翠さんは友人さんの話をすると寂しそうな顔をする。酷く傷ついたような、痛々しい顔をする。
過去に何があったか分からないけど、どうかそんな顔をしないで欲しい。
僕達のこの出会いは運命だと思うよ。
この屋敷から無事に帰れたら、その後も僕たちと仲良くしてくれたらいいな。
そういえば翠さんてどこに住んでるんだろ。遠いのかな。近いのかな。
なんて、気がつけば翠さんのことを考えていて、怖さなんてもう吹き飛んでた。
少し伸びた前髪の隙間から覗かせる翠さんの瞳は、名前通りのキレイな緑色をしてて、透き通ってて。
初対面なのに、好きだなって思っちゃった。
まだ一緒になって1時間くらいしか経ってないけど。
こういう気持ちを一目惚れっていうのかな?
「…瑠宇」
「ん?どしたの凛斗」
「…翠さんは…やめておいたほうがいいと思いますよ」
………なんでそんな事言っちゃうのかな。
「べつに…そんなんじゃないよ」
「……そうだといいのですが」
凛斗にはいつもお見通しなんだよね。
どの辺から気づいたのかな。今の発言でかな。
ちらりと翠さんを見てみると、諦められないみたいで、まだたからのちずを探してる。
「…僕達も探しましょうか」
「…うん…」
なんか、テンション下がっちゃうなぁ。
早くたからのちず見つかれよ、もう。
瑠宇くん視点でした〜!いつもより短め!!そして早めの投稿!!
次回は翠視点に戻って、たからのちず探しは終了となる回…だと、思う。(ハッキリしろ)