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第12話 いざ! ダンジョン探索へ

 あれからプレイヤーさんは、残った500メタも体力回復の効果があるポーション等につぎ込み、僕は再びおけらとなった。

 ふところが重たかったあのえもいわれぬ余裕感は、たった数分のうちになくなってしまった僕は、若干意気消沈気味だ。せめて少しくらい残しておこうよ、と思う。

 僕のプレイヤーさんは、先ほどの依頼達成で味をしめたのか、再びギルドに立ち寄った。

 プレイヤーさん。言っておいてあげるけど、世の中そううまいことばかりが続くわけがないんだよ。

 むしろ苦難と幸福は一生の間に同じだけ降り注ぐものなんだから、そろそろ貴方も苦行を嫌でも強いられることになると思うよ。……っていうかなれ。こういう世の中なめ腐った青二才は、一度手痛いしっぺ返しをこうむらないと良い人間になれないんだよ。

 プレイヤーさんは前回のように、自分が引き受けられる依頼の内容を確認して行く。

 基本的に、アバターのレベルに合った難易度の依頼が表示されるのだけど、現在の僕のレベルはあまりにも低すぎるため、低難易度のものでもだいぶ骨が折れることだろう。

 ぶっちゃけた話、さっきのようなラッキー展開でも起きない限りは。

 当然のことながら、先ほど引き受けた『ロングソード引き渡し』の依頼はなくなっている。

 時間が経てばまた出てくるんだろうけど、そんなものを待っていてはきりがないというものだ。

 ウインドウに表示されている依頼は、そのほとんどがモンスター討伐とダンジョン攻略のものであり、はっきりいって今の僕のレベルではなかなかに厳しいものがあった。

 もちろん、攻略できればそれなりの経験値が手に入り、能力的にもだいぶ向上するのだろうけど……プレイヤーさんの腕からしてそれは天地がひっくり返るくらいありえないことだ。

 ロングソードを装備しているとはいえ、攻撃力はもう上げなくていいわけだし、鬼に金棒と言えば響きがいいが、正直なところ、蛇足という他ない。無限大にどれだけ数を足したところで無限大なわけだから……。

 どちらかっていうと、防具のほうを充実させてほしかった。

 武器も、確かに必要なのかもしれないけど、今最も重要視すべきなのは攻撃力ではない。

 金魚掬いに使用されるあの紙よりも薄い防御力。

 スペ○ンカー並に打たれ弱い体力。

 この二つをどうにかしない以上は、まともな戦いなんてできないに等しい。

 実際、これまでの戦いが、一撃でやるかやられるかのものだったことからも容易に察することができる。

 ここは一度、『ビギナー・ヴィレッジ』まで引き返してレベル上げに専念するべきなんじゃないだろうか。

 低レベルでゲーム攻略なんていう縛りプレイをしているわけじゃないだろうし。……いや、そもそも、クリアのないオンラインゲームで縛りプレイは自分の首を絞めるようなものじゃないか? ……いや、もともと制限プレイというのはそういうものか。

 しかしそういうものは玄人のやることで、初心者プレイヤーが行うようなものじゃない。

 しばらくすると、プレイヤーさんはある依頼に目をつけたようで、それを受諾した。

 その依頼内容は、



依頼内容 町の東にあるダンジョンを、地下3階まで攻略すること

報酬   3000メタ



 受諾と同時に、そのダンジョンに入ることが許される証明書が引き渡される。

 ダンジョン攻略……。

 今のプレイヤーさんには荷が重い依頼と言える。

 依頼の期限が定められていないのが唯一の救いというべきか。万全を期してからダンジョン攻略に臨める。

 そうと決まったらプレイヤーさん。この依頼を最初の目標にして、早くレベルUPをしよう!

 この依頼を攻略できるくらいになれば、プレイヤーさんはおおむね成長したと言ってもいいだろうから……さあ!

 プレイヤーさんは僕の想いが通じたのか、ギルドを出るとフィールドへと飛び出した。

 そしてそのまま東へ、東へ…………。

 ……え? いや、ちょっと待って。

 まさかとは思うけど、早速ダンジョンに赴くつもりじゃないだろうね?

 はっきり言って、今行ったところでダンジョン内に蔓延っているザコ敵に袋叩きにされてTHE ENDというのがオチだよ?

 僕はもうこりごりだぞ、いい加減。理不尽が感じられるそんなガメ・オベラは。

 しかし悲しいかな。僕の予想は、どうやら悪いベクトルに働いてしまっているようだ。モンスターとの遭遇を、巧みに回避しながら向かう先には、まぎれもなくダンジョンがある方角だ。マップにもちゃんと表示されている。

 嗚呼! もういっそのこと、アバターが受けたダメージをプレイヤーも味わうようなゲームシステムをつくってくれないだろうか! フル○ンクロしたりとか、S○Oのようにゲーム内での『死』は現実での『死』に直結しているとか…………。そういうハードなペナルティをつけないとこのプレイヤーさんは学習しないよ! 絶対!

 痛い目に遭って成長するのが人間ってやつじゃないの!?

 僕の心の叫びは、空しく、胸中だけに響くのであった。

 大学の前期テストが迫ってきていますので、しばらく更新を停止します。

 再更新日はおそらく、早くて7月下旬頃になるかと思います。

 どうかご了承ください。

 あと、更新時間がずれた事、すいませんでした。

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