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 クリスマスだ。

 カジノのクリスマスツリーは俺たちに似つかわしくない天使の人形や、キラキラと輝く星なんかで飾られている。昨日注文した七面鳥たちは、大きな冷蔵庫の中に収められている。

 フロアは全体的にクリスマスらしい装飾というものはされていない。従業員に帽子をかぶせる程度である。兄貴がツリーさえあればいいだろうとのことでそうなっている。それから、なにかあった時にきちんと動けるようにしておきたいのだろう。たまにこのクリスマスという時に、なにかが紛れ込んでくるのだ。

 始業前に集められた従業員は冷や汗をかき、緊張の面持ちで兄貴の話を聞きながらも、今年のプレゼントはなんだろうかと心なしかワクワクと子供のように目を輝かせている。

「そんなわけで、今年のクリスマスも稼いで欲しい。変なやつを見つけたら、俺か弟にさっさと言え。始末するから。そうそう、今年のプレゼントは丸々太った七面鳥だ。家族と一緒に食べな」

 従業員たちは、七面鳥という言葉に破顔させながら「はい!」と元気よく言った。

 始業前の集まりが終わった後、兄貴と俺は一旦部屋に戻って、早い晩飯を食べた。

「今年もジェニファーと息子たちがくるのか?」

「うん」

「あの女は賢くていい女だ。探偵に写真を一緒に撮ってもらいな」

「そうするよ」

「それだけだぞ」

「わかってるよ」

 兄貴はでかいサンドウィッチにかぶりつきながら「今日の肉、昨日売り切れなかったローストビーフの残りだな」と呟いた。

 それだけだった。

 昔、ジェニファーと初めて出会って、喋ってやった次の日だ。

 俺は兄貴に彼女のために仕事を斡旋してやってくれと頼んだ。兄貴はやはり笑顔のままで「いいぜ」とだけ言った。それから、兄貴はすぐに彼女の目の前でボスに電話をかけ、仕事を彼女に与えた。その上、すぐに今までの仕事を辞めさせた。あちらが、あれこれ言っても脅しつけて、即日辞めさせ、金もきちんといただいた。

 彼女はポカンとしながら兄貴を見ていた。

 兄貴は全部すますと、俺に向かって「ほら、惚れた女のためにできることは全部してやった。今すぐ諦めな」とだけ言った。

「兄貴、俺は彼女に惚れちゃいないぜ」

 兄貴は俺の顎を指でなぞって「俺はお前の兄貴だぜ? お前がわかってないことだってわかる」と妖艶に笑った。俺は少し汗が出た。兄貴は俺をじっと目を三日月にしながら見つめた。俺も兄貴を見つめた。

「俺はな、面倒ごとは嫌なんだ。寿命を縮める気はない」

「わかってるよ、そんなこと」

 兄貴は彼女を見た。彼女も兄貴を見た。俺は彼女を見てから兄貴を見た。兄貴は俺の顎から喉を爪で引っ掛けながら、指を俺の心臓に突き刺して「とは言ったが」と呟いた。

「お前の弱みになれば、俺の弱みになる。だが、それは分からなければいい話だ。そう思うだろう?」

「でも、それがどこからか分かられると、結局ダメじゃないか」

「そうだな。だが、仕事を斡旋しちまったからには、殺せないわけだ。ついでに言えば、斡旋したのは俺たちのよく行くレストランだ」

「そうだな」

「なあ、兄弟。俺は諦めろとだけ言ったぜ」

「ああ」

「諦めるだけだ」

 兄貴は彼女の方を見た。

「あんたが賢ければ、わかるはずだぜ、なあ」

 彼女は兄貴をじっと見た後「ええ。でも、その前にお礼を言わせてちょうだい。私のために仕事をくださってありがとう、二人とも」と言った。

 兄貴はそれに大笑いして、斡旋したレストランの住所を渡し「明日、朝の10時にここの住所に行きな」と言って、彼女に金を渡した。

 ジェニファーは俺と兄貴、それぞれのほっぺたにキスをして、再度お礼を言って、帰っていった。

 俺は兄貴にコーヒーを淹れながら「俺、兄貴なら殺すのかと思ってたよ」と言った。

 兄貴は笑って「ああ、いつもならな」と言った。

「あの女が泣き出したのな、やるかやるまいかって時だった。賢い女だよ」

「兄貴、そういう女ほどやってただろうに」

「ああ、いつもならって言ったろ。お前が惚れてようが惚れていまいが、面倒なことをしそうだったり、人にベラベラ喋るような女なら殺してるさ。だけど、あれはそういうことをしないやつだな。男の話を聞いたか?」

「聞いたよ」

「どこにでもいそうな男な話だったろ」

「ああ、口だけでかい男だって」

「その男な、最近殺された歌手のことだよ。女優と結婚してたろ、確か。その女優の後ろにはヤバいヴィランがいる。どうせそのヴィランが殺したんだろうがな。とにかく、そういうのが身近にいるんだ、下手なことしねえよ。それで、パートとこれだろ? 賢い選択だ。俺はああいう女なら別段かまわないと思ってる」

「そう」

 兄貴は俺の頭をかき混ぜて「それに言っとくがな、俺だってガキの一人や二人、認知してないだけでいるんだぜ」と笑った。

 俺がびっくりしていると、兄貴はそれが嬉しかったのか大笑いして「こんなにやってんだから、いるに決まってるだろ!」と腹を抱えた。

「いつもは、そういうことになったら部屋に呼び出して下水に流してるじゃないか!」

「毎回、呼び出してるんじゃないさ。呼び出してくるような女はバカか賢いかの二択だ。来ないやつは組織の方で処理してもらってる」

「俺、そんなの知らなかったんだけど」

「言ってないからな」と兄貴はタバコに火をつけた。俺にも同じようにタバコを口に加えさせ、火を分けてくれた。

「確か今な、3歳とか2歳とか7、8とかそこらへんだ。俺に似て美人だってのは確かだぜ。だけど、会ってないしな。女の方も俺が死のうが生きてようが、父親のことなんざ教えないだろうよ」

「俺、兄貴が初めてまともな大人に見えたよ」

「アッハハハハハ! 生きるのに必死なんだ、そりゃあ、自分の遺伝子を残すに決まってるだろ? まあ、子供だろうがなんだろうが、俺の寿命を縮めようってなら容赦はしないがな」

「ふうん」

「惚れた女とどうこうなるのは諦めろ」

 俺は頷いた。

 次の日、俺たちはさっそく彼女が働いているレストランに行った。彼女は給仕をしている。俺たちに気がついた彼女は少し笑うだけにとどめて、働き始めた。

 兄貴は彼女をじっと見つめて観察している。

 俺も兄貴と同じように彼女を見つめた。しっかりと働いているようで、組織側の人間ともうまくコミュニケーションをとっている。俺が安心して食べ始めると、兄貴は「今、安心したろ」と俺の方を見て笑った。俺は素直に頷いた。

「諦めろよ」

「うん」

 俺たちは飯を食った後、彼女に挨拶せずに出た。

 俺は確かに兄貴の言った通り、惚れかけなのであろうが、とっくに諦めがついていた。兄貴はカジノに行くと、俺を部屋に呼び出した。今度は一体誰が下手をやらかしたのだろうかと思いながら、部屋に入ると、兄貴はワインを飲んでいた。

「よう、仕事中に酒を飲むっていい気分だよな」と兄貴は俺にもワインの入ったコップを差し出した。

 俺は受け取って「確かにね」と一気に飲み干した。兄貴はそれを見て笑って、またワインを継ぎ足した。

「これ、どこで買ったんだ? いいやつだろ」

「ああ、いいやつさ。お祝いだぜ、今日は」

「なんで?」

「お前にさ」

「俺をダシに酒を飲みたかっただけだろ」と言えば、兄貴はまあなと答えた。

「なあ、アレックス」

「なんだい、兄貴」

「仕事中の酒がいい気分になるようにさ、仕事中に女を抱くのもいい気分だよな」

 俺は兄貴を見た。兄貴は意地悪そうな笑顔をしている。俺を試しているわけではなさそうだ。からかいたいらしい。

 俺は肩だけすくめてみせた。

 兄貴は笑って、俺にまたワインを注いで「俺は今日から5ヶ月間21時から24時まで表で仕事をしようと思うんだ。最近、俺が出てこなくなってたるんでるだろ、あいつら。そろそろ悪さの虫がお目覚めになるころだ」という。

「兄貴」

 兄貴は目を細めて俺を見て「ガキをこさえな。ガキは俺たちの未来だ。俺やお前が死のうとも、生き続けることになる。そうだろ?」と言った。

「いいのか、兄貴」

「ああ、いいとも」

「ありがとう」

「ああ」と頷き、兄貴は俺のおでこに手を当てて、それから髪を撫で「俺は自分の物にはな、ちゃあんとご褒美だって渡すんだぜ」と笑った。

「兄貴、わかってるよ」

「ならいいさ」

 兄貴は俺の髪の毛から手を離し、俺のこめかみにキスをした後「それじゃあ、俺は表に行くから、お前は好きにしな。ただ、呼び出したらさっさと来いよ」とだけ言って、部屋から出て行った。

 俺は部屋の地下室から外に出て、レストランに向かった。もう閉店している時間だ。20時に終わるところなのだ。

 兄貴は俺のためにこれを許したわけじゃない。そこに兄らしい優しさはないと言っていい。兄貴はただ俺があれこれと反抗したりしないようにするためだけに許したのだ。自分の一番使えるアリに砂糖を与えただけだ。それで、そのアリがまた命一杯働くのを望んでいる。

 俺は兄貴の弟だ。

 兄貴には逆らえないし、逆らう気もない。一生兄貴の弟としている覚悟はとうにできている。

 諦めろと兄貴は言った。

 その言葉が枷になり、俺の理性になる。足はあまり急がずにゆったりと前へと動く。惚れこめない、家族も恋人にもならない、名前のある関係性にはならない。それだけの話だ。きっと、この5ヶ月間で俺はきっちり兄貴の言いつけ通りにするだろう。

 だが、未来はわからないものだ。

 俺はレストランの裏口のドアを開けた。組織の人間とそこの従業員達が驚いた顔をして俺を見つめている。俺は兄貴に似た顔で笑って、他の従業員のように驚いている彼女を外に連れ出した。兄貴もよくやっていることだ。

 兄貴は別に商売女だろうがなんだろうがあまり気にしない。それに、兄貴のあの顔とスタイルで落ちない奴はいない。話だってうまいし、声だって甘ったるくてぐずぐずに煮た砂糖みたいだ。あれで囁かれれば、顔を火照らせない奴はいない。

 店の裏まで回り込み、立ち止まると彼女は口を開いて「どうしたの?」と言った。

「いや」と俺は言った。

 彼女は困ったような顔をしたが「お昼は来てくれてありがとう。顔を見たら安心したわ」と言った。

「そう」

「あなたもエドワードも優しいわね。それとも、粗相をしてないか、監視にきてたのかしら」

「監視っていうほどじゃないさ。初日だけど、どうだい、仕事」

「ええ、ちょっと怖い人もいるけど大丈夫よ。心配しないで」

「これから……」といいかけて俺は「息子に会いに帰るんだろ?」と笑ってみせた。

「そう、久しぶりに一緒に食事ができるの。本当にありがとう、この仕事を紹介してくれて!」

「いや、いいんだ。あのさ、俺、21時から24時までは兄貴に仕事外されてて、その……」

 俺は頬を掻いた。ずいぶんと俺は兄貴と一緒に遊んだはずだ。男相手だって女相手だって、ずいぶんとやりこめたはずだ。

 彼女は俺をじっと見つめた後「よかったら、家によっていかない?」と言った。迷子の子供に優しくするような表情をしていた。俺は迷子だったわけじゃないのだが、気持ちはそうだっただろう。彼女に子供がいなければ、俺は強引に部屋に持って帰っただろう。

「いいのか?」

「恩人さんだもの。それに、私、あなたのこと嫌いじゃないし、是非私のレオナルドに会って欲しいわ」

「それじゃあ、少しの間だけ。食事代は出すよ」

「あら、いいのよ。2人も3人も変わらないわ。車で来てるの。乗るでしょ?」

「ああ、ワインを飲んだから、運転はできない」

「そう、エドワードと?」

「そう。兄貴とね」

「やっぱり、あの人優しいわね。勘違いでも、私にはそう思えるわ」と笑って、車に乗り込んだ。俺も乗り込んだ。窓は外から見えないように加工されている。

 彼女は「この車、買ったの私じゃなくて、前の彼なの。あの口ばっかり大きいね。これだと、何をしてもわからないだろって。いやらしいわよね」と車を発車させた。俺は小さく「こっちとしてもありがたいけど」と呟いた。

 彼女の家に着くと、小さな男の子がドアを開けて「ママ!」と言って、彼女に抱きついた。彼女も男の子を抱き上げて「ただいま、ハニー!」とぎゅっと抱きしめた。俺は横で眺めていた。

 男の子は俺に気がつくと、屈託のない笑顔で「こんにちは!」とあいさつをした。俺は「今の時間はこんばんはだぜ、坊や」と返した。男の子は笑って「ママ、この人誰?」と彼女のほっぺたを両手でつかんだ。

「お仕事を紹介してくれた人よ。あなたのことを紹介しようと思って」

「ふうん。おじさん、僕、レオナルド。えっと、6歳で、ええとハリーが好きなんだ! ヒーロのね、飛んで怪獣をやっつけるんだ。かっこいいんだ」

「俺は、ヒーローだとバナナマンが好きだ」

「変なのー!」

「俺もそう思う。えー、俺はアレックス。一番でかいカジノのボスの右腕だ。あんまり色々聞くんじゃないぜ。俺はヒーローとは反対だから」

「ヴィランなの?」

「いや、中途半端にワルなのさ。さ、坊や、今日はママとの久しぶりの晩御飯に俺が入ってもいいかな?」

 レオナルドは少し考え込んだ後「いいよ」と言った。

 ジェニファーは俺を見て「あなた達の家よりも狭くて汚いけど、上がってちょうだい」と言った。

 俺はありがたく上がらせてもらった。

 確かに俺たちの家よりも狭く散らかっているが、汚くはない。そこら辺に遊び終わった後なのだろうおもちゃが散乱している。彼女はレオナルドに「片付けしなくちゃダメよ」とだけ言って、作っておいたのだろうご飯を温め始め、ついでに他のおかずも作るらしい。

 俺がキョロキョロしていると、レオナルドがコートの裾を掴んで「一緒に片付け手伝って」と言った。俺は頷いて手伝った。

 彼は俺と同じくヒーローマガジンが好きらしく、学校の友達に見せてもらっているらしい。どこがよかったとか、新しいヒーローがどうとかいう話をした。

「レオナルド、宿題はやったの?」

「まだ!」

「今のうちにやりなさい」

 俺は思わず笑ってしまった。そんな平和な会話、久しぶりに聞いた気がする。レオナルドは不思議そうにしている。俺は彼の頭をわしゃわしゃとかき混ぜて「宿題見てやるよ」と言った。

「やった!」

「答えは教えないぞ」

「なんだ」

「学校は楽しいか?」

「楽しい時もあるし、楽しくない時もあるよ」

「そういうもんだ。なあ、レオナルド」

「なに?」

「お母さんは好きか?」

「うん! でもね、前はね、朝しかいなかったから、僕、ママに仕返しするつもりなんだ」

「へえ」

「公園でいっぱい友達と遊んでね、夕方に帰ってやるんだ。それから、わがまま言ってね、困らせるの」

「そりゃあいい仕返しだ。俺も参加したいな」

「ダメだよ」とレオナルドはしっかり言った。

 俺は「じゃあやめとく」と言った。

「ねえ、おじさん」

「アレックスだ」

「わかったよ。アレックス、あのね、ここがわからないの」

「ん、どこだって?」

「これだよ。おっきくてわかんない」

「わかる数字に置き換えてごらん」

「うん」

「例えば、ほらこれとこれで、そこからな」

「あ、わかった! ありがとうアレックス」

「ああ」と頷けば、兄貴から電話がかかって来た。

「兄貴か、どうした?」

「いや、お前、今どこにいる」

「ジェニファーの家」

「アッハハハハハハハ! 手が早いな! 息子も落とす気か? まあ、いいけど。外にいるなら用事頼もうと思ってよ」

「ああ、いいぜ」

「悪いな。どうせなんにもせずに帰ってくるだろ?」

「まあ、そうだな」

「釘が全部錆びちまってよ。それ買って来てほしいんだ」

「釘だな」

「それと、弾がそろそろ欲しい頃だ。あと、頼んでたジャケットができあがるからそっちも頼む」

「わかった」

「そんじゃ、頑張れよ」と兄貴はさっさと電話を切った。

 少しだけ彼女がこちらを心配そうに見ている。俺は「ただのお使いらしいよ」とできるだけ安心させるように笑ってみせた。彼女はそうと頷いて「ご飯できたわよ」と言った。

 次の日も俺は彼女の家にいた。その次もだ。

 レオナルドは俺を見れば「アレックス!」と俺にまでじゃれついてくるようになった。

 彼はなつきやすい子供なのかと思えばそうではなく、友達は少なく内気な方らしい。俺に対して、ハキハキものを言ったのは、母を取られまいとする気持ちだったらしい。だが、数週間もすれば彼の俺に対する評価は「友達」になっていた。

 俺は少し困って、兄貴に相談すれば「いやいや、賢いガキじゃないか」と笑った。

「脅してみりゃどうだい」

「そんなのできないよ」

「俺がしてやろうか。そういうのは最初が肝心だぜ? 今度、クリスマスがあるだろ、あれに呼んでやれ」

「呼んでもいいけど……」

 兄貴は俺の肩を叩いて「子供用の菓子も用意してあるからさ。さすがに大人にやるようなことはしねえよ」と言った。

 俺は早速、ジェニファーとレオナルドを誘った。

 少しだけなら飯も出るし、お菓子もあるからといえば、レオナルドは勢いよく「行く!」と言う。ジェニファーは最初は遠慮していたが、俺がしつこく言うので頷いてくれた。俺はとてもホッとした。

 クリスマス当日、彼女とレオナルドは少しおめかしをしてやってきた。

 兄貴はレオナルドを見ると「お前がレオナルドか。いい男じゃないか。でっかくなったら、こりゃモテるぜ」と笑って、俺にするみたいに頭をかき混ぜた。

 レオナルドはびっくりした顔をした後、俺と兄貴を見比べて「いいなあ、僕も弟か妹欲しいなあ」と言った。兄貴はそれを聞いて大笑いして、俺の耳元で「作ってやれよ」とささやいた。俺は適当に頷いた。そのつもりだった。

 兄貴はレオナルドが気に入ったのか、抱き上げていろんな場所を歩いて行った。兄貴は案外子供好きな性格をしているので、あまり不自然な感じはなかった。

 俺とジェニファーは二人きりになってしまったので、仕方なくカジノを案内した。彼女はしきりに興味深そうに頷いていた。

「アレックスー!」と遠くから兄貴の声がするので、急いで向かっていけば、テーブルゲームを教え込んでいたらしい兄貴がレオナルドを指差して「すっごく運がいいぜ、こいつ!」と嬉しそうに笑っていた。

「なんだよ、なにかあったのかと思って驚いたじゃないか」

「悪い、悪い。お二人さん、デートはどうだった?」

 俺と彼女は顔を見合わせた後「子供の前で……」という風に兄貴をにらんだ。

 兄貴はレオナルドに向かって「アレックスとお前の母さんが恋人同士になったらどうする?」と聞いた。

 俺は思い切り兄貴を睨みつけた。

「どうもしないよ。僕とアレックスは友達だもん」

「へえ、友達ねえ」と兄貴は笑った。

 それから、ポケットから銃を取り出し「これがなにかわかるかい、坊や」と言った。俺は彼女を見た。彼女は静かに二人を見つめていた。

「わかるよ、銃だ」

「そうだ。なあ、俺の兄弟の友達くん。俺はな、ギャングだ。生き残るためには人だって殺すし、弱みなんてのは作らない。お前はアレックスの友達らしい。友達ってのは弱みになる。なあ、わかるか?」

 レオナルドは不思議そうな顔をしていた。

 兄貴は天井に向かって銃をぶっ放した。大きな音と人のうめき声がした。

 天井の上を見てみると赤い染みができている。

「レオナルド」

「兄貴……」

「人は死ぬ時赤い血を流すんだぜ。知ってたか? この上にはな、今頃俺の頭に穴をあけようとしたやつが転がってる。こんな風に俺たちはな、毎日、命を狙われてるようなもんなんだ。その友達であるお前も下手をすりゃ、上のやろうみたいに赤い血を流すことになる。わかるか?」

 兄貴の肩に赤いものが落ちる。ネイビーのジャケットが黒くなっていく。レオナルドは呆然と見ていた。兄貴は彼の手を持って、肩を触らせた。レオナルドはビクッとして手を引っ込めようとしたが、大人である兄貴の力の方が強い。

「気をつけな。俺はお前を気に入ってる。運のいい男は嫌いじゃない。生き抜けよ」と兄貴はそのまま彼のおでこにキスをして手を離した。彼の手は赤かった。

 俺は彼女が動き出す前に彼の手を黒いハンカチで拭ってやった。

 レオナルドは俺を見た。

「ヴィランだ」

 彼は呟いた。兄貴は大笑いして、レオナルドは泣いた。

「悪かった、悪かった! ケーキもあるし、肉だってあるから、それで機嫌なおしてくれよ、なあ。俺はお前と仲良くしたいんだぜ、本当さ」

 俺は兄貴から彼をひったくって「俺の兄貴がすまなかった。こんなことになるとは思わなかったんだ。悪い。レオナルド、でもな、これが現実なんだよ。俺と友達でいるのはよそうぜ」と言えば彼はもっと泣き喚いた。俺はどうしていいかわからず、ジェニファーを見た。彼女は怒っていた。

「ジェニファー、そんなつもりじゃなかったんだ。レオナルドにはそんな脅しなんてすると思ってなかったし、まさか天井にいるとは思わなかったんだ。兄貴がどこで天井にいることがわかったか知らないけど、これだけは本当だ。俺は君たち親子に危害を加える気は一切なかったんだ。ただ、俺は喜んでもらいたかっただけなんだよ。許して欲しい」

 彼女はまだ怒った顔をしている。俺はどうしていいかわからずにレオナルドの背中を少し握りしめた。すると、さっきまで泣いてたレオナルドは嗚咽を漏らしながらも「ママ」と彼女に手を伸ばした。俺は彼女に彼を渡した。

「ママ、アレックスを許してあげて。僕、びっくりしちゃっただけなんだ。こんな街に住んでたら、そんなの僕しょっちゅう見てるもん。本当にびっくりしちゃっただけだから、許してあげて」

「レオナルド……」

 兄貴が俺の肩に腕を乗せて「いい子だな」と言った。

 彼女はレオナルドを見てから、俺たち兄弟を見て「しょうがないわね」と困ったように笑った。

「私、そんな風に謝られると、弱いのよ」

 兄貴は俺がなにかアクションを起こす前に彼女の目の前に立って、彼女の手からレオナルドを取り上げ「どれだけ運がいいのか試したい」とだけ言った。

 彼女は少し不安そうな顔をして兄貴とレオナルドを見つめている。

「心配することはないさ。お前らは2時間ほどどっかに行ってな」とだけ言って、人混みの中に入っていった。

 俺は彼女の手をとって「兄貴に任せてれば、安全だから。少しだけ話をしよう」と部屋に向かっていった。兄貴はそのために2時間やると言ったのだ。

 彼女は大人しく部屋に入った。

 俺は彼女に椅子を進めた。

「今日は、悪かった」

「いいのよ。レオナルドがいいっていうなら、本当はひっぱたいてやりたいくらいだけど。それに、別に脅されたことに一番怒ってるわけじゃないのよ。レオナルドと友達をやめようって言ったことに怒ってるの」と笑った。

「そう、か」

「レオナルドと友達でいてやってくれる?」

 俺は頷いて「ああ。でも、実は、兄貴に君に会うのは5ヶ月……今からだと3ヶ月だけしか許してもらってないんだ。俺たちの仕事っていうのもあるし、兄貴の性格とか考慮したら3ヶ月後は一切会わないことになる。レオナルドにもそれとなく言っておいて欲しい。だけど、なにもなくなるってわけじゃない」と言った。

「ふふ……、そんな気はしてた。だって、あなたの顔を見てたら、焦ってるような必死な顔をしてたもの」

「そんなに分かりやすかった?」

「私にはわかるのよ」

「そうか」

 俺は頭を少し掻いた後、兄貴が飲んでたのだろうワインをコップに注いで彼女に渡した。

「兄貴のだから、美味しいはずだ」

「本当? 私、ワインがお酒の中じゃ一番好きよ」

「そう」

「ねえ、話ってそれだけ? 確かに急に会えなくなったらびっくりするだろうけど、私だってこの街に生きてるのよ。なんとなく察することだってできるわ」

 ジェニファーは探るように俺の目を見つめた。俺はワインを飲んだ。

「なあ」

「なに?」

「身もふたもないし、ムードのかけらもないし、そもそも俺は君とどうにかなれるような男じゃないし、そこらへんも諦めて欲しいんだが」

「うん」

「子供、産んでくれないか」

「へ」

「ダメか」

 俺がチラッと彼女を見ると、目のあった彼女は大笑いして「それってどういうこと?」と聞いた。

「兄貴は、あれでいて子供が認知してないだけでいるらしい。兄貴の真似っこなんかじゃないぜ。ただ、俺だって、死ぬ前に子供くらい欲しいんだ。いつ死ぬともわからないだろう? 多分、君以外にはこんなこと頼まないだろうし、今まで言ったこともそうしたいと思ったことはない」

「そう。それで?」と彼女は笑って俺を見つめている。

「俺もできたとしても認知はしない。それに、名前のある関係性にはなれない。それでも、頼めないか」

「いいわ。あなたに迷惑はかけない。それに、レオナルドも弟か妹が欲しいって言ってたし」

 俺は思わず立ち上がって、彼女を抱きしめた。コップが床に落ちて、絨毯にシミを作った。だが、血ですでにこの絨毯は汚いので、気にすることはない。彼女は腕の中で「まあ」とだけ言って、俺の背中をさすった。

「もしもできたら、教えにきてもいい?」

「頼む」

「エドワードは怒らないかしら」

「多分、殺しにかかってくる」

「そう。でも、教えにくるわね。大丈夫、私、こういうのは得意なの」

「ああ」

 それから、俺たちはベッドになだれ込んだ。相変わらず、ベッドは少し硬く鉄っぽい匂いがした。

 その日から、ほとんど毎日のように俺たちはカジノで会った。レオナルドはなんとなくなにか察しているようで、時々俺に意地悪をするようになった。

 だが、俺がこっそりとヒーローマガジンをジェニファーの家に届けるように契約してからは、少しだけ意地悪が減った。彼は相変わらず、俺を友達といい、兄貴のことも友達だと言った。兄貴にそれを教えれば、とてもうれしそうに笑って「あいつな、相当運のいい坊やだぜ。本当に」とだけ言ってタバコを吸った。

 あっという間に3ヶ月経った。

 俺はそれ以降、彼女に一切会わなくなったし、レオナルドとも会わなくなった。兄貴も話題に出したりしない。俺たちはいつも通りの日常に戻ったのだ。

 

 ある日、兄貴から内線がかかってきた。

「おい、お前にお客さん」

 俺にお客さんなんて来ないので、不思議に思いながら部屋にいくと、彼女がいた。

「ジェニファー?」

「久しぶりね」

「え、ああ」

 兄貴は俺に向かって「お前の女は賢くていい女だよ! 座れよ」とだけ言った。

 なにがあったかはなんとなくわかった。やってきた彼女を兄貴は殺す気でいたのだが、結局、できなかったのだろう。机の上においてある銃がそれを示していた。

 俺は兄貴の隣、彼女と真向かいに座った。

「クリスマスに生まれる予定なの」と彼女は笑った。

「あ、そうか」

「教えにくるって言ったでしょう。それだけよ。もう来ないわ」

「そう」

 俺は黙り込んだ。彼女も黙った。兄貴はオレンジジュースを飲んだ。

「クリスマスに生まれるのか」

「ええ」

「クリスマスでどこの病院で産むんだ?」

「兄貴、なにを」

「隣町の病院よ。住所の書いてある紙、渡すわね」

 兄貴は紙を受け取って「俺はクリスマスだけは優しいんだ」と言った。

「だから、実のところ、俺の認知してないガキにクリスマスだけはプレゼントを贈ってる。あんたとこいつのガキがクリスマスに生まれるんだってなら、俺はカジノでクリスマスにだけなら会ってもいいって言わなくちゃならないな」

「兄貴、いいのか?」

「賢い女だよ、こいつは。それに運もいい。それともレオナルドの運か? まあ、どっちにしろ、クリスマスに生まれたってんなら、俺はいいっていうぜ。クリスマスにならな」

 俺とジェニファーは顔を見合わせた。

「だが」と兄貴は言った。

「それだけだ。もう諦めてるみたいだから、うるさく言わないがな。それだけだぞ。俺は表に出る。ガキの名前だけでも決めてけ」

 兄貴はタバコをポッケに入れて、部屋から出て行った。

 兄貴が出て行くと、ジェニファーは俺の手を取って、自分のお腹に触らせた。

「まだぺったんこだけど、いるからね」

「そうか」

「ねえ、本当にあなた達兄弟って優しいわね」

「馬鹿言うなよ」

「あの人、タバコもお酒も私のまえじゃやらなかったわ」

「そう」

「名前、あなたが決めて。そしたら、覚えてられるでしょう?」

「うん」

「レオナルド、喜んでたわ。あなたのことはね、来なくなって寂しいけど、マガジンが届くからって」

「そうか」

「毎日読んでるわよ」

「コーヒー飲みながら読んだらいい。俺もそうしてる」

「ええ」

「男ならヘンリーで女ならキャリーにしよう」

「そうするわ。それじゃあ、帰るわね」

「ああ。表まで送っていくよ」

「ありがとう。レストランはやめたわ、他のところに行くことにしたの。あの時はありがとう。大丈夫よ、そんなにお給料も変わらないし」

「そうかい、良かったよ」

 部屋を出れば、タバコをふかしていた兄貴は床にタバコを落として踏み消し「名前は決まったか?」と笑って聞いた。俺は頷いて「男ならヘンリーで女ならキャリーだ」と教えた。兄貴はそうかいとだけ言った。

「表まで送って行くんだろ」

「ああ、兄貴もくる?」

「いや、そうだな……。ああ、送ってくよ」

 俺たちは揃って彼女を表の玄関まで送った。彼女はあの時のように俺たち兄弟のほっぺたにキスをして、晴れやかな笑顔で去って行った。

 兄貴と俺はなぜか顔を見合わせた。それから大笑いして「これだから、女ってのはいい」とお互いの背中を叩き合った。


 今年も、彼女と息子達がやってきた。

 レオナルドはもう11歳だ。弟のヘンリーは5歳だ。二人とも、すくすくと成長している。相変わらず、ジェニファーはいい女だ。

 いつものように少しだけおめかししている彼らがカジノにやってきた。

 俺は兄貴と探偵のそばを離れた。

「久しぶり」

「ええ、久しぶり。毎年呼んでくれてありがとう」

「ああ。レオナルド、ちゃんと宿題やってるか?」

「やってるよ。俺ね、この間の試験で一番取ったんだぜ」とレオナルドは俺に向かってピースサインをしてみせた。

「さすが俺が教えただけはある」

「ちょっとの間だけじゃないか」

「そうだな」

 俺はヘンリーに向き合った。彼は俺に顔だけ似てる。他は母親そっくりだ。

「ヘンリー、誕生日おめでとう。ほら、プレゼント。大きくなったら、履いたらいい」

「ありがとう」と彼は靴を受け取った。レオナルドは覗き込んで「いいなー!」と言った。

「お前にはマガジン送ってるだろ」

「ちぇっ! あ、俺、エドワードのところに行ってくる! ほら、ヘンリーも行こう」と言って、駆け出して行った。

「元気なようで良かったよ。なにか変わりは?」

「なあんにもなく、隣町で健やかにやっております」

「そうかい」

「ねえ」

「ん?」

「毎年、お金は送ってこなくてもいいのよ」

 俺は黙った。

「なにも困ってないし、してもらってばかりで」

「なあ」

「なに?」

「兄貴だって金を渡してる。それは、俺とは違う意味合いを持ってるだろうけど、俺がしたって不思議じゃないだろう」

「そう、ね……」

「それだけの話さ。それよりも、ほら、テレビで見ただろ? 俺たち、本当にヴィランになっちまった。だからさ、対抗馬のヒーローがきてるんだ。そいつが、写真とってくれるって」

 ジェニファーは俺を見た。

 俺は少し笑ってみせた。

「写真、とらないか?」

 彼女は俺の肩に少し自分の肩を当てて「何枚まで?」と聞いた。

「好きなだけ」

「まあ、嬉しい。ねえ、なにかあるの?」

「さあ、わからない。兄貴は足音が聞こえるって言ってた。なあ、なにがあっても驚いたりしないでくれよ?」

「努力するわ」

 俺は兄貴と息子達を呼んだ。彼らは手をあげて笑った。俺も笑った。

 兄貴は抱き上げていたヘンリーを下ろし、探偵に「写真撮ってくれよ! こういう和やかそうなのがあってもいいだろ」と言った。

 探偵は少しだけ俺とジェニファーを見て、疑うような顔をした。

 ジェニファーは俺たち兄弟を抱き寄せて、それぞれ「ハッピーメリークリスマス!」とほっぺたにキスをした。俺も兄貴もゲラゲラ笑った。兄貴も俺も彼女に「メリークリスマス!」とお返しした。

 レオナルドが「俺も!」と言うので、俺たちはかがんだ。

「ほら、ヘンリーもしなよ」と言われて、ヘンリーも俺たちにキスをした。

 俺たちはゲラゲラ笑って、ついでに探偵にもやってやった。探偵の野郎は顔を真っ赤にして「やめろよ!」と大きな声を出して、カメラから手を離して両手でほっぺたをこすった。

「おいおい、俺たちからのキスだぜ? ありがたく受け取っておけよ」

「そうだぜ。そんなこと滅多にしないんだ。もったいない」

 兄貴はニヤニヤしながら「おい、探偵、俺たちにお返しはなしかい?」と聞いた。探偵は「するわけないだろ」とだけ言った。

 探偵の疑うような目はもうなかった。

 俺たちはたくさん写真を撮られて、たくさん笑った。

 クリスマスだけはいつも陽気でハッピーだ。そうじゃない日なんてなかった。だから、兄貴も俺もクリスマスは好きだ。

カジノが終わるころ、子供達はぐっすりと眠っていた。タクシーを呼んで、彼女と息子達を送らせた。彼女は俺たちに、いつもと同じように「二人ともありがとう」と言って、ほっぺたにキスを送った。

「それから、探偵さんもね」と彼女は奴のほっぺたにもキスを送った。

 兄貴はぽーっとしている探偵の頭を「この野郎」と腕で締め付けた。探偵がギャンギャン言っているその間に、俺は彼女と息子達のおでこやほっぺたにキスをして「それじゃあ」と言った。彼女も「それじゃあ」と言った。

 タクシーの扉が閉まって、隣町の方向に向かって行った。

 やっと兄貴に解放された探偵は「暴力反対!」と言った。俺は奴の鳩尾に拳を食らわして「黙ってくれ。玄関先で騒ぐなんざ、困るんだよ」と首根っこを引っ張って、カジノに戻った。

 兄貴は俺の肩に腕を回し「俺は、クリスマスは優しいだろ?」と言った。俺は頷いて「ああ、クリスマスの兄貴は優しい」と言った。

「今夜はとことんまで楽しもうぜ。それに夜になったら女が来るんだし」

「ああ」

「探偵」

「なに?」

「お前もうちに来て、楽しむか?」

 探偵は少し時間をおいてから真っ赤になって「じょ、冗談じゃない!」と叫んだ。

 俺たちは大笑いしてやった。彼の鼻から赤いものが垂れてたのと、少しだけ考え込んだからだ。クリスマスの夜だけは、なにもない。いつも、なにもない。

離れていても愛してる。

ジェニファーは儚げ美人。なんでここまでジェニファーが惚れたかっていうと、多分、最初にアレックスがほんのり好きになって優しくしたからだと思う。前の旦那は歌手で、最初は優しかったけど、実際はクズ野郎だったっていうパターンのやつ。だからこそ、アレックスの優しさが響いたし、子供を考えて、中々手を出してこないヘタレ感というか紳士っぽさというか、そういうところもよかったんだと思う。


もしも、アレックスが普通のカジノのボスの右腕でもないただのアレックスなら確実結婚してたし、普通に幸せな家庭築いてたと思う。庭でキャッチボールしたり、動物園行ったり……。

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