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亜人のミカタ  作者: もなここ
第一章
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04 商人と冒険家

 どちらに向かうでもなく適当に歩く俺とミリー。2時間くらい歩いただろうか、目の前に川が見えてきた。


 川の近くで休憩しているであろう馬車と、何人かの人の姿が見えた。俺達は、町の場所を教えてもらおうと近寄っていく。


「こんにちはー!すいませーん。この辺で一番近い町に行きたいのですが?」

と俺は尋ねた

「こんにちは。ここから近いのはカルーンの町だが、歩いて行くのかい?歩いたら3日はかかるよ?」

 人の良さそうな笑みを浮かべ、俺と同い年くらいのココットと名乗る商人の男性が教えてくれた。


 衝撃だった。日本に住んでいた常識では、直ぐに人がいる町なんで見つかると思っていたのだ。改めて異世界では、今までの常識が通じないんだなと思った。


 突然草原の方から、見たことが無い服と、武器も持つことなく現れた縁達を最初は警戒していた様だか、自己紹介と、この世界に来た経緯を正直に伝えると、『渡り人か』と成る程と言った様子で理解してくれた。


 ココットさん達は、カルーンの町で小さいながら、ココット商会と言う店を構えているそうで、この場所には御者で初老の男性ラリー、荷物持ちの青年ダーランの3人。


 ココットさん達意外は、護衛で冒険者の『紅色の騎士』という3人のパーティーだそうだ。

 リーダーのデュランと言う『マンガか!』と思うほど筋骨隆々の赤が少しくすんだような髪色のダンディな男性が、痛いほどガシッと握手をし、

『敬語は要らねぇから、ヨロシクな!』と言いながら教えてくれた。デュラン以外に、弓使いの青年ラオル、魔法使いの女性サニッシュ、デュランは腰に剣を携えているので剣士であろう。


 ココットさん達は、サンタナと呼ばれる、カルーンの隣町から店舗のあるカルーンに戻る途中だと言った。


「ところで…よくそんな格好で草原をうろついて魔物に会わなかったなぁ?」

デュランは不思議そうに目を細めて言ってきた。


「!!!」


 『そうだよね』忘れてた…『魔法やっほい!』とテンションが上がっていたが、このシチュエーションで魔物の存在を忘れるとか、どうした。冷静に物事を考えられて居なかった今までに背筋かゾッとし、身震いした。そんな俺をココットさんが心配そうに見ながら、


「これも何かの縁ですし、よかったら一緒にカルーンの町まで行きませんか?」


 嬉しすぎる言葉だった。デュランの言葉で、魔物に襲われたらどうしようと言う不安に押し潰されそうになっていた矢先の救いの言葉。思わず食いぎみに、


「是、是非ご一緒させてください!!!」


 ココットさんは優しい笑みを浮かべ、デュランはガハハハ!と豪快に笑った。


 ココットさんに促され、馬車の荷台に乗せてもらい馬車は出発した。乗り心地は乗り慣れた車のそれではない…ガタガタと小石のようなものにのり上げる度、馬車は上下する。


 縁は元々車酔いなどしない性質なので、振動だけ我慢すれば快適だった。一方ミリーは元々猫である。馬車に乗り込む行為に戸惑いはあったようだが、振動や乗り心地など全く気にしていない様子である。


 ココットさんから、堅い食感のパンでできたサンドイッチと、麦茶に似たお茶をもらい、この世界に来て初めての食事を取りながら馬車に揺られていく。


 ここはティリスト王国と言うらしい。草原が広大に広がり、人間が住むにはいい環境だそうだ。草原の辺りは比較的弱い魔物しかいない。森の奥深くに強く獰猛な魔物が居るため、弱い魔物は森に入って直ぐくらいにしか住めないことが理由らしい。


 勿論そうだとしても油断は禁物なので、町を出る際、魔物と戦う術を持たない人は、護衛をつけて移動するらしい。


「デュランさん達にはいつもお世話になっているんですよ。」

 

 ココットさんはそう言いながら、この世界の事を教えてくれた。


 小休憩を挟みながら8時間くらい経ったであろうか、建物が見えてきた。


「あそこは『トント』の村ですよ。今日はここで宿をとり明日中にはカルーンの町につく予定です。」


 ココットさんはそう説明してくれた。村は町ほど栄えてはいないが、宿屋、道具屋、料理屋、その他肉や野菜を売る店は存在し、必要最小限の生活は問題なく過ごせると言った具合だそうだ。


 俺達一行はトントの村へと入っていった。


 簡易的な木でできた柵と堀に囲まれた村だった。建物は50棟くらいだろうか、木と土壁でできた家々が多い。村は宿屋などの店舗を中心に、円形に広がっている。俺達はココットさんがよく利用すると言う宿屋に入った。


 宿屋に入ると直ぐにフロントがあり、左がフロントから繋がり食堂兼酒場のスペースがありテーブルや椅子が並んでいる。右側が宿泊用の部屋がある場所だ。


 ココットさんは、返せるようになったら返しに来ればいいよと、クレールの町に着くまでの諸々の代金を肩代わりはしてくれている。


「もう一室追加でおねがいできますか?」

ココットさんは追加で部屋を借りてくれる。サンタナの帰りには必ずこの村のこの宿屋に泊まるらしく、自分達の部屋はすでに予約してあった様だ。


 ココットさんは俺に鍵を渡してきた。

「はい。これが部屋の鍵です。夕食は1時間後にあちらの食堂で皆で食べましょう!」

「有り難うございます。」

感謝しながら鍵を受け取り、軽くみんなに挨拶を済まし一旦部屋に向かう。


 部屋のある建物は、一言で言うとログハウスだ。ほぼ木でできた建物だった。部屋にはベットが2つあり、窓の辺りに小さなテーブルと椅子が二脚。小綺麗な感じだ。ランプは入り口、テーブル、枕元と3箇所。蛍光灯に慣れている俺には薄暗く感じた。


 お金も無いのに贅沢は言っていられないので、宿屋で寝れるだけましだと自分に言い聞かせた。


「ッゴッ!」

 俺はとりあえずベットにダイブしてみた。…うん。…硬めだな。木のベットに薄い敷き布団を敷いただけの感じなので当たり前だった。


「ッゴッ!」

「ふぇ~…」

 今度はミリーがダイブしていた。悲しい顔でこちらを見ている。


 人間としてどこまで理解ができているのが分からないが、俺の真似をしているようだ。ここまでの道中も、だいたい俺が先に行動を起こしてから、同じように動いていたなと思った。


 多分言葉を理解し、受け答えができるって感じになっただけなのであろう。今後もいろいろと教えることが多そうだ。

 

 しかし…潤んだ目をしたミリーはめっちゃ可愛かった。

元々が猫だったとはいえ、こんな美少女と同じ部屋で寝て良いのだろうかと、今更ながら心が踊ってしまった事はミリーには内緒である。


ゆったり更新も、内容もスローペースて進行中です。

ゆったりとお付き合いお願いします。

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