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亜人のミカタ  作者: もなここ
第一章
1/13

01 交通事故にあいました…

初投稿です。

誤字、脱字あるかと思いますが、

宜しくお願い致します。

「…眠い。」


 今日も一日が始まる。

だるそうに瞼を開こうとする阿刀縁。


「朝ごはん出来てるから早く食べなさい!」

もう25歳にもなる縁だったが、朝が弱く、学生時代から続くいつも流れを絶ちきれないでいる。今日も相も変わらず、母親から怒気を帯びた言葉を浴びせられる。重い腰を上げ、急かされながら身支度をし、朝食を急いで腹の中に押し込む。


「シャキッとしなさい!気を付けていっといで!」

と言う言葉と共に、『バシッッ!』と背中に衝撃がくる。いわゆる愛のムチ?的な母親の攻撃を受け、見送られる。

「っいってぇよ…んじゃ行ってきます!」

縁が返す。これもいつもと同じ朝の光景だ。


 社会人3年目となり仕事も慣れてきた。同時に色々と人間関係などで悩みも出てくる。ふと、このままでいいのかなぁとか、転職でも考えようかなぁとか、頭の中であーでもない、こーでもないと考えを巡らせる今日この頃なのである。


 そう考えるのも、同期の奴らと自分を比較したときに、いい加減能力の差が出始めてきたことだ。大きく分けて2パターン存在する。1つ目は、勝ち組として出世する同期。バリバリと仕事をこなし、彼等の表情はやる気に満ち溢れ輝いて見える。2つ目は、逆に縁と同じで、負け組として置いてきぼりになっている同期。頑張っていないわけではいないが、彼等の表情は何処か覇気がなく、沈んでいるように見える。


 今日も会社に着くなり、

「阿刀っ!この資料今日中にまとめておいてくれる?」

と同期の上司が言う。

「…かしこましました。」

歯切れ悪く縁は返答する。同期なのに上司である為、敬語を使わなければならない…。


 周りからの反応も、勤務年数が進むに連れ、入社したての頃のチヤホヤ感は当然無くなる。当たり前である。新人と中堅の狭間で四苦八苦するが、大きな成果もあげられず、終いには同期が上司になるとか苦行でしかない。


「…ふぅ」

 縁は思わず溜め息を吐いてしまう。

ここ最近、不甲斐なさ等ずっと感じている。業務において空回りな事はしていないつもりだ。しかし、大きな成果を出せていないのも事実だ。更に、一人を好む朝陽にとって、団体行動、チームワーク、仕事終わりの付き合いなど、周りに合わせる事が苦手な事もあり、自分の皮から抜け出せず、中途半端な人付き合いしか出来ないでいるのだ。


「お疲れ様でーす!」

「お先ー!」

「お先に失礼します。」

同僚達が口々に退勤の挨拶を済ませ帰路につく。

「お疲れ様でしたぁ。」

と縁は見送りながら言葉をかけ、人が減るのを待つ。


 縁は何時もの様に自分の業務を終えて、同僚との帰宅時間をずらす為にちょっぴり残業し、頃合いを見定めて帰路につく。


「…今日も疲れたなぁ…」

溜め息混じりの声が漏れる。

「…しかも雨かよ…」

生憎の雨に、元々高くないテンションが更に下がる。

折り畳み傘はいつも持ち歩いてある。

社会人になって身につけた、どうでもいい習慣である。


 傘をさしとぼとぼと歩きながら、行き交う人に目を向ける。

並んで笑いながら歩く人、傘をさしながら電話をし、謝罪をする人、無表情で速足で歩く人、様々な人が行き交っていく。そんな風景をぼーっと眺めながら歩くのが嫌いじゃない縁。今日も何時ものように周囲をチラチラ見ながら歩く。


 少し見透しの悪い緩いカーブを曲がろうとした時、縁の目の前を、『タタタッ タタタッ タタタッ』ふと白い何かが横切る。

『チャリ チャリ』水を含んだ鈴の音が聞こえる。縁は一瞬だが、その白い何かと目があった気がした。


「ん?…さっきのは犬だろうか?猫だろうか?」

縁は首をかしげながら独り言を呟く。

その直後『ブップー ブップー』前方からトラックのクラクションの音が聞こえる。


 音のする方を向くと、白い何かが道路の真ん中で止まっている様だ。急に聞こえたクラクションの音と、自分に迫ろうとしている鉄の塊に驚き過ぎたのか腰を抜かしたように固まっていた。トラックも、見透しの悪い道な上、雨のせいで視界が良くなかった為か、直前まで気付かなかった様子だ。クラクションを鳴らしたとほぼ同時に急ブレーキをかけたようで『ギギィィィ』と大きな音をたてながら白い何かに迫っていた。


 そんな光景が目に入り込んでくる。縁はどうした訳か、生涯で今までの感じた事の無い感情に脳が支配され『助けなきゃ』その言葉が脳内を埋め尽くす。気が付けば、傘や鞄を放り投げ、白い何かに向けて体が勝手に駆け出していた。


 必死に走った。白い何かを助けたい一心で無我夢中だった。白い何かを腕に抱いた所までは覚えいる。『ガッシヤャャャャン!!!』と言う音と共に、全身を突き抜ける痛みが縁を襲った。縁の腕の中ではずぶ濡れで、動かない白い何かが丸まっている。どちらの血か分からないが、所々赤く染まっている。


 朦朧とする意識の中、全身の痛みなど既に無い。痛いを通り越し、全身が焼かれるように熱い。言葉にするならそんなとこだろうか。起き上がろうとしようにも体は言うことを聞かない。指一本動かせる事さえ出来ないでいた。気力だけて開いていた瞼もそろそろ限界らしい。凄く眠い…阿刀縁は、異常と思うほどの睡魔に抗うことが出来ず一瞬で意識を手放してしまった。



基本ゆっくりペースで、無理しない程度に

楽しんで更新を心がけます。

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